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【要約】
・「伝説級プロジェクト」とされるPi Networkが2月20日にメインネットへ移行予定。OKXも同日に上場を発表
・AIエージェント大手Virtuals ProtocolがSolana展開を開始するも、初日卒業率わずか8.3%で“水土不服”の様相
・Arweave新プロジェクト「AO」は去中心化計算を掲げるが、エアドロップやエコシステムの動きに停滞感が指摘される
・中国・江蘇高院は「海外での仮想通貨投資は中国法の保護対象外」との判断を示す
・BitGoが2025年下半期にもIPO(新規株式公開)を検討か。業界での大型上場に期待が寄せられる
・トランプ家のDeFiプラットフォームWLFIがビットコインやイーサリアムなどを対象とする「マクロ戦略ファンド」の立ち上げを公表
「伝銷之王」Pi Network、2月20日にメインネット移行へ
Pi Networkは2019年にスタンフォード大学出身の開発者たちによって立ち上げられ、スマートフォンのみで“無料”マイニングを謳うことで大量のユーザーを獲得してきたプロジェクトです。長らく「一コインで高級車が買える」「一コインで◯◯ができる」といった過激な宣伝手法が目立ち、一部では「智商税(=情弱税)」とも揶揄されてきました。
しかし、2025年2月20日に待望のメインネットを正式に始動することが発表され、世界中の投資家や愛好家が大きな関心を寄せています。あわせて取引所OKXはPi Networkのメインネットローンチと同じ2月20日に現物取引(PI/USDTペア)を開始予定であると発表しました。
なおPi Networkをめぐっては、かつて中国の国営メディアで「典型的な伝銷(マルチ商法)」と警戒が呼びかけられたことや、インド・ベトナムなどでも調査の対象となった事例があります。とはいえ、一部の投資家からは「次なるブームを巻き起こすのでは」という期待がいまだに根強く、メインネットローンチ後の動向が注視されるところです。
AIエージェントVirtuals Protocol、Solana初日に“水土不服”?
Baseチェーンで人気を集めたAIエージェントの発行プラットフォームVirtuals Protocolは、Solanaへの多チェーン展開を2025年2月12日に開始しました。事前には、Baseで盛り上がった「爆発的なプライス上昇」をSolanaでも再現するのではないかと期待されていましたが、初日は新規作成されたエージェントトークンが156個、卒業(=流動性プール作成までの到達)が13個のみで卒業率8.3%と低迷気味。
さらに、市場での価格も高値から大幅に下落するプロジェクトが目立つなど、「AIブーム後退のあおりを受けている」との指摘があります。Base上では累計取引量670億ドル超を記録し、日次収益も最大で100万ドルを上回るほどの存在感を示したVirtuals Protocolですが、AI Agent全体の熱が冷め込む中での多チェーン展開は容易ではないようです。
Arweaveの去中心化計算「AO」、エアドロップ反応が低調
Arweaveは“永久保存”を可能にする分散型ストレージとして知られています。そのArweaveが新たに始動した「AO」は、去中心化計算プラットフォームとして注目されました。
しかし2月11日に実施された最初のエアドロップは、SNS等でほとんど話題にならず「期待を大きく下回った」という声が多く上がっています。AOトークンは合計2,100万枚のビットコイン類似の減半モデルを導入し、36%がAR保有者への分配、64%が異なるチェーンの資産ブリッジ参加者に割り当てられます。
Arweaveネットワーク全体のアクティブユーザー数は増加傾向にあるものの、エコシステムとしてはまだ初期段階といえます。特にAO自体に専用のブラウザやダッシュボードが未整備で、実際の応用事例も乏しいのが現状です。「テクノロジーの可能性は評価されつつも、まだ形になっていない」という状態が、今回のエアドロップの盛り上がりに欠ける要因だと分析されています。
江蘇省高院:海外仮想通貨投資は中国法の保護対象外
2025年2月12日、江蘇省高級人民法院は公開した判例のなかで、海外の仮想通貨投資は中国における強制的な金融規制に反するため、損失を被ったとしても保護対象にならないと明確に述べました。
事例では、新加坡籍(シンガポール国籍)の投資家がパートナーに1,500万元以上を送金し、特定の海外仮想通貨を購入しましたが、最終的に口座が凍結され元本を全額失うというトラブルが発生。投資家が訴訟を起こしたものの、裁判所は「当事者が中国の金融監管に反する行為をしており、投資損失を補填する法的保護はない」とする判断を示しました。
このように、中国国内外をまたいだ仮想通貨の取り扱いには厳しい姿勢が続いています。中国市場に向けたプロジェクトや取引所にとって、改めてリスク管理が問われる内容となっています。
BitGoがIPO検討、トークンカストディ市場拡大への期待
大手暗号資産カストディ企業BitGoが、早ければ2025年下半期にもIPO(株式上場)を実施する計画を進めていると報じられました。BitGoは2023年に1億ドルの資金調達を行い、評価額は17.5億ドルに達したとされます。
カストディサービスは機関投資家向けに資産管理の信頼性を高める重要な領域であり、大手機関からの参入やさらなる規制整備が進むにつれて市場規模は今後も拡大が見込まれています。上場が実現すれば、暗号資産業界に新たな注目を集めるマイルストーンになる可能性が高いでしょう。
トランプ家のWLFI、新ファンドでビットコインやETHに“分散投資”
2025年2月11日、アメリカ前大統領ドナルド・トランプ氏の家族が関わるDeFiプラットフォーム「World Liberty Financial(WLFI)」が、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など主要仮想通貨を対象とする「マクロ戦略ファンド」のローンチを発表しました。
WLFIによると、同ファンドは伝統金融機関とも連携し、“トークン化された資産”の採用拡大を目指す方針。ビットコインやイーサリアムのほか、複数の仮想通貨を活用して、多角的なポートフォリオを組成するとしています。
さらにトランプ家は、イーサリアムの技術を行政サービスなどに導入する可能性を示唆していたとも伝えられ、話題を呼んでいます。具体的な進展は不明ながら、WLFIが政府機関や大手金融機関との連携を成功させれば、米国内のデジタル資産市場においても一つの転機となるでしょう。