【2月25日】Bybit大規模ハッキングの余波と米国“ビットコイン備蓄”法案の行方――揺れ動く仮想通貨ニュース

【要約】
・米国の一部州では「ビットコイン備蓄」法案の提案や否決が相次ぎ、規制動向に注目
・大手取引所Bybitが約15億ドル相当のハッキング被害を受け、資金凍結や追跡の動きが活発化
・ハッキングに関連し、非KYC型取引所eXchがマネーロンダリング関与を否定
・Infiniもハッキング被害に遭い、約4950万DAIが奪取された後イーサリアム(ETH)に交換
・Pump.funはAMM型流動性プールを内密にテストし、Raydiumなど既存AMMへの対抗姿勢を示唆
・アーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)はX(旧Twitter)上でビットコイン価格が70,000 USDTに向けて「下落する」との見解を示唆
・イーサリアムは「大企業病」の兆候があるとの指摘があり、これからの改革や新しい物語が必要とされる

米国規制動向:ビットコイン備蓄法案の浮沈

アメリカの一部州では「戦略的ビットコイン備蓄」法案をめぐる動きが活発化しています。モンタナ州では、州の投資委員会による過度な投機を懸念する声が強く、関連法案が下院で否決されました。一方、ジョージア州では州政府がビットコインに投資できるようにする法案がふたたび提出され、今後の審議に注目が集まっています。いずれも「税金を使ってビットコインを保有すべきかどうか」という点が論点となっており、規制面だけでなく投資家の心理にも影響を与えそうです。

Bybitハッキング事件:15億ドル相当が流出

2-1. 被害の概要

大手暗号資産(仮想通貨)取引所Bybitのイーサリアム(ETH)コールドウォレットが約15億ドル相当のハッキング被害に遭いました。これは業界史上でも極めて大きな被害額とされ、2021年のPoly Network事件(6.11億ドル)や2022年のRonin Network事件(6.2億ドル)をはるかに超える規模です。

2-2. 攻撃の経緯と洗浄手口

ハッカーは多重署名の管理プロセスを巧みにすり抜け、コールドウォレットから大量のETHを不正送金。その後、ChainflipやTHORChain、eXchなどのクロスチェーンサービスやAMMを用いてBTCやSOLなどに交換することでマネーロンダリングを進めているとみられています。Bybitは複数の機関・プラットフォームと協力し、すでに約4,289万ドル相当の被盗資金を凍結しました。

2-3. OTC取引への影響

ハッカーが資金を効率的に現金化すべくOTC(店頭取引)サービスや支払い会社を利用しようとする動きが広がっています。過去の事例からは、大規模なハッキングにより盗まれた資金がOTC業者に流れ、結果として資金凍結の“巻き添え”被害が拡大するケースがあります。今後数か月にわたり、OTC業者や決済プラットフォームで大規模な口座凍結が発生する可能性も指摘されています。

eXchの動向:マネーロンダリング関与疑惑を否定

ハッキング資金の流れに関連して指摘を受けた非KYC型取引所eXchは、ラザルスグループ(Lazarus Group)との関係を否定。同取引所は「私たちはごく一部の不正資金しか扱っていない」とし、その利益を暗号資産業界のオープンソース関連プロジェクトへ寄付すると表明しています。しかし、eXchのETH取引量が一時的に高騰した点については依然として疑念をもたれており、利用者や他取引所が神経をとがらせる状況です。

Infiniハッキング:4950万DAIがETHに交換

ハッキング被害はBybitだけではありません。Infiniというプロジェクトも約4950万枚のDAIを奪われ、それらが約1.77万ETHに交換されたことが確認されました。Infini創設者は「個人の秘密鍵が流出したのではなく、権限譲渡時の手続きに疎漏があった」とし、被害補填や原因究明に努めると説明しています。プロジェクトが“即死”しなかった点からは、流動性にまだ余力があるとみられますが、ユーザーからの出金請求はすべて対応済みとのことです。

Pump.funのAMM参入:Raydiumを脅かす新勢力

Solana上のMeme発射プラットフォームで知られるPump.funは、従来Raydiumに依存していた外部流動性を自前のAMM(自動マーケットメイカー)に取り込もうとする動きを見せ始めています。Raydiumへの流動性手数料を抑え、自社プラットフォーム内で完結したトレード体験を提供することで、収益性とユーザー囲い込みを同時に狙う戦略です。この動きにより、Raydiumのネイティブトークン$RAYは一時20%以上値下がりし、市場はPump.funの“攻勢”に敏感に反応しています。

アーサー・ヘイズの視点:ビットコインは70,000 USDTまで下落?

BitMEXの元CEOであるアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)は、X(旧Twitter)上で「多くのIBITホルダーがETFとCME先物の裁定取引を行っている現状を考慮すると、ビットコインは70,000 USDT近辺まで下落する可能性がある」とコメントしました。これは単なる個人の見方ではありますが、業界で影響力の大きい人物だけに、市場心理へ与える影響は小さくないでしょう。

イーサリアムが陥る「大企業病」の兆候

イーサリアム(Ethereum)の創設者ヴィタリック・ブテリン氏がAMAで語ったように、現在のイーサリアムは「革新が進みにくい停滞感」を抱えていると指摘する声があります。企業経営の概念でいう「大企業病」が進行し、レイヤー2の台頭など新興勢力の破壊的イノベーションに脅かされているのではないか、という観測です。

ビットコインほど単純な仕組みではないイーサリアムは、複雑なステークホルダーやガバナンスが絡むため、スピード感あるアップグレードが困難になりがちです。こうした“停滞”を打破するには、管理組織(イーサリアム財団)による改革だけでなく、新たな物語づくりとユーザー・開発者コミュニティとの密接な連携が不可欠だと分析されています。

トークンアンロックとスポーツ提携:市場の活性要因

8-1. 大量アンロック

SUIやOP(Optimism)、ZETAなど複数のトークンで今週中に大規模なアンロックが予定されています。SUIは約2,297万枚が解放され、時価で約7,760万ドル相当です。これらの新規供給が価格に与える影響が注目されており、ホルダーにとっては不安定要因にもなりえます。

8-2. スポーツとのパートナーシップ

暗号資産企業とスポーツ団体の提携が活発化しています。2025年に入ってから既に22件、平均4,300,000ドル規模の契約が成立。Tetherがイタリアのサッカークラブ「ユヴェントス」の少数株式を約5,000万ドルで取得するなど、大型案件も相次いでいます。スポーツ界への進出は暗号資産の認知度向上に寄与すると同時に、企業間競争を激化させる要因にもなっています。

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