Yuga Labs・著名人訴訟の経緯|2025年の却下命令と確認点

Bored Ape Yacht Club(BAYC)などの販売・宣伝をめぐり、購入者がYuga Labsや著名人らを訴えた民事訴訟は、2022年12月8日に米カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所へ提起されました。訴えたのは裁判所ではありません。原告が主張した非開示の宣伝報酬や不当な価格形成を、そのまま確定事実として扱うこともできません。その後、2025年9月30日には修正訴状を却下する命令が出ましたが、裁判所は再修正を認めています。当初の疑惑と、その後の手続き上の判断を分けて整理します。

購入者が起こした集団訴訟案として始まった

事件名はAdonis Realほか対Yuga Labsほか、事件番号は2:22-cv-08909です。公開事件記録は提訴日を2022年12月8日としています。12月9日以降に相次いだ報道の日付や、日本時間で記事を読んだ日を提訴日として置き換えないことが重要です。

当初の原告にはAdonis Real氏とAdam Titcher氏が含まれ、Yuga Labs関連の商品を購入した人々を代表する形で救済を求めました。ただし、集団訴訟として訴状が出たことと、裁判所が対象集団を正式に認定したことは同じではありません。全購入者が自動的に賠償の受取対象になったというニュースではありません。

被告には企業関係者に加え、ジャスティン・ビーバー、マドンナ、パリス・ヒルトン、ステフィン・カリーらの著名人が含まれました。氏名が被告欄に載ることは、裁判所がその人物の不正を認定したことを意味しません。主張の対象、各人の行為、適用される請求原因は個別に検討されるものです。

宣伝への関与と報酬をめぐる原告の主張

原告側は、著名人による紹介が独立した購入や自然な支持であるように見える一方、関係者の経済的利害が十分に開示されなかったと主張しました。MoonPayやGuy Oseary氏の役割についても訴状で述べています。しかし、これは原告が提示した事実関係と法的な構成であり、送金経路や秘密の報酬が司法判断で確定したと記述するのは不適切です。

元記事にあったMoonPayが資金を送るための隠れた組織だったとの断定は、この区別を欠いていました。また、「秘密の支払いがあれば勝訴条件はほぼ確実に満たされる」という予測もできません。実際の請求では、どの発言を誰が行ったか、どの情報が欠けていたか、購入との関係、損害などが問題になります。

有名人が画像をプロフィールに設定したこと、NFTを受け取ったこと、自費で購入したこと、報酬を得て勧誘したことは、それぞれ異なる行為です。SNSの画面だけでは区別できない場合があります。この訴訟を読む際にも、「保有を紹介した」と「対価を隠して宣伝した」を同じ意味で使わないことが必要です。

当時のCoinDesk報道では、Yuga Labsの広報担当者は請求に根拠がないと考えているとの立場を示しました。訴状の内容だけを紹介すると、このような反対の立場が抜け落ちます。提訴時点では当事者間に争いがあったことを踏まえて読む必要があります。

証券に該当するかが請求の前提となった

原告は、対象となるデジタル資産が証券に当たり、連邦証券法などに基づく責任が生じると主張しました。争われた商品はBAYCだけではなく、複数のNFTシリーズやApeCoinに及びます。ある商品の宣伝文句や取得条件が、別の商品にもそのまま当てはまるとは限りません。

2025年の命令では、投資契約かどうかを検討するHoweyテストが中心になりました。裁判所は、資金の投資、共同事業、他者の努力に由来する利益への期待という要素に沿って訴状の記載を分析しています。値上がりを望んで購入した人がいるというだけで、すべての要素が満たされるわけではありません。

この段階の検討は、原告が法的な請求を進めるのに足りる具体的事情を記載したかという問題です。NFT全般を株式と同じものとする判断でも、NFTという名称の商品を証券法から一律に除外する判断でもありません。販売の仕組みや説明を無視した一般化は避ける必要があります。

2025年9月30日の命令は何を判断したのか

Fernando M. Olguin判事は、被告側の却下申立てを認め、第二次修正訴状を再修正の許可付きで却下しました。命令は文書番号288として確認できます。原告が証券性に関する複数の要素を十分に主張していないことが、判断の柱になっています。

共同事業について、裁判所はEthereum上の資産と、発行者側が管理する仕組みに強く依存する別事件の資産を比較しました。また、内在的な価値や取引量に触れる宣伝が、直ちに投資利益の約束になるとはしていません。一方、将来の開発が運営側の努力に依存するという部分では、原告の主張を認め得ると検討しました。全論点を一括して否定したという要約は正確ではありません。

重要なのは、修正の機会が残された点です。命令は2025年10月10日までに第三次修正訴状を出すか、既存の訴状のまま進める意思を通知するよう求めています。これを「被告全員の完全勝訴が最終確定」「原告の疑惑がすべて虚偽と証明された」と表現することはできません。

2026年時点の結末は公開資料の確認範囲を区切る

2026年9月に確認した資料では、2025年9月30日の命令本文と、その判断を取り上げた法律事務所の年次解説を確認できました。ただし、本稿の調査では、それ以降の修正訴状、終局判決、控訴結果、全体を解決する和解を一連の記録として追い切れていません。したがって、現在も同じ請求が係属しているとも、訴訟全体が完全に終了したとも断定しません。

検索結果に却下という言葉があっても、何回目の訴状が対象か、再修正を認めたか、対象となる被告や請求はどれかを読む必要があります。また、当事者が提出した「命令案」は裁判官が実際に発した命令と異なります。表題だけを拾うと、まだ採用されていない要求を裁判結果と取り違えます。

Yuga Labsが関係する別の商標紛争や、証券当局の調査についての記事も、この購入者訴訟の結末を直接示すものではありません。会社名が同じでも事件番号や当事者、救済の内容が違います。後続情報を読む際には、本件の番号と文書の日付を合わせると混同を減らせます。

日本の読者が広告や訴訟報道から確かめたい点

この事件から得られる実務的な視点は、知名度や保有者の顔ぶれと、購入する権利の内容を切り離すことです。画像の利用条件、会員向け特典、将来の開発計画、事業収益への権利は同一ではありません。広告がどの商品を指していたかと、自分が取得したトークンの条件を照合する必要があります。

紹介文を保存する場合には、投稿の日付、投稿者、広告や提携関係を示す表示、購入時に見た説明を一緒に残すと経緯が明確になります。後から編集されたページや他人の要約だけでは、当時どの情報に接していたかを整理しにくくなります。これは本件で特定の人が請求できると判定するものではなく、情報の読み方についての注意点です。

米国の裁判所が特定の訴状について示した判断を、そのまま日本の法制度に置き換えることもできません。本稿で確認した命令は、日本居住者への販売を認可した文書でも、NFTの価格や返金を保証する文書でもありません。投資判断につなげる前に、誰の主張か、裁判所がどこまで判断したか、未確認の部分は何かを分けて読むことが大切です。

よくある質問

Q. Yuga Labsを訴えたのは裁判所ですか。

A. 違います。購入者が原告として連邦地方裁判所に訴えを起こしました。裁判所は当事者の請求や申立てを判断する側です。

Q. 著名人への秘密の支払いは確定した事実ですか。

A. 本稿で扱った内容は原告の主張です。今回確認した資料から、全被告について非開示の報酬や不正が確定したとはいえません。

Q. 2025年の却下で訴訟は完全終了しましたか。

A. 9月30日の命令は第二次修正訴状を却下し、再修正を認めています。本稿ではその後の終局判決や全体和解まで確認できていません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。