【3月1日】MEME法案で政治家の仮想通貨ビジネスは止められるか?米国規制最新動向まとめ

【要約】
・米下院議員サム・リカルドが“Meme法案”を提案。大統領や議員とその家族がトークンを発行・推進する行為を禁じる内容
・トランプ前大統領のメインチャート「$TRUMP」の大暴落が議論を呼び、同法案は象徴的意義が強いとされる
・SECでは新体制への移行を機に加密(暗号資産)関連の訴訟が相次ぎ撤回または和解され、業界は「加密規制の春」を期待
・3月7日に初のホワイトハウス仮想通貨サミットが開催予定。トランプ大統領登壇、著名投資家や起業家も参加
・トランプ組織は“TRUMP”の商標申請、メタバースやNFT取引プラットフォーム展開を検討か
・元サッカー選手ロナウジーニョが偽Memeコインに注意喚起。自身はまだ公式トークンを立ち上げていない
・過去2〜3年で膨大な数の新規トークンが誕生し、しかし実用的な開発は停滞。業界の「発行工場」化を批判する声が高まっている

注目を集める「MEME法案」とは?

米国下院のサム・リカルド議員(カリフォルニア州選出)が、就任後初となる立法提案「Modern Salary and Malfeasance Enforcement Act(通称:MEME法案)」を2月27日に公表しました。大統領をはじめ、連邦政府の上級官僚およびその家族が、証券やコモディティ、デジタル資産(memeコインを含む)の発行や推進を行うことを禁じ、違反者には刑事・民事両面で制裁を科すとしています。とりわけ注目を浴びているのは、トランプ前大統領が打ち出したmemeコイン「$TRUMP」を念頭に置いた条文であり、同氏が得た売却利益の返還も要求する内容が盛り込まれています。

提案者リカルド議員は、「政治家が自身の影響力を利用して大衆を『割り切る』構図を断ち切る必要がある」と述べ、特にトランプ氏の事例が悪質かつ象徴的と主張。1月18日に突然ローンチされた$TRUMPは初期流通量が少なく、トランプ陣営が残りの大半を保有していたことで一時時価総額が700億ドルを突破しました。ところが、2月末には価格が80ドルから11ドル台へと急落し、85%以上の下落によって大量の個人投資家が損失を被っています。

法案が成立する可能性は現状低く、民主党の議席数や優先課題など政治情勢を考慮すると、今期中の可決はほぼ見込めません。しかし、提案者自身も「ひとつの象徴的抗議であり、長期的な再提出を視野に入れた『占位』だ」と認めています。さらに、米国ではすでにハッチ法(Hatch Act)など、政府要職者が職権を乱用した政治活動を禁ずる法律が存在しますが、現実には執行力が限定的である点も指摘されています。いずれにせよ、この“Meme法案”は政治家によるトークン発行・推進という問題に初めて真正面から切り込んだ事例として強い関心を集めています。

SECの新体制と「加密規制の春」

トランプ大統領(再任)以前から米国証券取引委員会(SEC)は暗号資産企業に対する強硬路線を続けてきました。しかし、今年1月にゲイリー・ゲンスラー前委員長が退任し、マーク・ウイエダ代理委員長が就任して以降、わずか1カ月ほどで複数の暗号資産関連訴訟が一挙に和解や撤回へと動いています。たとえばCoinbaseやRobinhood、さらにUniswapやOpenSeaを巡る長期の調査は次々と終結し、世間では「SECが強硬路線を改めるのではないか」という期待が高まりました。

特に、UniswapやOpenSeaなど分散型取引所やNFTプラットフォームの場合、Wells通知(SECが正式な民事訴訟を行う前に送達する警告)を受けてからも一歩も引かずに法廷闘争を辞さない姿勢を貫いていました。結果的に「3年にも及ぶ法的リスクと莫大な費用を強いられた」(Uniswap創設者)ものの、最終的にSECが訴追を取り下げた事実は、業界に大きな安堵感をもたらしています。

さらに、BNBやSOL、ADAなど一部の主要アルトコインが証券とみなされていた問題も、この「規制の春」ムードで再評価される可能性があると見られています。実際の法整備や公式見解がどう示されるのかは不透明ながら、過度な警戒が和らぎ、価格への好影響を期待する見方も出ています。

初のホワイトハウス仮想通貨サミットにトランプ大統領出席

Fox Businessの記者Eleanor Terrettによれば、3月7日にホワイトハウス初の「加密(仮想通貨)サミット」が開催され、トランプ大統領がスピーチを行う見込みです。加密業界の有名創業者や投資家、さらに大統領直属のデジタル資産ワーキンググループなどのメンバーも参加予定とされています。

このサミットはホワイトハウス内のA.1.&Crypto担当の“ツァーリ”と呼ばれるデイビッド・サックス氏が主催し、同ワーキンググループの事務局長ボー・ハインズ氏が運営を担います。政権が「暗号資産をどう位置づけるのか」が大きな焦点となり、ここでの議論や政策提言が、今後の米国加密業界に与える影響は無視できないでしょう。

トランプ組織、メタバース&NFT参入か

さらにトランプ関連のニュースとして、トランプ組織が「TRUMP」の名称で商標登録を行い、メタバースおよびNFT取引プラットフォームへの進出を模索していると報じられています。既にNFT関連では、トランプ氏自身のデジタルトレーディングカードが話題を呼んだ過去事例もあり、今後の展開が注目されています。実際にどのような形で事業を展開するのかは不明ですが、商標登録からは着実に事業準備を進めている様子がうかがえます。

ロナウジーニョも警鐘「偽Memeコインに注意」

往年のサッカー界のスター選手、ロナウジーニョ氏が2月28日、X(旧Twitter)で「私の名を騙った虚偽のMemeコインに注意してほしい。私はまだ公式トークンを出していない」と呼びかけました。近年、著名人名義の偽コインが急増し、SNSアカウント乗っ取りなどの事件も多発しています。コメント欄では「名声に傷がつくような行為はやめてほしい」というファンの声や、「アカウントがハックされていないか疑う声」も見られました。

政治家だけでなく、スポーツやエンターテインメント界隈の著名人をめぐるMemeコイン詐欺は後を絶ちません。裏を返せば、その人気や影響力を逆手に取られやすい状況が続いており、利用者側の警戒が必要不可欠です。

爆増するトークン数と「発行工場」化への批判

ここ数年、各種ブロックチェーン上で生み出されたトークンは急増傾向にあります。2023〜2024年だけで数千万単位の新規トークンが「発行」されているとも言われ、一部の調査では総数3,900万件超という驚くべきデータが示されています。その一方で、実際に定着し価値を持つプロジェクト数は限りなく少なく、大半が投機・詐欺まがいの目的で生まれているのが現状です。

このような状況を見て、「仮想通貨業界は革新的技術を生む場というより『トークンを刷って売り抜ける工場』と化したのではないか」という批判や嘆きが広がっています。実際、ベンチャーキャピタル(VC)や交換所、マーケティング代理店、著名人、あるいは匿名チームなど、巨大な利害関係者が早期にトークンを確保し、上場直後に売り抜ける手法が横行してきた経緯があります。

特にmemeコインは名目上「誰にでもチャンスがある公平性」を謳う一方で、開発投資が乏しく作為的にバブルを演出するケースも多く、最近の大暴落や詐欺事件から一段と問題視されています。こうした構造問題を是正するには、法的ルールの整備や業界内部でのコンプライアンス意識の高まりが不可欠との声が多く聞かれます。

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