【要約】
・トランプ家族が暗号資産取引所バイナンス(Binance)へ出資するとの報道が注目を集めた
・バイナンスCEOの趙長鵬(CZ)は、トランプ家族との交渉や赦免の噂を一括否定
・ETH/BTC は約5年ぶりの安値水準に到達し、ビットコインが市場を主導する可能性が浮上
・「アルトコインシーズンは終焉か?」との声が強まる中、ビットコインETFに流入する資金が拡大
・イーサリアムのPectraアップグレードが進行し、拡張性・質押の大幅改善に期待
ウォール・ストリート・ジャーナルが引用した消息筋によれば、2025年3月上旬、トランプ家族がバイナンスへ出資を検討しているとの情報が広まりました。さらに一部メディアは「バイナンスCEOのCZが、トランプ政権(あるいはトランプ氏本人)に赦免を求めている」と報道。しかしこの一連の噂に対し、CZはX(旧Twitter)上で「完全に事実無根であり、そのような交渉は一切行っていない」と即座に反論しました。
この一件は、暗号資産業界への注目度の高さを物語っています。トランプ氏は以前から仮想通貨に懐疑的な姿勢を示してきましたが、2024年の大統領選挙前後から一部方針転換の兆しがあるとの観測も存在します。大統領経験者のファミリーが大手取引所に出資するか否かは、アメリカの規制当局と暗号資産業界との力関係にも微妙な影響を与えるため、引き続きウォッチが必要です。
最近の暗号資産市場では、ETH/BTCの比率が2020年以来の低水準に達し、ビットコインが再び主役に返り咲く可能性が取り沙汰されています。実際、2025年に入ってからのビットコインの市場占有率は60%超まで急上昇し、アルトコイン全体の地合いはやや冷え込んでいます。
また3月18日(米国時間)のFOMC(連邦公開市場委員会)の結果により、金融政策が暗号資産市場に大きく影響するのかが注目点です。最近の傾向として、米国利上げの終焉や据え置き観測が高まると、ビットコインなどの価格が上向きやすい環境が整います。
一方で、一部の投資家には「アルトコインシーズンは終わったのではないか」という悲観的な声もあります。その背景として急激に存在感を高めているのが、ビットコインETFの台頭です。
これに加え、ビットコインETFは構造的な安心感(カストディや規制面)を提供するため、大手金融機関や個人投資家からの人気が高まっています。リスクをとってアルトコインに投資するよりも、ビットコインETFを選ぶ流れが形成されているのが現状です。
さらに、リスク投資を好むベンチャーキャピタル(VC)やトレーディングファームの多くが、アルトコインを避けてビットコインETFやデリバティブ商品への投資を優先し始めたとの指摘もあります。
こうした動向から、「これまでのようにビットコインの上昇後にアルトコイン全体が爆発的に上げる展開は限定的」との分析が増えています。
「アルトの王」とも呼ばれたイーサリアム(ETH)にも大きな変化が迫っています。それが、Pectraアップグレードです。Pectraは実行レイヤー(Prague)とコンセンサスレイヤー(Electra)の機能を同時に更新する大規模アップデートと位置づけられ、以下のような**11のEIP(Ethereum Improvement Proposal)**が導入される予定です。
Pectraアップグレードの第1フェーズは2025年3月中旬に予定され、拡張性・質押メカニズム・セキュリティのすべてに大きな影響を及ぼすと期待されています。特にビットコインETFが牽引する機関投資家マネーがイーサリアムの大型質押枠へ流れ込む可能性は、今後の価格形成やネットワーク中央集権化リスクを大きく左右しそうです。
まとめると、ビットコインETFの拡大は投資マネーを集中的に吸収し、アルトコイン市場の資金流動を抑制している可能性があります。一方、イーサリアムはPectraアップグレードを機に、さらなる拡張性と機関投資家対応の強化を図ろうとしています。これらの動向を受け、今後の暗号資産市場は以下のようなシナリオが想定されます。
大手金融機関だけでなく、政治的要素も絡み合うことで、暗号資産市場はさらなる進化と波乱を迎えるでしょう。特に「ビットコインETF」「イーサリアムPectraアップグレード」という二大キーフレーズは、当面の市場を読み解く上で外せない視点となりそうです。