【3月5日】ロナウジーニョ発コインの疑惑からXRPの可能性、そしてビットコイン戦略備蓄まで──揺れる暗号資産市場の“いま”

【要約】
・世界的サッカースターのロナウジーニョによるパーソナルトークン「$STAR10」がBSCチェーン上で発行されたが、資金プールロックや内部者の事前購入疑惑などからコミュニティの信頼を失う事態に
・国際送金の高速化を目指すRippleとその原生トークンXRPは、独自の分散型台帳「XRP Ledger」を軸に金融機関向けクロスボーダー送金ソリューションを提供している
・アメリカの複数州が公共資金の一部をビットコインで保有する法案を推進する一方、反対や否決に至った州もあり、全米各地で戦略的ビットコイン備蓄を巡る議論が進行中

ロナウジーニョ発トークン「$STAR10」に対する不信感の高まり

元世界的サッカースターであるロナウジーニョ(通称:小ロナウジーニョ)が2025年3月2日、BSC(BNB Chain)上で個人トークン「$STAR10」をローンチしました。この試みは、米国元大統領トランプ氏らによる著名人発コレクションやトークン発行の流れを汲むものとされ、市場では一時、流通時価総額が3,200万ドルに達しました。
しかし、SNS上では「資金プールがわずか1か月しかロックされていない」「トークンのミント(発行)権限が残されていた」「内部者による事前購入で価格が操作されたのではないか」などの疑惑が噴出。さらに、ロナウジーニョ本人の人生経緯(早期に大成功を収めた後の散財や破産リスクへの対応)から見ても、名声を利用した単なる“収益化スキーム”ではないかという厳しい批判も上がっています。

専門チームの存在と疑惑

一部情報によると、バックには深圳の発行チームが関与しているとの指摘や、早期に他の提携企業と契約していたが、後から別のチームに横取りされたなどの“内部抗争”を示唆する声もあります。
また、第三者によるオンチェーン分析では、資金プールロックが最初は短期で設定されていたものの、コミュニティの反発を受けて255年(2281年)まで延長する措置がとられました。しかし既に大口アドレスが事前に大量購入していたことや、マイナーな取引所での価格急騰・暴落が見られることなどから、投資家心理は冷え込み、3月4日時点で時価総額は1,150万ドル近辺まで下落しています。

Rippleがもたらす国際送金の変革とXRPの価値

暗号資産市場において、XRPは常に上位に位置する主要通貨の一つです。その背後には、米国拠点のフィンテック企業Ripple(旧称Ripple Labs)の存在があります。Rippleは従来の国際送金ネットワークに代わる高速・低コストのクロスボーダー送金プラットフォームを提供し、銀行や金融機関がグローバルに資金をやり取りする際のインフラ改善に寄与しています。

XRP LedgerとXRPの役割

XRPはRippleが開発した分散型台帳「XRP Ledger(XRPL)」上のネイティブトークンです。XRPLはPoW(プルーフ・オブ・ワーク)やPoS(プルーフ・オブ・ステーク)ではなく、Ripple社独自のコンセンサスアルゴリズムを採用し、高速かつ低手数料での送金を可能にします。
銀行同士が従来のSWIFTを用いる国際送金は、多数の中継銀行を経由するため時間とコストがかかります。一方でRippleのネットワーク「RippleNet」を利用すれば、数秒から数分以内に決済が完了し、XRPをブリッジ通貨として使うことで、異なる法定通貨の交換も滑らかに行えます。

安定通貨「RLUSD」による拡張性

最近Rippleは、XRP Ledgerを土台にした独自のステーブルコイン「RLUSD」を導入しています。これにより、法定通貨とのスムーズな交換やトークン化資産(RWAなど)の取り扱いが容易となり、エンタープライズ用途からDeFi領域に至るまで、多彩なユースケースを広げる方針です。特に、国際送金のみならず、機関投資家向けのデジタル資産管理やCBDC(中央銀行デジタル通貨)との橋渡しとしても注目を集めています。

米各州によるビットコイン戦略備蓄の最新事情

2025年に入り、アメリカの州レベルでビットコインを「戦略的備蓄資産」として導入する動きが活発化しています。これは、公共資金や年金基金の一部をBTCに振り向けることで、ポートフォリオ分散と長期的成長を狙う施策とされています。しかし同時に、高いボラティリティや未整備の規制面から強い反対の声も根強く、各州で法案の可決状況が分かれているのが現状です。

推進派:アリゾナ州やテキサス州

アリゾナ州は3月2日、ビットコイン備蓄法案(SB 1025 等)を州上院で可決し、下院での最終審議を待つ段階にあります。もし成立すれば、公共資金の一部をビットコインに充てる最初の州の一つとなる可能性が高いとみられています。
また、テキサス州は2月下旬に同様の法案を上程。こちらも段階的に承認プロセスを進めており、エネルギー資源が豊富なテキサス州としては、マイニング産業とのシナジーも狙っているとされます。

反対派:モンタナ州や南・北ダコタ州など

一方、モンタナ州で提案された法案(HB 429)は、州議会下院で反対が上回り否決。また南ダコタ州(HB 1202)や北ダコタ州(HB 1184)でも同様に否決となり、慎重姿勢が鮮明化しました。これらの州では「ビットコインの高い価格変動リスク」や「法的整備の不十分さ」が懸念材料として挙げられています。

次の焦点:州長の署名と将来的な全国波及

ビットコイン備蓄を推進する法案は、州議会の上下院承認後に州長が署名し正式な法律となります。しかし、州長による拒否権が発動された場合は法案が頓挫する可能性も。今後、可決された州が実際にビットコインを保有しはじめれば、他州が追随しさらに全国的な動きに発展する可能性があります。しかし、SECなど連邦レベルの規制当局がどのようなスタンスを取るか、引き続き注目が必要です。

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