【4月11日】「5ETHで650万ドルの投票権」から「トランプによる市場翻弄」まで

【要約】
Arbitrum DAOの選挙をめぐり、5ETH(約1万ドル)で650万ドル相当の投票権が取得され、DAOガバナンスの脆弱性が大きく浮き彫りに。
トランプ氏が貿易政策を“翻意”するたびに米株が乱高下。「世界全体が巨大な仕手(マウスバーン)と化している」との声も。
Binanceが新たな“投票否決”候補17銘柄を公表。FTTやZECなど有名トークンも対象に。
SECがイーサリアム現物ETFに関するオプション取引を承認。今後のイーサ市場の動向に注目が集まる。
・米国が中国に125%関税を課すと発表する一方、中国外交部が「応じる用意がある」と強硬姿勢。関税戦争が激化か。

Arbitrum DAOを揺るがす「5ETHで650万ドルの投票権」問題

イーサリアムのLayer2ソリューションとして注目されるArbitrumは、そのDAOガバナンスにも大きな期待が寄せられてきました。しかし、最近の選挙で突如浮上したのは“投票市場”の存在です。
あるユーザーが**LobbyFinance(LobbyFi)というプラットフォームを通じ、わずか5ETH(約1万ドル)**の支出で、650万ドル相当のARB代币に紐づく投票権を取得し、重要な委員会メンバーの当選を左右したのです。

LobbyFiは、保有者が代币を手放さずに「投票権を貸し出す」仕組みを提供するサービスです。今回の事例では、それが事実上の有償による投票行使につながり、DAOの根幹にある「一枚の代币、一票」のシステムを資本によってねじ曲げうる現実を突きつけました。

一方、Arbitrumコミュニティ内でも賛否は割れています。投票権を売買する行為を全面的に禁止すべきだと主張する声がある一方で、現行の「代币加重式ガバナンス」では避けがたい問題であり、むしろ透明性のある取引プラットフォームで表面化しただけだとの意見もあります。DAOが今後、どのように投票の正当性や安全性を守っていくのか、課題は山積みといえるでしょう。

トランプ氏が振り回す世界:株式市場が「アルトコイン化」?

元米大統領のドナルド・トランプ氏は、以前からSNS上で度重なる政策変更や政治的アナウンスを行い、そのたびに市場を激しく動揺させてきました。2025年初頭にはトランプ氏の名を冠した“Memeコイン”が発行され、家族や側近が事前に大量購入していたと噂される“マウスバーン(インサイダー取引)”疑惑も取り沙汰されました。

加えて、トランプ氏が今回は関税政策を一時「推進→停止→再開→一部再停止」という形で二転三転させた結果、米株式市場は上下に激しく乱高下。道指やナスダック指数は一日で7~12%もの大幅変動を見せ、これがあたかも「アルトコインのような急騰急落だ」と揶揄されています。

さらに、トランプ氏の発言とほぼ同時に大量のコールオプション(特にSPYやTQQQ)を仕込む取引が目立ち、「事前に情報を得ていたのではないか」という疑念も拭えません。こうした政治権力と金融市場の歪な結託は、多くの投資家の不信感を増幅させています。

関税戦争と世界経済:米国は125%関税を発表、中国は真っ向反発

米国政府は一部製品に対し125%の関税を適用すると発表。中国外交部の林 剣報道官は「中国は関税戦争を望まないが、必要ならば応じる」と強硬姿勢を示し、国際社会からも懸念の声が上がっています。
また、トランプ氏が“90日間の関税停止と10%の低関税適用”を予告したことで、米国株は瞬間的に反発。結果として市場が大きく跳ね上がる一方、直前に取られていたポジションの存在がインサイダー疑惑を招いている状況です。

中国側は「アメリカによる一方的な関税引き上げはWTOルール違反であり、世界経済の秩序を乱す」と警告。世界経済が不安定化し、投資家が仮想通貨など代替投資先へ目を向ける要因になりうる点からも、暗号資産市場にとって見逃せない動きです。

Binanceの「投票否決」候補にFTTやZECなど17銘柄

大手仮想通貨取引所Binanceは、4月10日に第二弾となる「投票による上場廃止(投票否決)」の候補プロジェクトを発表しました。対象には、

  • FTT(FTXのネイティブトークン)
  • ZEC(Zcash)
  • JASMYSTPTARKなど
    合計17種類が含まれています。

Binanceはコミュニティ投票を通じ、上場を維持すべきか否決すべきかを判断するとしており、プロジェクトにとっては信用維持が大きな課題となります。第一弾で選定された銘柄が実際に廃止される例も出てきており、関係者には緊張感が高まっています。

SECがイーサリアム現物ETFのオプション取引を承認

アメリカ証券取引委員会(SEC)は、イーサリアム現物ETFに紐づくオプション取引を認可しました。対象にはベライド(BlackRock)やBitwise、**グレースケール(灰度)**など複数社の現物ETFが含まれており、今後はETFに連動したオプション商品が市場に登場する見通しです。

著名アナリストらは「すでにビットコイン現物ETFの市場は拡大しており、今後はETHを含む主要アルトコインETFの普及も見込まれる」と指摘。ETFとオプション取引が増えることで機関投資家の参入が進む一方、商品設計の複雑化に伴うリスク管理が課題となる可能性があります。

注目プロジェクトと主要データ:Mind Network、Fetch.ai、sUSD脱ペッグ

◇ Mind Network(FHE)

Binance Walletが4月10日19:00から1時間限定で行うトークン生成イベント(TGE)を発表しました。BNBスマートチェーン上で合計5000万枚の$FHEが発行予定です。参加にはBNBによる購入が必要で、合計75万ドル規模が目安とされています。

◇ Fetch.ai

Fetch.aiチームの複数アドレスから1500万枚のFETが新たに取引所ウォレット(DWF Labs関連)へ送金され、約658万ドル相当が移動しました。過去にも4000万枚以上が移転しており、継続的に資金化(あるいはマーケットメイク)しているとみられます。

◇ sUSDの脱ペッグ

Synthetixエコシステムのステーブルコイン$sUSDが長期間にわたってドルとの連動を外し、現在0.89ドル付近まで大きく乖離。創設者は「機能面での問題ではない」と説明していますが、市場参加者の動向次第では流動性や信認維持に課題が残る状況といえます。

ニュースの解説

今回のニュース群から浮かび上がるのは、「分散型」を掲げるDAOガバナンスでも資本の力で意思決定が揺さぶられる可能性があるという点と、中央集権的な政治権力によって伝統的金融市場までもが“仕手戦”化しうる現状です。Web3や暗号資産領域では、従来の金融・政治のルールから解放された「自律的な世界観」が期待されています。しかし、一方で“資本の論理”と“権力の思惑”が結びついた時、どんなシステムであっても脆弱になり得るという事実が示された形です。

さらに、SECによるイーサリアム現物ETFオプション取引の承認は、暗号資産市場のさらなる成熟を後押しする反面、金融商品化によるリスク管理の難しさも増大させます。DAOによるプロトコル運営やステーブルコインの安定性、そして米中間の関税戦争による世界経済の揺れなどが複合的に絡み合う中、仮想通貨市場はいま、大きな変動期を迎えていると言えるでしょう。企業や投資家はもちろん、個人ユーザーにとっても、今後の政策や規制動向、そして各プロジェクトのガバナンス設計をより綿密に注視する必要がありそうです。

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