2022年12月15日、ドナルド・トランプ氏を描いたTrump Digital Trading Cardsの第1弾が発売されました。1枚99ドルで販売されたデジタル収集品で、翌日には完売が報じられています。ただし、販売額がそのままトランプ氏個人の利益になるわけではなく、NFTを持てば画像の権利やすべての特典を無条件に得られるわけでもありません。初回販売の内容と、後続シリーズの条件を区別して整理します。
第1弾は45,000枚発行、一般販売は44,000枚
公式サイトの過去シリーズ説明によると、2022年12月のSeries 1では45,000枚が発行され、このうち44,000枚がサイトでの販売に回されました。したがって、コレクション全体の点数と、一般に売り出された枚数を同じ数字として扱うのは正確ではありません。発売と短時間での完売は、当時のThe Block報道でも確認できます。
カードには、宇宙飛行士やカウボーイなどに扮したトランプ氏の姿が描かれました。物理的な紙のカードそのものではなく、Polygon上のNFTとして提供された商品です。画像のデータと、ブロックチェーン上で管理されるトークンの所有記録は区別して理解する必要があります。
販売価格99ドルに一般販売44,000枚を掛けると、単純計算で435万6,000ドルになります。ただし、これは販売枚数と定価から求めた総額で、費用や税、契約上の取り分を差し引いた利益ではありません。元記事の「数百万ドルが約360万円」という円換算も桁が合わず、個人が得た利益として掲載できる数字ではありません。
運営主体とトランプ氏の肖像ライセンス
公式サイトは、NFT INT LLCがトランプ氏の名前・肖像・イメージを、CIC Digital LLCから有償で許諾を受けて使用していると説明しています。同時に、NFT INTはトランプ氏やThe Trump Organization、CIC Digitalなどによって所有・管理・支配されていないとの表示があります。これはサイトが説明する事業関係として読むべき内容です。
つまり、本人の肖像を使用した商品であることと、販売会社が本人そのものであることは同じではありません。消費者に対する販売契約、肖像利用の許諾、NFTに付随する画像の利用条件は、それぞれ別の関係です。売上から誰にいくら支払われたかまで、この表示だけで計算することはできません。
また、サイトは政治運動と関係のない収集品であると説明しています。NFT購入をそのまま選挙への献金と表現したり、購入者全員の政治的動機を推定したりする根拠はありません。この記事では政治的な賛否ではなく、商品と契約主体を確認します。著名人の関与だけで販売条件の確認を省かないことが重要です。
抽選と45枚購入のディナー特典を混同しない
当時の販売には抽選企画があり、面会やゴルフなどの体験が景品として紹介されました。一方、45枚以上の購入についてはディナーへの招待を保証する特典が当時の報道に記載されています。元記事の「45枚買うと抽選に参加できる」という説明では、この二つの制度が混ざっています。
ディナーへの招待は、トランプ氏と二人きりで食事をする権利と同じではありません。会場、参加人数、時期、必要な本人確認などの条件があり、カードを購入しただけで好きな日時の面会を要求できるという内容ではありません。景品名の印象と、実際の利用条件を分けて読む必要があります。
公式サイトには旧抽選規約へのリンクが残っていますが、現在表示されるアーカイブにはシリーズ表記の混在があります。そこで本稿では、2022年の購入特典は当時の報道と整合する範囲に絞り、現在のページに載る特典を第1弾に自動的に当てはめません。旅費などの追加負担や地域制限についても、対象となる企画の規約を確かめる必要があります。
特に日本からは、NFTを取得できることと米国での抽選に応募できることを同一視できません。公開されている旧抽選規約は米国50州とワシントンD.C.の適格な居住者を対象としています。現在の日本居住者に当時の応募資格があるという案内ではなく、過去の特典が今も新たに取得できるとも限りません。
価格、売買高、保有者数は別の数字
発売直後には、二次市場の最低出品価格や売買高が報じられました。しかし、最低出品価格はその価格で売れたことを示しません。売り手が設定した価格と、買い手が実際に支払った約定価格は異なり、手数料を差し引いた手取り額も別になります。
二次流通の売買高も、発行会社の売上やトランプ氏の受取額と一致するわけではありません。同じNFTが複数回売買されれば、その都度取引額に計上され得ます。元記事には時間と増加率、取引額の単位が混ざった文章があり、集計期間と元データを再確認できないため数値を引き継いでいません。
保有者数として表示されるウォレット数も、実人数の確定値ではありません。一人が複数のアドレスを管理する場合や、保管サービスがまとめて管理する場合があります。大口アドレスがあることから本人の所有と推測する記述は削除しました。アドレス残高は公開されても、所有者の身元を自動的に証明しないためです。
2026年の公式ページは後続版の情報を含む
2026年9月に公式サイトを確認すると、第1弾に加えSeries 2、Mugshot Edition、America First Editionなどが案内されています。過去シリーズの説明では、Series 2は47,000枚発行・46,000枚販売、Mugshot Editionは50,700枚発行・49,700枚販売とされています。第1弾の45,000枚という数字を、すべての関連NFTの合計と読むことはできません。
同じ人物の肖像と同じブランド名でも、シリーズが違えば発行数、契約、景品、転売制限などが異なります。現在のサイトには2025年1月31日まで譲渡できないという後続版の表示も残っていますが、これを2022年の第1弾全体の制限として書くのは誤りです。日付が過ぎた表示の存在だけで、現在の全機能の動作まで確認したことにもなりません。
本稿では販売画面で注文を完了したり、保有者向けの特典を行使したりしていません。従って、2026年時点の在庫、個別カードの売却可能価格、未使用特典の有効性は確認対象外です。二次市場で調べる場合も、名称や画像だけでなく、どのシリーズのコントラクトに属するかが重要になります。
購入で得る権利と得られない権利
公開されているNFT Owner Agreementは、NFT INTと所有者との契約として画像等のライセンスや移転条件を定めています。NFTの所有と、肖像を使った商品を自由に作って販売する権利や、関連企業の株式を得ることは別です。適用される契約の範囲を確認せず、著作権や商用利用権が全面的に移るとは判断できません。
公式サイトは収集を楽しむための商品であり、投資目的の商品ではないと説明しています。ただし、その表示があることは市場価格の下落を防ぐ仕組みではありません。数量が限定されても需要や買い注文が保証されるわけではなく、保有するだけで分配金や利益を受け取れるとの一般的な権利も確認できません。
この事例では、肖像を使う許諾、発行会社との契約、ブロックチェーンの記録、期間限定の販促企画が重なっています。それぞれを確認すれば、発売当時の人気と、今持っているカードの権利を混同せずに読めます。後から発行された別シリーズの宣伝を、手元のNFTの価値や特典の保証として扱わないことが大切です。
よくある質問
Q. 第1弾は45,000枚すべて一般販売されましたか。
A. 公式説明では45,000枚が発行され、一般販売されたのは44,000枚です。発行総数と販売枠を区別する必要があります。
Q. 45枚購入は抽選に参加する条件でしたか。
A. 当時の報道では45枚以上の購入によるディナー招待が説明されています。抽選企画とは分けて扱う必要があります。
Q. 2026年に第1弾を買えば今の特典も受けられますか。
A. そのようには確認できません。シリーズごとの条件、請求期限、利用済みかどうかなどを確認する必要があります。
この記事の出典
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




