2024年8月28日|XapoのBTCファンドとWeb3資金調達

2024年8月28日前後には、ビットコインを運用するファンドの計画と、Web3の基盤技術を開発する企業への出資が相次いで明らかになりました。ここではXapo BankとHilbert Capital、Space and Time、Solayerの三つを取り上げます。資金の集まり方は似て見えても、運用を委ねるファンドと事業開発のための資金調達では、目的もリスクも異なります。当時の計画と、後日に確認された立ち上げ・技術公開を分けて振り返ります。

XapoとHilbertの2億ドルは、当初の受け入れ見込み

スウェーデンのHilbert Groupは2024年8月27日、資産運用部門のHilbert CapitalがXapo Bankと提携し、ビットコイン建てのヘッジファンドを運用すると発表しました。予定されていた開始時期は同年9月です。発表文は、Xapo Bankなどから2024年中に2億ドルを超える初期投資資金が集まると見込んでいました。8月27日にその全額の入金が完了したという発表ではありません。

その後、9月16日の発表で、ファンドが3,000 BTCの初期投資を受けて立ち上がったことが報告されました。当時のドル換算額は約1億7,500万ドルです。8月の見込みと9月の開始時点の実績を併記すると、「2億ドルを調達済みのファンド」という読み違いを避けられます。BTC数量とドル評価額は、同じものを違う単位で表した数値であることにも注意が必要です。

BTC建てで運用する商品の成績は、BTCを何枚増減させたかという評価と、円やドルに換算した評価が一致するとは限りません。例えばBTCの数量が増えても、円に対するBTC価格が大きく下がれば、円換算の価値は減る可能性があります。資金調達額のドル表示だけから、運用の成果や保有者の利益を判断することはできません。

貸し付け型のBTC運用は、単純な保有とは仕組みが違う

当初の発表は、企業やプロ投資家向けに、機関投資家水準の信用取引を通じてBTCの収益を得る機会を提供すると説明していました。現在のHilbertの商品ページでも、主な手法は機関向けの貸し付けとされ、ビットコインをそのまま保有するだけのファンドではありません。資産価格の変化に加え、貸し付け先の返済能力や資金の回収条件が関係します。

2026年9月27日に確認した商品説明には、最低投資額2 BTC、Xapo Bankの口座を通じたアクセス、30日前の通知を伴う月次の換金条件が示されています。これらは現在確認できる案内であり、2024年の最初の発表に全て書かれていた条件ではありません。また、ウェブ上に商品情報があることと、日本居住者が同じ条件で申し込めることは別です。本記事は日本向けの募集案内ではありません。

運用会社は、借り手の分散や短期の貸し付け、レバレッジを用いない方針などを説明しています。ただし、リスクを抑える方針があることは、元本の保証とは異なります。銀行名を冠した商品でも、預金と投資ファンドを同じものとして読まないことが重要です。利回りの表示を比べる際にも、手数料控除前後、運用通貨、出金制約をそろえて確認する必要があります。

Space and Timeは2,000万ドルを調達し、データ検証を開発

2024年8月27日には、Space and Time LabsがシリーズAで2,000万ドルを調達し、累計調達額が5,000万ドルに達したことが報じられました。同社の発表でも調達額と参加投資家を確認できます。主導したのはFramework Ventures、Lightspeed Faction、Arrington Capital、Hivemind Capitalで、Microsoftの投資部門M12なども参加しています。大手企業の関与は、開発成果や投資商品の価値が保証されたという意味ではありません。

同社が開発するのは、ブロックチェーン上と外部のデータを扱い、計算結果を検証できる基盤です。代表的な技術がProof of SQLで、SQLというデータベースの問い合わせ言語による計算に、暗号学的な証明を付けます。スマートコントラクトが大量のデータを自分で保存・集計する負担を避けつつ、外部で計算した結果を検証することが狙いです。

例えば、ある期間の取引データから条件に合う利用者を集計し、その結果に基づいて処理するアプリが考えられます。単に外部サーバーから結果の数字を受け取る場合と比べ、指定したデータと問い合わせに沿う計算だったかを確認できる点が特徴です。これは「AIとブロックチェーンを融合する」という表現だけでは伝わりにくい、具体的な開発対象です。

Proof of SQLが証明する範囲と、2025年のメインネット

Space and Timeの技術解説によると、Proof of SQLは取り込まれたデータが後から改変されていないことや、そのデータに対して正しく計算した結果であることを検証する仕組みです。ここから、入力した外部データが現実の出来事を正確に記録していたかという問題は別に残ると分かります。正しい集計方法でも、元の記録が誤っていれば、現実について正しい結論になるとは限りません。

そのため、AIが生成した文章の事実関係をすべて自動的に保証する技術、と説明するのは広げすぎです。AIが使うデータや、データから導かれた計算結果の検証に役立つことと、生成された回答全体の正しさは同じではありません。実際の用途を評価するには、何を入力し、どの処理について証明を作り、どのシステムが検証するのかを確認します。

後日の進展として、2025年5月8日の同社発表では、公開・許可不要のメインネット稼働が告知されました。2026年に確認できる開発者向け資料にも、スマートコントラクトからSQLの問い合わせを依頼し、証明付きの結果を受け取る仕組みが案内されています。資金調達から公開ネットワークへ進んだことは確認できますが、それだけで全利用者への普及や各用途での収益化まで実証されたわけではありません。

Solayerの1,200万ドル調達は、Solanaの利用基盤拡張に向けたもの

Solayerは2024年8月28日付の公式ブログで、1,200万ドルの資金調達を発表しました。公式文面ではPolychainとHack VCが主導したラウンドと説明されています。当時の中心テーマは、Solana上でのリステーキングを通じて、アプリがネットワーク資源を使いやすくすることでした。SolayerとSolanaは名前が似ていますが、Solanaそのものの資金調達ではありません。

同社が説明した仕組みは、ステーク量を考慮して通信を扱うSolanaの機能を活用し、アプリ側に帯域を確保するというものです。リステーキングという言葉だけを聞くと追加の報酬に目が向きがちですが、この構想では混雑時の取引の通りやすさや、アプリに割り当てられる資源が重要でした。当時の資料にある預かり資産額やアドレス数も、同社が報告した特定時点の数値です。

この出資ニュースから、新しいトークンの価格や配布量を算出することはできません。企業への出資条件、ネットワークに預けられる資産、将来発行されるトークンの権利は別の情報です。資金調達を理由に、預け入れさえすれば確実に報酬が付くと解釈しないようにしてください。

Solayerはその後InfiniSVMへ、計画の進展は段階ごとに確認

後日のSolayerは、専用ハードウェアを活用するSVM互換の実行基盤、InfiniSVMを展開しました。2025年12月10日付の配信発表はMainnet Alphaの開始を伝え、公式ブログにも12月11日付で同段階の公開が掲載されています。これは2024年8月に説明された資金調達の後に進んだ開発であり、当時すでに完成していた機能として扱うべきではありません。

発表には高い取引処理性能も掲げられていますが、開発元の性能説明と、異なる負荷や利用条件の下での独立測定は区別します。また、Solanaとの互換性があることと、同じネットワーク・同じ安全性を無条件に共有することも別です。資産を移す場合には接続先のネットワークやブリッジが追加される点を理解する必要があります。

三つのニュースを比較すると、XapoとHilbertでは集まったBTCと運用条件、Space and Timeでは検証の対象と実装、Solayerでは当初のリステーキングと後の実行基盤が確認の軸になります。発表額の大きさに加えて、その後に何が公開され、どの条件が変わったかまで追うことで、過去のニュースを現在の判断材料として読み直せます。

よくある質問

Q. Xapoのファンドは発表時に2億ドルが集まっていましたか?

A. 2024年8月27日の発表は年内の受け入れ見込みでした。9月16日に公表された開始時の初期投資は3,000 BTC、当時約1億7,500万ドルです。

Q. Space and TimeはAIの回答を全て正しいと証明しますか?

A. そのようには説明できません。Proof of SQLの中心は、取り込まれたデータとSQLの計算結果の検証です。元データの現実との一致や、AIの回答全体の正確性とは分けて考えます。

Q. Solayerの資金調達は利用者の利益を保証しますか?

A. 保証しません。開発資金の調達と、個々の利用者が受け取る報酬やトークンの価値は別です。2024年の発表と、その後に公開されたネットワークも区別する必要があります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。