▽ 要約
市況:BTC/ETHは出来高変動でレンジ継続。
取引所:Binance SAFU買付とBithumb誤配布が焦点。
規制:米SEC/CFTC・EU MiCA・香港ステーブルコイン制度が具体化。
企業:FidelityのFIDDとTether出資でインフラ投資。
世界の主要材料(市況・取引所・規制・企業・運用リスク)を、2026-02-12の一次情報中心に要点整理する。

価格が動きにくい局面でも、材料は取引所の資金フローと規制の具体化から出やすい。2026-02-12 10:32 JST時点のBTC/ETH市況を起点に、BinanceのSAFU買付、Bithumbの誤配布、米欧亜の制度更新、企業のステーブルコイン動向を整理し、短期の注目点を解説します。
市況総括(価格・フロー・センチメント)
BTCは$67,000台、ETHは$1,900台で、方向感よりもレンジ管理が優勢だ。
グローバル時価総額は約$2.37Tで、ビットコイン優位の構造が続く。ビットコイン・ドミナンスは約57%と高水準で、ステーブルコイン比率も約13%を占めるため、リスク資産全体の地合いに加えてドル流動性の影響も受けやすい。
主要2銘柄の水準は、現物の価格帯よりも出来高の伸縮が目先の温度感を決めやすい。以下は2026-02-12 10:32 JST時点の表示値で、短期の比較用に押さえておきたい。
| 指標(USD) | BTC | ETH |
|---|---|---|
| 現在値 | 67,486.65 | 1,969.47 |
| 時価総額 | 1,349,625,588,845 | 237,118,706,161 |
| 24h出来高 | 55,195,275,072 | 24,772,940,643 |
デリバティブのレンジと資金調達
DeribitのBTC無期限は24hで約5%幅の高安となり、資金調達率は中立に近い。
オープンインタレストと資金調達率は、ニュース耐性(清算耐性)を測る実務指標になる。高値・安値レンジが拡大しても資金調達が片側に張り付かない間は、急激な踏み上げ/投げ売りが連鎖しにくい一方、板が薄い時間帯は小さなフローで振れやすい。
大口ポジションの巻き戻し
大口のETHロング撤退が報じられ、レバレッジの片寄りが修正される局面も想定される。
オンチェーン監視ではTrend ResearchがETHロングを解消したとの情報が流通した。最大で約$2.1B規模のロングを積み上げた後、最終損益が約-$869Mとされるため、ポジションの「積み上げ」よりも「解消の速度」が市場ボラを左右しやすい。
取引所と市場インフラ
資金フローの透明化が進む一方、運用事故の再発防止が取引所の信頼コストを左右する。
BinanceはSAFUの$1B相当準備をBTCへ転換し、段階的に買付を実行している。方針として30日でステーブルコイン準備をBTCへ移し、評価額が$800Mを下回れば$1Bへ戻すリバランスも明記したうえで、2026-02-06に3,600 BTC、2026-02-09に4,225 BTCの購入を公表し、残高は10,455 BTCとしている。
Bithumbでは報酬システムの誤入力が大規模な誤付与を招き、当局主導の点検に発展した。韓国当局の整理では2026-02-06 19:00(KST)頃にイベント報酬が1人あたり2,000ウォンではなく2,000BTCとなり、対象695名・総量620,000BTCを誤計上し、2026-02-06 19:35(KST)から取引・出金遮断を実施した。
回収状況は「スピード」と「整合性」が論点になる。2026-02-07 04:00(KST)時点で620,000BTCのうち618,214BTC(99.7%)を取引前に回収し、売却された1,786BTCも約93%回収とされ、金融当局・FIU・監督当局・業界(DAXA)が緊急対応班を構成して内部統制点検を進めた。
BybitはEEA向けにIBAN口座を提供し、法定通貨の入出金導線を拡充したとされる。銀行送金(EUR)での入出金を簡素化する設計で、取引所の「オン/オフランプ」の多様化が競争軸になりつつある。
規制・政策アップデート
米欧亜で「制度を回す」フェーズに入り、移行期の運用と監督連携が焦点だ。
SECとCFTCは2026-01-29に共同イベントを開き、市場構造の調和を前面に出した。デリバティブと現物、証券とコモディティの境界を跨ぐ取引が拡大する中で、監督の重複や空白をどう埋めるかが「制度面のボラティリティ」になりやすい。
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ESMAはMiCA移行期の「グランドファザー」期間を整理し、各国差を意識した対応を促した。各国法の下で2024-12-30以前からサービス提供していた事業者は、最長で2026-07-01またはMiCA認可の付与/拒否まで継続可能とされ、移行期間中の監督の足並みが市場アクセスを左右する。
香港では2025-08-01に法定通貨参照型ステーブルコインの免許制度が始まり、発行は規制業務になった。免許要件・監督・登録簿が整備されるほど、ステーブルコインは「トークン」ではなく「決済インフラ」として評価されやすい。
日本:サイバーセキュリティ強化と税制論点
金融庁は交換業者向けのサイバー強化策を示し、課税・ETF論点も資料で整理した。
金融庁は2026-02-10にサイバーセキュリティ強化方針(案)を公表した。2026事務年度以降のCSSA実施を明示し、業界の情報共有やDelta Wall演習への参加促進、脅威ベースのペネトレーションテスト(TLPT)実証などを通じて、実装レベルの底上げを狙う。意見募集は2026-03-11 17:00(JST)までとしている。
税制資料では暗号資産取引の分離課税や暗号資産ETF検討が論点として明示された。法改正を前提に、暗号資産の譲渡所得やデリバティブ、暗号資産ETF等を申告分離課税の対象とし、損失の3年間繰越控除や報告義務整備も示されている。
体制面でも監督の専門化が進む可能性がある。金融庁の機構・定員案では「暗号資産・ステーブルコイン課」を設置し、2026年夏の組織再編を予定するとしている。
中国は2026-02-06の八部門通知で、虚拟货币関連業務を違法金融活動として再度明確化した。ビットコイン等は法定通貨と同等の地位を持たず、関連業務を厳格に禁止し、許可なき人民元連動ステーブルコインの域外発行も禁じるなど、越境提供を含めて高圧的な枠組みを示した。
企業・開発・セキュリティ
ステーブルコインは伝統金融の参入が進み、インフラ投資と運用リスク管理が並走している。
Fidelityはステーブルコイン「Fidelity Digital Dollar(FIDD)」を開始した。発行主体をFidelity Digital Assets, National Associationとし、適格顧客が$1で購入/償還できる設計や、Ethereumメインネット宛て送付の可否、日次での供給量・準備開示を明記している。
Tetherは米国のデジタル資産銀行Anchorage Digitalに$100M出資し、規制下インフラへ資本を投じた。カストディや決済レイヤーに資本が集まるほど、発行体の信用力だけでなく「運用体制」「監督適合性」が競争優位になりやすい。
取引所ビジネスは規制コストと収益変動の中で人員最適化の動きも出ている。報道ではGeminiが約200人の削減や海外事業縮小を検討したとされ、各社は固定費圧縮と収益源の多角化を迫られる。
伝統金融の参入は日本勢にも広がっている。報道ではNomuraがLaser Digitalの子会社で暗号資産取引所「Laser Digital Exchange」を立ち上げるため、ライセンス申請を行ったとされる。
Ethereum:Glamsterdamと提案の焦点
Ethereumは次期「Glamsterdam」を開発中とし、ePBS(EIP-7732)やBALs(EIP-7928)が議論材料になっている。
ロードマップ上ではGlamsterdamが「in development」として掲示されている。仕様策定と実装が先行する段階では、開発進捗そのものよりも、互換性・リスク(アップグレード延期や仕様変更)の見積りが周辺エコシステムの計画に波及しやすい。
運用事故と長期セキュリティ論点
ハックだけでなく、誤配布のような手順ミスが短時間で巨額のリスクを顕在化させる。
Bithumbの件は外部侵入ではなく支払プロセスの誤入力と整理された。取引所の信頼は「保有残高」だけでなく、台帳整合性の検証、二重三重の承認、人的ミスの抑止設計で担保されるため、当局の点検は他社の内部統制水準にも波及し得る。
トークンアンロックの需給チェック
アンロックは「受領→入金→売却」が可視化された瞬間に板への圧力になりやすい。
直近では2026-02-23にSOONのNFT保有者向け配布が予定されている。価格予測よりも、取引所入金の増加、パーペチュアルの資金調達率とOI、板厚(薄いほどニュース耐性が低下)、OTCから取引所への売り先シフトをセットで監視する方が実務的だ。
▽ FAQ
Q. Binance SAFUのBTC転換は市場にどう影響する?
A. BinanceはSAFUの$1Bを30日でBTCへ転換し、$800M下回りでリバランスも想定されるため、継続性も確認したい。
Q. Bithumbの誤配布はハックなのか?
A. 韓国当局は2026-02-06に695名へ計620,000BTCを誤付与した運用事故と整理し、取引停止は19:35開始と公表。
Q. MiCA移行期でEUの既存CASPはいつまで営業できる?
A. ESMAは、既存CASPが各国の移行措置の下で最長2026-07-01またはMiCA認可の付与/拒否まで継続可能と説明。
Q. 日本の金融庁が示したサイバー強化策の要点は?
A. 金融庁は2026-02-10公表の案で、2026事務年度から交換業者にCSSA実施を求め、Delta Wall演習やTLPT実証も掲げた。
■ ニュース解説
主要国の制度が具体化し取引所フローも可視化が進むため、材料は「価格」より「運用と監督」に寄っている。
一方で誤配布のような運用事故は短時間で信頼と流動性を損ね得るため、再発防止の実装が市場インフラの前提条件になる。
投資家の視点:短期では(1)取引所の大口入出金と保全方針、(2)デリバのOIと資金調達の偏り、(3)規制の移行期スケジュール、(4)アンロック前後のフローを横断して確認し、単一材料への過度な依存を避けたい。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
(参考:Deribit)





