xStocksとは?ソラナ製トークン化株式の全貌

要約

グローバル投資:米国株を24時間売買し国境障壁を解消
低コスト決済:Kraken手数料ゼロ、ソラナ高速・即時完了
DeFi活用:担保・LP・レンディングで資本効率向上
規制対応:スイス法発行、MiFID II準拠、米国ユーザー除外
リスク管理:流動性乏しい時間帯の価格乖離と法改正に注意

ソラナ トークン化株式 xStocks とは何か――従来の株取引を暗号資産のスピードと自由度で再発明する仕組みだ。本稿は「いつでもどこでも米国株を買えるのか」という疑問に答えつつ、仕組み・使い方・規制・リスクを端的に整理する。読了すれば、実際に口座開設する前に知るべき利点と注意点が一気に把握できる。

xStocksの基本概要

xStocksは1株=1トークンをソラナ上で発行し、60超の米国株を24/7で取引できる。
2025年6月、スイスの Backed Finance が発行し、Kraken と Bybit が最初の販売窓口となった。ソラナ財団が基盤提供し、高TPSによる即時決済を実現する。

主な特徴

  • 高速決済:1〜2 秒で入金・出金完了
  • 小口対応:0.01 株単位で購入可
  • クロスチェーン:ERC‑20 版も同数発行予定
  • 公監査:Asset残高をChainlink PoRで常時検証

仕組み:株式を1トークン化する裏側

裏付け株式をカストディ銀行に保管し、PoRで数量を公開することで価値を担保する。

1 : 1 の裏付け保有

Backed Finance が AAPLx を100 枚発行するとき、同数の Apple 株式100 株をスイスで保管。公認会計事務所が残高を API 連携で監査する。

発行と償還

  • 発行申込:適格投資家→USDC送付→T+2 でトークン受取
  • 償還申込:トークン送付→株式売却→T+3 でUSDC返還
    個人投資家は CEX で既発行分を売買するのが一般的だ。

オラクルと価格

Chainlink Data Streams が NYSE・NASDAQ 終値を反映し、日中は ±10 % 変動時に再配信。乖離が生じれば裁定で収束する。

配当・株式分割

配当は当面トークン価格へ自動内包。将来は「リベース+ラッピング」で残高調整する案が検討中。

利用方法:CEX と DeFi を使い分ける

初心者は Kraken/Bybit、上級者は Raydium・Kamino などソラナ DeFi が便利。

中央集権取引所(CEX)

取引所手数料上場銘柄数対象地域特記事項
Kraken0%60+米国以外SOL/SPL 出金対応
Bybit0.1% 前後10 (開始時)190 か国TradFi タブ内で取引

上場直後は流動性が Kraken に集中。大口は指値必須。

DeFi プラットフォーム

  • Raydium – AAPLx/USDC プールで年率7 %前後
  • Jupiter – 複数プール横断で最安値スワップ
  • Kamino – GOOGLx 担保で USDC 借入、LTV 上限 60 %

スマートコントラクトリスクに注意し、小額から試すのが安全策だ。

メリットと活用シナリオ

地理・時間・コストの三重障壁を除去し、DeFi レゴで資本効率を高められる。

  1. 越境アクセス — 国籍を問わず S&P500 投資が数クリック。
  2. 24/7 取引 — 決算速報に週末でも即ポジション調整。
  3. 二重の利回り — 値上がり益+DeFi 金利の複合リターン。
  4. 担保活用 — 株を売らずにUSDCを借り、別投資へ再配分。
  5. クロスアセット戦略 — BTC下落時に TSLAx 空売りでデルタニュートラル。

注意点とリスク

規制変更と流動性乖離が最大の落とし穴。

  • 規制リスク — 米国SEC態度次第でCEXが上場廃止の可能性。
  • 流動性の薄さ — 深夜・休日は板が開きやすい。
  • 配当不透明 — 当面キャッシュ配当は得られない。
  • カストディ信用 — 銀行破綻時の返還遅延リスク。
  • スマコン脆弱性 — Raydium等のバグで資産流出例あり。

▽ FAQ

Q. xStocks は米国株をそのまま保有するのと何が違う?
A. 24 時間決済と DeFi 活用で資金効率が高い一方、議決権と配当は原則受け取れません。

Q. どのウォレットを使えば良い?
A. Phantom など Solana 対応ウォレット推奨。ERC‑20 版は MetaMask でも管理可能です。

Q. ソラナ障害時は取引できる?
A. 複数チェーン展開と CCIP により ERC‑20 へブリッジ可。完全停止時は CEX 約定も停止します。

■ ニュース解説

2025 年 6 月のローンチ報道では、Kraken が「手数料ゼロで株取引の新時代を開く」と宣言し、Bybit は TradFi と暗号の“スーパーアプリ化”を掲げた。同時期に EU MiCA が可決し、トークン化証券を正式に包摂する方針が示されたことも追い風だ。暗号冬相場で取引高が落ち込む各取引所にとって、株式トークンは手数料収益源の多角化策として注目される。

(出典:Raydium Analytics ,Backed Dev Blog ,Kraken PR )