2025年4月12日の暗号資産市場では、政策対応への期待とトークン供給の変化が同時に注目されました。BlackRockの決算では資金流入と運用残高が違う動きを示し、WalletConnectはWCTの移転解禁へ進んでいます。この日までに公表された資料や報道から、価格予測、実績、今後の予定を分けて五つの話題を解説します。
ヘイズ氏のBTC強気論は、政策対応を見込む条件付き予測
BitMEX共同創業者のアーサー・ヘイズ氏は4月11日、米国債利回りの上昇を受け、ビットコインの強い上昇局面を予想する投稿をしました。Crypto.newsが伝えた投稿は、こうした状況が続けば週末にも追加の政策対応があるとの見方を前提としています。単に暗号資産への規制が緩くなったから上がる、という説明ではありません。
注目していたのは、米10年国債の利回りが4.5%を超えたことでした。債券価格と利回りは基本的に逆方向に動くため、利回りの急上昇は国債の売り圧力を示します。ヘイズ氏は、市場の緊張が当局の対応を促し、その後の資金環境の変化がBTCに追い風になると考えていた、と整理できます。
ただし、投稿は政府や中央銀行による実施決定ではありません。いつ、どの機関が、どの手段を使うかが決まっていない段階で、資金供給の拡大や価格上昇を確定事項にすることはできません。政策対応が行われても、その目的や規模によって市場への影響は変わります。
この強気論を読む際には、国債市場の動き、当局の正式発表、暗号資産市場の反応をそれぞれ確認する必要があります。国債の売却が続く間に、他の資産も現金化される可能性は残ります。著名投資家の予測は一つのシナリオであり、「下落しなくなった」という相場の状態を示すものではありません。
TRUMPの解禁予定、ドル換算額と実際の売却は別
公式ミームコインTRUMPでは、4月中旬に控えたロック解除が注目されました。Tokenomistが4月11日に示した翌週の予定を引用する報道では、TRUMPの解禁規模は流通量の20%、当時の価格換算で約3億2,160万ドルとされています。これは将来の売却代金が決まったという意味ではありません。
公式の供給計画は、初日に2億枚を利用可能とし、3年間で合計10億枚へ広げる設計です。初期流通量2億枚の20%は4,000万枚に当たり、最終的な供給量10億枚に対しては4%です。どちらも同じ数量についての比率ですが、分母を省くと規模の印象が大きく変わってしまいます。
ロック解除とは、保有者に課されていた移転制限などが外れることです。対象の全量が、その時点で取引所へ送られて成行売却されると決まるわけではありません。一方、売却できる数量が増えることで需給への懸念が生じるため、解除予定は流通量や売買の厚みと一緒に読む情報です。
例えば4,000万枚を1枚8ドルで評価すれば3億2,000万ドルですが、価格が変われば評価額も変わります。解禁前の参考価格を全量に掛けた金額と、実際に市場で換金して得られる金額は一致するとは限りません。大量の注文が市場価格を動かす場合もあります。
公式サイトが示す供給計画と、分析サービスが整理する直近の解禁予定は役割が異なります。ニュースの「大量解禁」を読む際は、対象となる配分、利用可能になる数量、予定の基準時刻を確かめることが重要です。解除だけを根拠に暴落や反発を断定するのは、まだ確認できない売却行動や需要を先取りした判断になります。
BlackRockのデジタル資産純流入は33.55億ドル
BlackRockが4月11日に発表した2025年1〜3月期決算によると、デジタル資産部門への純流入は33億5,500万ドルでした。全社の純流入は841億7,100万ドルで、両者を比較すると約4.0%です。丸めた30億ドルと840億ドルを使っても2.8%にはならず、比率を読む際には元の金額と対象範囲を揃える必要があります。
同じ決算の運用資産残高の表では、デジタル資産は2024年末の553億600万ドルから、2025年3月末には503億2,900万ドルへ減りました。純流入はプラスでしたが、市場変動による減少が83億3,200万ドルあり、流入の効果を上回っています。
つまり、「資金が入った」と「運用残高が増えた」は同じではありません。期首の残高に純流入を加え、市場価格の変化などを反映したものが期末残高です。この四半期には、顧客資金が差し引きで流入していても、保有資産の評価額が減る状況が生じました。残高の減少だけを見て、同額の資金が引き揚げられたと読むのも誤りです。
また、ここでいう流入は運用商品に対する顧客資金の動きであり、BlackRockが同額の暗号資産を会社の自己資金で購入したという発表ではありません。運用残高も売上高や利益ではなく、顧客から運用を任されている資産の規模を示します。
こうした数値は、価格調整の中でも運用商品への需要が残っていたことを示す材料になります。ただし、四半期全体の純額から毎日の流入が一様に強かったとは判断できず、すべての顧客を機関投資家とみなすこともできません。今後の需要を見る際は、商品ごとの資金流出入と価格変動を切り分ける必要があります。
WLFI関連のSEI購入報道、ウォレット分析として読む
4月12日には、World Liberty Financialの略称で知られるWLFIによるSEI取得について、Lookonchainの分析を引用する報道が出ました。Bloomingbitは、約77万5,000USDCを使って489万SEIを追加購入したと伝えています。オンチェーン分析に基づく情報であり、トランプ氏や家族個人が直接購入したことを確認する資料とは区別します。
報じられた二つの数字から単純に割り算すると、1SEI当たり約0.1585USDCになります。ただし、丸められた購入数量と支払額による概算です。複数回の取引、手数料、USDCの換算価格まで含めた厳密な取得原価を、この計算だけで確定できるわけではありません。
ブロックチェーン上の送付や交換は取引記録として確認できても、ウォレットの帰属、売買を決めた人物、購入目的は別途裏付けが必要です。分析サービスのラベルや資金の流れは手掛かりになりますが、組織の会計全体を示すものではありません。今回も、報道された購入規模と、プロジェクト全体の損益を混ぜないことが大切です。
また、ある組織の購入はSEIの技術的な優位性や将来価格を保証しません。政府の政策による採用や公的な推奨を意味するものでもありません。大口の動向を材料にする際は、その取引が確認された範囲を保ち、関連する組織の知名度から投資判断の正しさまで推測しないようにする必要があります。
WCTは移転解禁と4月15日の取引開始へ
WalletConnectは、ウォレットと分散型アプリを接続するためのネットワークです。公式の月次更新は、WCTの移転を可能にする提案が可決され、4月に移転可能になると案内しています。投票結果は賛成約170万stWCT、反対約6,100stWCTで、賛成比率99.65%でした。これは投票権に基づく数字で、参加者全員の人数比とは異なります。
Binanceも4月10日の告知で、WCTの取引開始を4月15日午前11時UTC、日本時間では同日午後8時と予告しました。このため、4月12日時点の話題は単なる初回発行ではなく、移転可能化と取引所での取扱開始に向かう段階です。初期にあった移転制限を、上場後も一律に続く条件として説明するのは適切ではありません。
同告知では最大供給量10億WCTに対し、上場時の初期流通量を1億8,620万WCT、18.62%としています。トークンを移せるようにすることと、チームなどに割り当てた全量の権利確定は別の問題です。ネットワーク全体の移転可能化から、すべての保有者が全量をすぐ売れると推測することはできません。
BinanceのLaunchpoolには、日本居住者が参加できないと明記されています。グローバル版での上場予定を、日本国内向け口座で同じサービスが提供される案内と混同しないでください。ウォレット接続の技術を利用できることと、特定の販売・取引サービスに参加できることも別です。
4月12日の材料には、政策への期待、供給予定、顧客資金の実績、分析に基づく購入報道が混在しています。予定は実施結果ではなく、資金の流入も価格上昇の約束ではありません。それぞれの数字が何を測り、誰の発表に基づくのかを押さえると、市場の強気な見出しから一歩離れて状況を理解できます。
よくある質問
Q. BlackRockに資金が流入しても運用残高は減るのですか?
A. 減ることがあります。2025年1〜3月期のデジタル資産純流入は33.55億ドルでしたが、市場変動による減少83.32億ドルがこれを上回り、期末残高は503.29億ドルとなりました。
Q. トークン解禁は、その全量が売られるという意味ですか?
A. 違います。移転制限などが外れて売却可能になることと、実際に売ることは別です。ドル換算額も参考価格による評価であり、将来の売却代金の確定値ではありません。
Q. 4月15日のWCT取引開始は日本でも同じ条件ですか?
A. 確認したのはグローバル版Binanceの予定です。告知では日本居住者をLaunchpoolの対象外としており、国内向け口座での取扱や参加資格を保証するものではありません。
この記事の出典
- Crypto.news:ヘイズ氏の4月11日発言
- TRUMP公式:供給と配分の説明
- Coin Edition:Tokenomistの4月11日解禁予定を引用
- BlackRock:2025年第1四半期決算
- Bloomingbit:LookonchainによるSEI購入分析の報道
- WalletConnect:月次更新第4号
- Binance:WCT取扱開始予定
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




