2024年11月30日暗号資産ニュース|World ID試験とDeFiの動向

2024年11月末は、トークン発行や分散型取引の活発化とともに、本人に関する情報の証明方法、資産管理の安全性が話題になった。World IDの試験は対象国を限定して始まり、Uniswapでは一部ネットワークを集計した取引量が過去最高と報じられた。本稿では11月30日前後の主要な話題を五つ取り上げる。後日の公式回顧や更新情報を補足する箇所には、その日付も示した。

World IDの旅券認証試験は4か国でiOS先行

ZDNet Koreaが11月29日に報じたTools for Humanityの発表によると、World IDの旅券資格証明機能の試験は、韓国、マレーシア、コロンビア、チリで始まった。最初の対象はiOSで、Android版はその後の提供予定とされていた。日本はこの発表の試験対象国には含まれていない。

旅券を使った資格証明は、必要な属性だけを相手に示すための機能である。例えば年齢の条件を満たすことを伝える際に、生年月日などの情報一式をそのまま渡す必要を減らす考え方だ。Worldの説明では、NFC対応旅券の情報を利用し、データは利用者の端末に保存する。

これは旅券そのものを新しく発行する制度ではない。国境で使用する渡航書類と、アプリ上で属性を証明する資格情報は役割が異なる。また、旅券情報の追加と、Orbを使う人間の一意性の確認も別の手続きとして説明されている。

公式ブログは2025年12月1日に更新され、日本を含む対象地域の拡大やiOS・Androidへの対応を記載している。この更新後の一覧を、2024年11月時点で既に利用できた国や端末の一覧へ置き換えることはできない。試験開始時と後日の拡張を分ける必要がある。

WLDを受け取れるかどうかにも地域や年齢などの条件がある。機能の利用資格とトークン配布の資格を同一視せず、実際の利用時点の案内を確認したい。個人情報の扱いを調べる際は、何を端末へ読み込み、相手へ何を証明するのかを分けて読むと、仕組みを理解しやすい。

Uniswapの380億ドルは対象ネットワークを集計した数字

11月28日のCointelegraphは、Duneのデータを引用して、Uniswapの主要なEthereum周辺ネットワークでの11月取引量が380億ドルに達したと報じた。記事はBase、Arbitrum、Polygon、Optimismなどを挙げ、3月の従来最高値を40億ドル上回ったとしている。

この数字はUniswapの全チェーンを合算した総取引量ではない。報道はL2の取引量として紹介しているが、集計対象にはPolygonも含まれるため、ネットワーク名を省いて『EthereumのL2全体』の統計として使い回すことも避けたい。比較するときは、同じデータの同じ集計対象を見る必要がある。

また、報道日は11月28日である。月末を待たずに従来の記録を上回ったというニュースと、11月全体の確定集計とは違う。記事中の内訳ではArbitrumが195億ドル、Baseが130億ドルとされており、どのネットワークで売買が増えたかを考える材料になる。

取引量は一定期間に成立した売買の規模を示す。同じ資金が繰り返し取引されれば、その都度計上され得るため、380億ドルの新規資金が流入したことや、同額が預けられたことを意味しない。利用者数を調べたい場合も、売買額だけでは足りない。

売買額、手数料、運営側の収入、トークン保有者の損益は、それぞれ別の数字である。旧稿の手数料544万ドルは期間と対象を確かめられなかったため、月間取引量に対応する収益としては掲載しない。取引量の拡大は利用の活発さを示す一つの材料だが、UNIの将来価格を直接計算できる指標ではない。

ClankerとPump.funは利用チェーンと比較期間を分ける

11月末には、Baseで注目されたClankerと、SolanaのPump.funを比べる論考も広がった。両方を『Base内の発行プラットフォーム』とした旧稿の説明は適切ではない。当時の比較は、異なるチェーンでトークン発行を簡単にするサービスが、どのように利用を集めていたかという話である。

PANewsが紹介した研究者Poopman氏の比較では、Pump.funの約10か月の累計収入と、Clankerの約20日間の収入が並べられていた。運営期間が違う数字をそのまま順位にしても、一日当たりの稼ぐ力や今後の成長率は分からない。比較元自身も、Clanker側には受け取ったトークンの評価に伴う問題があると指摘している。

発行数の増加率にも同じ注意が必要だ。既に大量のトークンが発行されたサービスと、始まって間もないサービスでは、割合を計算する出発点が大きく異なる。小さな母数からの高い伸び率は、発行総数や取引人数で相手を追い越したことを示さない。

Clankerの現在の公式案内は、Farcaster上での呼び出しやウェブ画面を通じた発行方法を紹介し、Base以外の対応チェーンも記載している。ただし、現在の対応範囲や報酬設定を2024年11月の仕様として説明することはできない。手数料の比較には、契約のバージョンと適用時期も必要になる。

利用者にとって重要なのは、サービスの収入と自分が買うトークンの収益を混同しないことだ。売買が多ければサービス側に手数料が生じても、購入者が利益を得るとは限らない。発行しやすいこと自体も、発行者の事業内容や将来の需要を保証する仕組みではない。

DEXXの被害から考える取引ツールと資産管理

11月16日に発生したDEXXの被害は、オンチェーンで取引するためのツールにも安全性の確認が必要だと示した。後日公表されたSlowMistの12月3日付月次報告は、DEXXの被害を2,100万ドルと記録し、Solana上で攻撃者側の8,612アドレスを特定したと説明している。

これは報告時点の調査結果であり、アドレス数をそのまま被害者の人数へ読み替えることはできない。本稿で確認した月次報告だけから、すべての利用者が被害に遭ったこと、最終的な被害総額、個別の返還結果まで断定することもしない。

取引画面がDEXに接続していることと、署名に使う秘密鍵を利用者だけが管理していることは別である。資産の残高がブロックチェーン上に記録されていても、誰が送金を実行できる状態なのかは、利用するアプリや管理方法によって変わる。

ツールを評価する際には、鍵の生成場所、保存場所、外部への送信の有無、署名権限を誰が持つかを見る必要がある。便利な操作画面や高速な売買機能があるだけでは、こうした点を確認したことにならない。

Ethereumの利用者向け安全資料も、秘密鍵や復元用フレーズの保護、署名内容の確認を重視している。自己管理へ切り替えればあらゆる被害を防げるわけではなく、偽サイトへの入力や意図しない承認などへの注意は残る。自分で管理する場合にも、失えば復元できない情報と、他人に渡してはいけない情報を理解しておくことが欠かせない。

Devcon SEAはEthereumの使い道と共同体を議論

Devcon SEAは2024年11月12〜15日にバンコクで開催された。相場の動きだけでなく、Ethereumをどのように発展させ、実際の利用へつなげるかが話し合われた開発者向けの会議である。11月末のニュースとして振り返る際も、会議が30日に開催されたと受け取られないよう日付を区別したい。

12月4日のEthereum Foundationの公式回顧は、L1・L2の進展、利用体験、プライバシー、分散性などを主要な議論として紹介している。Aya Miyaguchi氏の講演については、無限の庭園という考え方と、財団がどのように活動するかを扱ったと記している。

庭園という表現は、多様な参加者がそれぞれの活動を育てるEthereumの姿を伝える比喩として読むのが自然だ。単独の企業が製品仕様を一方的に決める場面とは異なり、研究者、開発者、利用者の提案と実装が関わる。

もっとも、会議で語られた構想と、既にネットワークへ導入された機能は分けて確認する必要がある。魅力的な発表があっても、実装、検証、採用の段階が残る場合がある。イベントへの参加や議論の盛り上がりだけを、特定トークンの値上がりの根拠とすることはできない。

今回の五つの話題には、発行や取引を容易にする動きと、本人の情報や資産をどう守るかという課題が重なっている。利用の拡大を評価するときは、取引額の大きさに加え、対応地域、管理権限、実装済みの機能を確認することで、何が実際に変わったのかを捉えやすくなる。

よくある質問

Q. World IDの旅券認証試験は当初から日本で使えましたか?

A. 2024年11月29日の試験開始報道で挙げられたのは韓国、マレーシア、コロンビア、チリです。日本を含む後日の対象拡大とは区別しています。

Q. Uniswapの380億ドルは新規資金流入額ですか?

A. いいえ。11月28日の報道にある対象ネットワークの売買取引量です。新規流入額、預かり資産、収益とは異なります。

Q. DEXXの8,612アドレスは被害者数ですか?

A. SlowMistの12月3日付報告が示したのは、Solana上で特定した攻撃者側のアドレス数です。被害者の人数を示す数字ではありません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。