【要約】
本記事では、暗号資産市場におけるAI AgentブームとDeFi Summerとの比較、BNBを活用したローンチプールやメガドロップを中心とする「懶人(らいじん)型」運用手法、Uniswap V4のリリース延期、MiCA(EUの規制)施行後のUSDT時価総額の動向、さらにイーロン・マスク氏が率いるX社のスーパーアプリ構想まで、2025年を見据えた暗号資産市場の最新トピックを詳細に解説します。
1.AI Agent市場がもたらす新時代:DeFi Summerを超える可能性
暗号資産市場では周期ごとに主導的な“テーマ”が生まれ、近年では「AI+Crypto」の分野が大きな注目を集めています。特に「AI Agent」のブームは、かつてのDeFi Summer期(2020年頃)を彷彿とさせる勢いがあると指摘されています。
- 時価総額の比較
- 2020年のDeFi Summer期、市場全体のDeFi時価総額は一気に60億ドル台まで急伸し、その後2021年には500億ドルを超えて成熟期へと向かいました。
- 一方、1月2日時点でのAI Agent含む加密AI(暗号AI)セクターは、既に約488億ドルに達しており、DeFiの初期上昇期を上回る伸びを見せています。
- 資金流入と懸念
- AI Agentプロジェクトには多くの資本が流入し、2024年には新規投資も急増しました。一方で、MessariのレポートではAI Agentが2025年Q1にピークを迎え、その後回復しない可能性を示唆するなど、慎重な見方も存在します。
- DeFi同様に高い投機色が強まることで、実需やユーザーベースの形成が追いつかないリスクがある点は注意が必要です。
2.BNB活用の「懶人型」運用術:Launchpoolとメガドロップで稼ぐ
「懶人躺赚(らいじんとうざん)」という表現は、中国語で「努力せず稼ぐ」ようなニュアンスを持ちます。BNBを使って、運用リスクを可能な限り抑えつつ収益を狙う投資手法が注目されています。
- 初期投資とBNB価格の上昇
- 2024年1月にBNB10枚を購入した場合、当時は1枚約313.5ドルでしたが、年末には約702.3ドルに上昇し、単純な価格差だけでも124%程度の伸びを記録しました。
- Launchpoolでの報酬
- コインを預けるだけで新規トークンが付与されるLaunchpoolは、2024年に合計21回の実施があり、平均して約1.6%ほどの報酬が得られたと試算されています。
- トークンを最高値で売却できたケースでは、1回につき平均70ドル前後を得られ、通算では1481ドル程度となったという推計もあり、十分な副収入となり得ます。
- MegadropやHodler Airdrop
- Launchpoolに加えて、メガドロップやHodler Airdropといった特典的な空投(エアドロップ)も定期的に実施され、これらをフル活用することでさらに17%ほどの上乗せ利回りが期待できます。
- 複利運用の優位性
- 付与されたトークンを都度BNBに換えて再投資(複利運用)すると、最終的にBNB保有数そのものが増え、結果的に高いリターンが得られる傾向が指摘されています。
3.Uniswap V4のリリース延期と新機能への期待
分散型取引所(DEX)の代表格であるUniswapは、最新バージョンの「Uniswap V4」を2024年Q3にリリース予定でしたが、2025年に先延ばしすると公式発表がありました。
- 機能拡張:Hooksや動的手数料
- V4では「Hooks」と呼ばれる仕組みが導入され、取引前後にカスタムコードを実行できるようになる見込みです。
- これにより、限価注文や自動流動性戦略など、高度なカスタマイズが可能になります。
- 実需拡大のカギ
- V3からV4へのアップデートで、ガス代削減やプール設計の柔軟性向上が期待されており、ローンチ時のインパクトが注目されます。
4.イーロン・マスク氏のX社が目指す「スーパーアプリ」構想
SNSプラットフォームX(旧Twitter)は、2025年に向けて「金融」「AI」「ソーシャル」を一体化したスーパーアプリへと進化する意向を示しています。
- XTVとXMoneyの導入
- CEOのリンダ・ヤッカリーノ氏によれば、動画プラットフォーム「XTV」や決済機能「XMoney」の整備、そしてAIチャットボット「Grok」の深い統合など、新サービスが準備中とされています。
- フィンテック領域への本格参入
- 既にXは複数の州で送金ライセンスを取得しており、PayPalなど既存のオンライン決済と競合し得る土台が整いつつあります。
- 暗号資産市場への影響
- 将来的には、ユーザーがソーシャル活動と同じアカウント上で暗号資産を送金・投資できるようになる可能性もあり、業界全体の流動性や利便性向上が見込まれます。
5.MiCA施行後のUSDT時価総額動向
EUの暗号資産市場規制であるMiCA(Markets in Crypto-Assets Regulation)が全面的に施行され、いくつかの取引所がUSDTの上場廃止措置を取り始めました。
- 時価総額の一時的な減少
- USDTは1月2日時点で時価総額が約1372.4億ドルへと1.1%下落し、FTX崩壊(2022年11月)以来の大きな週次下落率を記録しました。
- EU規制の影響範囲
- ユーロ圏取引所の対応による下落との見方があり、主要市場であるアジアや米国には影響が限定的とする見解もあります。
- 一部ではEUの規制強化が域内のデジタル資産イノベーションを阻害する懸念も指摘されています。
6.AI Agent投資の実践ポイント:冷静な目線と熱意ある行動
AI Agent関連市場は今後も加熱が見込まれますが、投資家としては以下の点に留意する必要があります。
- 短期PVP(投機)ではなく、中長期的PVE(実需)を重視:DeFi Summer同様に、最初は投機目的の資金が入りやすいものの、長期的には実際のユースケースが評価されます。
- エコシステムの動向を見極める:AI Agentを支えるLaunchpad、インフラ構築プロジェクトや大手VC(例:ai16z)からの資金調達など、関連性の強い取り組みを複合的にチェックする姿勢が重要です。
- 競合プロジェクト同士を比較検討:一つのプロジェクトが盛り上がれば、同様のコンセプトを掲げる競合も増えます。技術面や開発体制を総合的に評価することで割高・割安を判断できます。
- リスク管理と冷静なトレードルール:トークン価格が急上昇したときは一部利確や小まめな再投資を行い、ボラティリティと上手に付き合うことが長期的な資産保全の鍵です。
以上のように、AI Agent分野やDeFi関連の話題は、2025年にかけて多角的な進展が予想されます。一方で、BNBの運用方法やUniswapの新バージョン、X社のスーパーアプリ計画、さらにUSDTの規制状況を含め、暗号資産市場の全体像を俯瞰しながら投資機会を捉えることが、これからの最重要ポイントと言えるでしょう。