【要約】
・米司法省が暗号資産関連の専門部署を解散し、トランプ政権によるデジタル資産規制緩和方針を明確化
・トランプ当選後に仮想通貨を大量購入した5社のうち、複数社が高値買いにより大幅な評価損を計上
・米連邦準備制度(FRB)が5月に利下げを行う確率は57%に上昇し、世界的に不透明感が増す
・大手取引所バイナンスが14銘柄の上場廃止を発表し、一部アルトコインが急落
・市場急落時、仮想通貨VCはビットコインやイーサリアムを含む「価値貯蔵型資産」、DeFi、ソラナ上のプロジェクトなどに注目
まず注目されるのが、米司法省が暗号資産関連捜査を担当してきた「国家加密貨幣執法部門(NCET)」を解散したとの報道です。副検事総長のトッド・ブランチ(Todd Blanche)氏は、トランプ大統領が1月に署名したデジタル資産に関する大統領令を受け、「業界に明確な規制の枠組みを与えるため」と解散の意図を説明しています。
これまで米司法省は、前政権下で取引所やミキシングサービス(Tornado Cashなど)に対する強硬な捜査を行ってきました。しかし今回の方針転換により、「投資家を欺く行為の摘発に焦点を絞る」形へ大きく方向が変わる可能性があります。規制面が緩和されることで、米国の仮想通貨市場に新たな活気が戻るのか、それとも更なる混乱を招くのか、今後の推移が注目されます。
PANewsの報道によると、トランプ氏当選(2024年11月6日)後にビットコインやSOLを大規模に購入した5つの上場企業が、相次いで大幅な浮亏(評価損)を抱えています。代表例として取り上げられるのが、下記の企業です。
これら各社の例からは、仮想通貨市場のボラティリティが企業の財務状況や株価に与える影響の大きさが分かります。
CMEの「美聯儲観測(FedWatch)」によると、FRBが5月に25bp(ベーシスポイント)の利下げに踏み切る確率は57%に上昇しています。世界的に金融政策への先行き不透明感が強まる中、仮想通貨市場も再びボラティリティが増す可能性があります。
加えて、米国商工会議所がトランプ政権の「全面関税」導入に対する法的措置を検討中との報道も出ており、貿易摩擦や為替相場の変動などが投資家心理に影響を与えるとみられます。
大手取引所バイナンスは、投票制度にもとづく審査の結果として、4月16日に14銘柄を上場廃止すると発表しました。これを受け、PROSやFIRO、BETA、CREAMなど複数のアルトコインが一時50%以上の大幅下落を記録。
バイナンスは「流動性・プロジェクトの開発状況・透明性」など複数の基準で判断し、上場維持が困難とみなした銘柄を段階的に除外する方針を示しています。今回の一斉上場廃止による投資家の資金流出が、さらに価格下落を招いている現状です。
PANewsによると、相場急落時でもVC(ベンチャーキャピタル)は積極的に投資を続けており、以下の領域が特に注目を集めているようです。
VCはこれらの領域において、大幅下落時こそ買い増しの好機と捉え、次のブル相場を見据えた投資を活発化させている模様です。
今回のニュース群から浮かび上がるのは、**「米国の規制方針の転換」と「市場ボラティリティ増大」**という2つのキーワードです。米司法省の方針変化は、トランプ政権が強調する“規制緩和”の一環としてデジタル資産の取り扱いを変える可能性があり、これに伴い取引所や関連企業の動向も変わってくるでしょう。一方、マクロ要因としてFRBの利下げ観測や通商政策の揺れが投資家の不安定心理を高めています。
その結果、アルトコインの急落や上場企業による仮想通貨の評価損拡大など、ネガティブ面も顕在化しました。しかしVCの投資動向を踏まえると、時価総額トップのビットコインやイーサリアムをはじめ、DeFiや新興インフラ系プロジェクトへの期待は根強いことがうかがえます。
今後は、米国におけるデジタル資産の規制枠組みがどのように形成されるか、各国の金融政策による金利変動がどのように仮想通貨に影響を与えるかがポイントとなりそうです。投資家にとっては、こうした情報を常に収集しながら、長期視点でポートフォリオを組むことが改めて求められています。