ZachXBT、暗号インフルエンサー広告料流出

▽ 要約

漏洩:200超の広告料とウォレット判明。
開示:160超受諾も開示は5件未満。
金額:最高6万ドルなど価格差大。
規制:FTC・MiCA等で開示義務強化。

暗号調査員ZachXBTが2025年9月1日に200超の「広告料リスト」を公開し、160超のアカウントが受諾した一方で広告開示は5件未満と指摘したため、未開示プロモの実態と規制の射程が可視化された。読者は「ZachXBT インフルエンサー広告料リスト」の要点と、相場観・法規制・オンチェーン監視の実務を一度で把握できる。

何が起きたか(要点)

公開資料にインフルエンサー名・受取ウォレット・料金帯が並び、160超が受諾したのに開示は5件未満だったため、未開示プロモ慣行の広がりが露呈した。
公開はX(旧Twitter)のスレッドで、スプレッドシートの抜粋画像3枚が示され、対象は英語圏・中国語圏メディアを含め即日で拡散した。金額は1本あたり数百〜数万ドルが中心だが、上位は桁が違う。

帖数・パッケージの実情

一括割引や「動画付き2本」などのパッケージ提示が一般化していたため、案件は個人営業ではなく組織的運用の色彩が濃い。
ティア(Tier)ごとに単価が整列し、複数投稿やまとめ買いで単価調整が入る設計だった。ウォレット併記によりオンチェーン追跡の入口も付与された。

価格帯と「上位ティア」の相場観

最高額が6万ドルに達し、4万ドルや1.2万ドル/6ツイート等の提示が散見されたため、影響力(ないし見せかけの指標)が高値を形成した。
上位ティアではAtity(@Atitty_)が6万ドル、Sibelethが4万ドル/Eddyは6本で1.2万ドルなどの具体例が報じられ、下位は1本750〜1,500ドル帯も目立つ。ウォレット共有(Regrets10xとLynkox等)などの不自然な痕跡も指摘された。

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コンプライアンス(開示義務と各国規制)

広告である事実の明示が求められるため、開示なしの有償投稿は各国の規制と衝突する。
米国FTCのEndorsement Guides(16 CFR Part255)、英国ASAのCAP Code指針、日本の消費者庁によるステマ禁止(2023年10月施行)、EUのMiCA(マーケ・コミュニケーションの明確性等)を勘案すると、今回示された「95%超未開示」の慣行は規制上の重大リスクとなる。

過去の摘発・制裁の先例

有名人の無開示宣伝はSECの執行例が蓄積してきたため、暗号インフルエンサーにも波及し得る。
キム・カーダシアンの$1.26M和解、メイウェザー/DJキャレドのICO無開示案件など、無開示は当局の標的になりやすい。MiCA適用下のEUでは広告コミュニケーションの厳格化が継続している。

オンチェーン監視と実務上の手順

ウォレットが紐づいたため、宣伝前後の着金・取引所送金を時系列で追えば、未開示プロモや売り抜けの兆候を捉えやすくなる。
具体的には(1)対象インフルエンサーの受取アドレスをウォッチリスト化、(2)宣伝投稿タイムスタンプ±数時間の入出金とCEX入金を観測、(3)複数アカウント間のアドレス重複や資金合流をグラフ化する。共有ウォレットやスナイピング行動が浮き彫りになる。

限界と回避行動

混合サービスや新規アドレス乗換で追跡は難化するため、永続監視とアドレス群の更新が欠かせない。
公開後に当事者がアドレスを切替える可能性が高いため、メタデータ・投稿ログ・既知クラスターの相関で補完する。

過去事例との比較と市場影響

インフルエンサー煽動は短期の価格歪みをもたらすため、未開示プロモはポンプ&ダンプの温床になり得る。
直近ではCR7ミームコインが時価総額1.43億ドル到達後に98%急落したほか、アルゼンチンでは$LIBRA問題で捜査・弾劾要求が生じた。SNS拡散と未開示宣伝が結びつくと、一般投資家の損失が連鎖しやすい。

▽ FAQ

Q. 一次情報は何か?
A. 2025年9月1日のZachXBTのX投稿。200超・160超受諾・開示5件未満を示した(X)。

Q. 最高・相場は?
A. 上位は1投稿6万ドル、4万ドルも。下位は750〜1,500ドルや動画付パッケージ等。

Q. 何が規制上の問題?
A. FTC16 CFR Part255、ASA指針、日本のステマ禁止、MiCAの広告要件と齟齬。

Q. どう警戒すべき?
A. ウォレット監視で宣伝直後のCEX送金等を検知し、未開示プロモ銘柄を避ける。

■ ニュース解説

ZachXBTのX投稿で200超の広告料・ウォレットが露見したため、未開示プロモの横行とティア別相場が可視化された一方で、FTC・ASA・日本のステマ禁止・MiCAの要件と乖離が大きく、当局による調査強化と市場不信の拡大が懸念される。
投資家の視点:未開示プロモの特徴(投稿直後の出来高急増→上髭→CEX流入)を定量監視し、インフルエンサー名ではなくホワイトペーパー開示・トークン配布・ロック・資金フローで判断するのが一般的な対応。広告表示が明記された案件以外は原則見送り、オンチェーンで売買主体の偏りを確認してから少額参加にとどめる。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:X(ZachXBT)