Solana発行量の提案とSHELL配布|2月28日の暗号資産

2025年2月末は、Bybit事件の調査と並行して、Solanaの発行量を変える提案やSHELLの配布が話題になった。一方、BTC50万ドルという長期予測や大口アドレスの取引も注目された。提案と実施済みの変更、会社の説明と調査結果、数量と価格を分けて当時の情報を整理する。

Bybit事件は署名画面を配信する仕組みの問題へ

2025年2月28日前後、Bybitの不正流出では、SafeのWeb画面に不正なコードが入り込んだ経路に関心が集まっていた。Bybitがまとめた時系列によれば、26日にSygniaとVerichainsの初期調査が共有された。約14.6億ドルという被害には、ETHそのものに加えてステーキング関連トークンも含まれている。

Sygniaが後日公表した詳しい分析は、署名者の端末に残ったブラウザーのデータなどから、Safeの配信基盤に置かれたJavaScriptの改変を説明している。また、開発者の端末侵害からクラウドへのアクセスにつながった経路も整理した。後日の詳細分析と、事件当時に公表された初期報告は時点を分けて読む必要がある。

攻撃の経路を明らかにすることと、関係する会社の法的・契約上の責任を決めることは別の作業だ。元記事にあった「SafeがBybitの運用を責めている」という説明は、発言の原典を確認できないまま会社の公式見解として扱わない。

また、特定のセキュリティ機能を導入すれば、この種の事故を必ず防げるともいえない。読み込むファイルの整合性確認、配信環境の管理、取引内容の独立した検証は、それぞれ守る対象が違う。鍵を安全に保管するだけでなく、署名する取引が意図した内容かを確認できる運用が問われた。

SIMD-0228の80%削減は条件付きの提案

SolanaのSIMD-0228は、SOLの新規発行をステーキング参加率と結び付ける提案だった。2月25日に始まった公式フォーラムの議論では、参加率が約65%の状況なら、提案する発行量は従来の曲線に比べて約80%低くなると提案者が説明している。2月28日の時点で発行量を一律に80%減らす措置が実施されたわけではない。

ここでいう発行量の削減は、すでに存在するSOLの80%を消すという意味ではない。新たに増える量を従来の計算方法と比較した話だ。供給総量、年間の増加率、ステーキングによる受取利回りを同じ数字として扱うと、提案の効果を取り違える。

元記事の4.694%から0.939%という数値も、前提に置く参加率などが変われば固定された結果にはならない。モデルの説明で使う計算例と、実際に適用される発行率を分ける必要がある。精密な小数点付きの数字でも、前提が不確かなら確定値にはならない。

発行を抑えれば、ステーキングしない保有者にとって持分が薄まる速度を下げられる可能性がある。一方、発行から得ていた報酬が減れば、検証者や委任者の収入にも影響する。単に少なく発行する方がよいと結論する前に、誰の収入と負担が変わるかを見ることが重要だ。

発行量の調整には検証者の採算という論点もある

同じフォーラムでは、参加率が低い場合に発行を増やす仕組みが、売りを増幅するのではないかという懸念が出た。小規模な検証者が報酬の減少に耐えられるかという意見もある。これらは制度案への懸念であり、実際に悪循環や集中化が起きた結果を報告するものではない。

発行報酬が減ったときの影響は、運用費用、委任されているSOL、手数料など他の収入によって変わる。同じ率で報酬が下がっても、規模や収入構成が違えば、事業を続ける余力は同じにならない。平均的な利回りだけでは、この差は見えにくい。

一方、発行量が増えた分が必ずすぐに売られるとも限らない。報酬を再びステーキングする人もいれば、費用の支払いに使う人もいる。価格、参加率、報酬の関係を考えるには、こうした行動の違いも含めて評価する必要がある。

さらに提案は議論の中で修正され得る。初期の設計で使われた目標値を、その後の案にもそのまま当てはめると説明が食い違う。どの版の案についての発言なのか、投票や実装がどこまで進んだのかを確認することが、賛否の結論より先に必要だった。

SHELLは過去のBNB利用状況に基づく配布

Binanceは2月27日、MyShell(SHELL)をHODLer Airdropsの第10弾として発表した。対象は、UTCで2月14日から18日までの期間に、BNBを対象のSimple Earnまたはオンチェーン利回り商品で利用した顧客だ。告知を見てから保有を始めれば、過去の対象期間を満たせるという仕組みではない。

初回の配布枠は2,500万SHELLで、総量10億枚の2.5%に当たる。告知は現物上場の6カ月後にも同量をHODLer向けに配分する予定を示したが、詳細条件は別途発表するとしていた。したがって、初回の対象者へ同じ枚数がもう一度必ず配られる、とまでは読めない。

上場時刻は2月27日午後1時UTC、日本時間では午後10時と案内された。また、告知で示された上場時の流通量は2.7億枚だった。最大供給量と流通量の差は、直ちに市場へ売り出される枚数そのものではない。残りの配分や解除条件も確認する必要がある。

エアドロップの資格、配分計算、口座への反映、取引所での売買はそれぞれ別の段階だ。受け取れる数量が決まっても、その時点の表示価格で全量を売れるとは限らない。制度への参加実績と、利益が確定したかどうかを分けて考えたい。

新しい発行サービスは売買対象と利用権を確かめる

当時は、時間、AI、ゲーム、コミュニティとトークンを組み合わせるサービスも話題になった。例えばThe Blockの2月24日付記事は、Time.funがSolana上でクリエイターの時間を分単位で取引し、連絡や通話のために利用できる設計を説明している。時間という題材を扱うだけで、トークンがNFTになるわけではない。

発行サービスを比較する際には、何を買うのかを先に確かめる必要がある。サービスを使う権利なのか、運営の意思決定に関わるものなのか、収益の分配を受けるものなのかで、保有する意味は異なる。名称にAIやゲームが含まれることだけでは、提供される機能は分からない。

テストネットで動くサービスと、本番で資金を扱うサービスも区別したい。試用できることは、実資産を使った市場が成立している証拠ではない。取引量の数字を比較する場合にも、試験用資産なのか、実際に価値を持つ資産なのかという条件が必要になる。

元記事に並んだ6件を、同じ完成度の投資対象として順位付けする根拠は確認できない。本記事では、未確認の時価総額や流動性の大きさを推薦材料として使わない。売買の仕組みと、利用者が受けられるサービスの内容を確認する方が、注目されているという評判だけに頼るより具体的だ。

TRUMPの大口取引から所有者の意図は読めない

TRUMPをめぐっては、大きな損失を出したアドレスが再び購入したという話も流通した。ただし、今回の原文にある過去の損失額、購入枚数、残高を再現できる取引一覧は確認できていないため、それらを確定した実績として引用しない。

一つのアドレスに残る資産と、運用者全体の損益は一致するとは限らない。別のアドレスへの送金や、取引所内での売買、保有したままの評価損があるためだ。買値と現在価格だけの比較と、すでに売却して確定した損益も別に計算する必要がある。

再購入という行動が確認できても、損失を取り戻したいのか、別の戦略の一部なのか、誰の資産を扱っているのかは送金記録だけでは決まらない。大口と呼ばれるアドレスの行動は、他の参加者が同じ売買をして利益を得られる根拠にはならない。

BTC50万ドル説は2月5日に示された長期予測

Standard CharteredのGeoffrey Kendrick氏によるBTC50万ドルの見通しは、2月28日に初めて示された予測ではない。The Blockは2月5日、2028年末にその水準へ達するという同氏の見方を報じた。投資家がBTCへアクセスしやすくなることと、長期的な変動率の低下を主な根拠としている。

同氏はETFやオプションなどの市場整備が投資家の参加を広げると考えていた。これは将来の市場構造についての予測で、銀行がその価格で買い取る約束をしたわけでも、政策によって価格が決められたわけでもない。

また、ETHのステーキング需要を、そのままBTCの発行や利回りの仕組みとして説明することはできない。異なる資産の強気材料を混ぜるより、予測が前提とする資金流入や変動率が実際にどう変化するかを確かめる方が重要だ。

2月末に過去の予測を紹介する際には、発表した日と目標とする年を併記すると、短期の価格予想との混同を避けられる。大きな目標値ほど、その数値だけでなく、前提と不確実性を一緒に読む必要がある。

よくある質問

Q. SIMD-0228でSOLの総量が80%減るのですか?

A. 提案は新規発行の計算方法を変えるものです。約80%という説明も参加率を前提にした従来方式との比較で、既存のSOLの80%を消す意味ではありません。

Q. SHELLの第2回配布も初回と同じ人が同量を受け取れますか?

A. 2月の告知は6カ月後の追加配分を予定し、詳細条件は別途発表するとしていました。初回と同じ個人配分を保証する内容ではありません。

Q. BTC50万ドルは2月28日に出た短期予想ですか?

A. 取り上げた見通しは2月5日に報じられた2028年末の長期予測です。実現を保証した数字ではありません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。