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【3月14日】ビットコインETFがもたらす市場再編:アメリカ大統領家族の出資報道とイーサリアムPectraアップグレードの行方

【要約】
・トランプ家族が暗号資産取引所バイナンス(Binance)へ出資するとの報道が注目を集めた
・バイナンスCEOの趙長鵬(CZ)は、トランプ家族との交渉や赦免の噂を一括否定
・ETH/BTC は約5年ぶりの安値水準に到達し、ビットコインが市場を主導する可能性が浮上
・「アルトコインシーズンは終焉か?」との声が強まる中、ビットコインETFに流入する資金が拡大
・イーサリアムのPectraアップグレードが進行し、拡張性・質押の大幅改善に期待
トランプ家族とバイナンス出資報道の真相
ウォール・ストリート・ジャーナルが引用した消息筋によれば、2025年3月上旬、トランプ家族がバイナンスへ出資を検討しているとの情報が広まりました。さらに一部メディアは「バイナンスCEOのCZが、トランプ政権(あるいはトランプ氏本人)に赦免を求めている」と報道。しかしこの一連の噂に対し、CZはX(旧Twitter)上で「完全に事実無根であり、そのような交渉は一切行っていない」と即座に反論しました。
この一件は、暗号資産業界への注目度の高さを物語っています。トランプ氏は以前から仮想通貨に懐疑的な姿勢を示してきましたが、2024年の大統領選挙前後から一部方針転換の兆しがあるとの観測も存在します。大統領経験者のファミリーが大手取引所に出資するか否かは、アメリカの規制当局と暗号資産業界との力関係にも微妙な影響を与えるため、引き続きウォッチが必要です。
ETH/BTCが約5年ぶりの安値圏へ:ビットコイン優位の市場動向
最近の暗号資産市場では、ETH/BTCの比率が2020年以来の低水準に達し、ビットコインが再び主役に返り咲く可能性が取り沙汰されています。実際、2025年に入ってからのビットコインの市場占有率は60%超まで急上昇し、アルトコイン全体の地合いはやや冷え込んでいます。
- USDT(テザー)などのステーブルコインが増加しており、下落局面で買いを狙う投資家が潜んでいるとの見方が強い
- インフレ率が2.8%に下がるなど、米国の景気指標が改善傾向にあることも、リスク資産である暗号資産に追い風になるとの意見もある
また3月18日(米国時間)のFOMC(連邦公開市場委員会)の結果により、金融政策が暗号資産市場に大きく影響するのかが注目点です。最近の傾向として、米国利上げの終焉や据え置き観測が高まると、ビットコインなどの価格が上向きやすい環境が整います。
「アルトコインシーズンは終わるのか?」:ビットコインETFが再注目
一方で、一部の投資家には「アルトコインシーズンは終わったのではないか」という悲観的な声もあります。その背景として急激に存在感を高めているのが、ビットコインETFの台頭です。
● ビットコインETFがもたらす資金の偏り
- 2024年から2025年にかけて、現物ビットコインETFへの資金流入が急拡大し、総額1,290億ドルを超える記録的な資金が集まったとされる
- ETFを通じてビットコインのみを保有する投資家が増加し、アルトコインへの投資資金が薄れている
- 従来、アルトコインへの投機マネーがビットコインから回ってくるサイクルがあったが、ETF経由の資金はアルトコインに流れにくい
これに加え、ビットコインETFは構造的な安心感(カストディや規制面)を提供するため、大手金融機関や個人投資家からの人気が高まっています。リスクをとってアルトコインに投資するよりも、ビットコインETFを選ぶ流れが形成されているのが現状です。
● VCや機関投資家の戦略変更
さらに、リスク投資を好むベンチャーキャピタル(VC)やトレーディングファームの多くが、アルトコインを避けてビットコインETFやデリバティブ商品への投資を優先し始めたとの指摘もあります。
- アルトコイン市場は流動性が低下し、値動きのボラティリティが拡大
- 過去には資金と投機熱が集中したアルトコイン祭りが繰り返されてきたが、構造的にはやや崩れつつある
こうした動向から、「これまでのようにビットコインの上昇後にアルトコイン全体が爆発的に上げる展開は限定的」との分析が増えています。
イーサリアムPectraアップグレード:次の飛躍を支える11のEIP
「アルトの王」とも呼ばれたイーサリアム(ETH)にも大きな変化が迫っています。それが、Pectraアップグレードです。Pectraは実行レイヤー(Prague)とコンセンサスレイヤー(Electra)の機能を同時に更新する大規模アップデートと位置づけられ、以下のような**11のEIP(Ethereum Improvement Proposal)**が導入される予定です。
- EIP-7702:アカウント抽象化
- ウォレットでも一部コントラクトの機能を実行可能に
- ガス代の支払い方法が柔軟化されることで、ユーザビリティの向上が期待される
- EIP-7251:バリデータ質押の拡大
- 検証者の最大質押量を32ETHから2048ETHに拡張
- 機関投資家の大規模参加が進みやすくなる一方、中央集権化への懸念も指摘される
- EIP-7002:出金プロセスの簡易化
- 実行レイヤーから出金操作を直接行えるようにし、利便性を高める
- EIP-6110:検証者参加の迅速化
- 新たにバリデータになるまでの待機時間を9時間から約13分へ短縮
- ネットワークへの参加と離脱を容易にし、スケーラビリティを改善
- EIP-7691:データブロック拡張
- ブロック容量の上限を約50%増加させることで、トランザクション処理速度の向上と手数料の安定を図る
- EIP-7516:MEV(最大抽出可能価値)の透明化
- ブロックプロデューサーによるMEVの取得プロセスを可視化し、過度な不正利益や取引者の不利益を抑止
- EIP-7549:ガス費用調整
- 高負荷時でもガス代を安定させるための仕組みを改善
- EIP-7685:ガバナンスメカニズムの強化
- ネットワーク運営の透明性と効率性を高める措置を盛り込み、コミュニティ主導の発言力が強まる
- EIP-7021:バリデータ罰則の最適化
- ネットワーク秩序を乱す行為への懲罰を改変し、公平な検証作業を促進
- EIP-7683:スマートコントラクト性能の改善
- 実行効率の向上で、DeFiをはじめとするDAppsの開発や運用コストを削減
- EIP-6123:クロスチェーン対応の拡充
- 異なるチェーン同士の資産や情報移転がスムーズになるよう、相互運用性を高める
Pectraアップグレードの第1フェーズは2025年3月中旬に予定され、拡張性・質押メカニズム・セキュリティのすべてに大きな影響を及ぼすと期待されています。特にビットコインETFが牽引する機関投資家マネーがイーサリアムの大型質押枠へ流れ込む可能性は、今後の価格形成やネットワーク中央集権化リスクを大きく左右しそうです。
機関投資家流入の加速と暗号資産市場の行方
まとめると、ビットコインETFの拡大は投資マネーを集中的に吸収し、アルトコイン市場の資金流動を抑制している可能性があります。一方、イーサリアムはPectraアップグレードを機に、さらなる拡張性と機関投資家対応の強化を図ろうとしています。これらの動向を受け、今後の暗号資産市場は以下のようなシナリオが想定されます。
- ビットコインとイーサリアムの二極化:ETF・大規模質押を通じ、ビットコインとイーサリアムが市場を牽引する展開
- アルトコインの差別化:メインチェーンの弱いプロジェクトは淘汰される一方、L2や独自ユースケースを持つチェーンは生き残りを図る
- 政治・規制面の影響拡大:トランプ家族の出資報道に象徴されるように、米国政界や世界主要国の動きが価格や技術開発に一層の影響力を及ぼす
大手金融機関だけでなく、政治的要素も絡み合うことで、暗号資産市場はさらなる進化と波乱を迎えるでしょう。特に「ビットコインETF」「イーサリアムPectraアップグレード」という二大キーフレーズは、当面の市場を読み解く上で外せない視点となりそうです。