▽ 要約
プロトコル HTTP 402でx402決済→APIに即時少額課金
エージェント A2A/AP2やMCPと連携し自動支払い
エコシステム PING急騰で利用と取引が拡大
ベース BaseのUSDCゼロ手数料決済で拡張
x402はHTTP 402応答で支払い指示を返しUSDCで即時決済する新標準で、AIエージェント間の自動課金を現実化する。
ウェブやAPIの課金は“アカウント+サブスク”が前提だったが、x402はHTTP 402を使いUSDCでミリ秒級の従量課金を実装するため、AIエージェント同士でも登録や鍵管理なしに自動支払いが可能となる。本稿ではプロトコルの仕組み、AP2/A2A・MCPとの連携、KiteやVirtualsなど周辺プロジェクト、そして$PINGをきっかけとしたBase発のエコシステム拡大を解説する。
x402の設計思想と決済フロー(2025-10)
支払いが必要なときにHTTP 402で金額と送付先を返すため、クライアントはUSDC支払いペイロード送信→検証完了でリソース提供が自動化される。
x402はサーバがアクセス要求に対し402応答で金額・受取先等を提示、クライアントが支払いを添付して再送、ファシリテーターがオンチェーン検証・結算後に資源を返す流れだ。Coinbaseのホスト型ファシリテーターはBase+USDCでゼロ手数料運用とされ、2秒級の確定性でPay‑as‑you‑go課金を実現する。
“登録不要”を支えるファシリテーター
ファシリテーターが検証・結算を肩代わりするため、事業者はノード運用や鍵管理を持たずにオンチェーン課金を導入できる。
CDP(Coinbase Developer Platform)のファシリテーターは支払い検証と結算をAPIで提供し、Base/USDCのゼロ手数料方針とスループットの高さを打ち出す。将来的にはネットワーク・資産拡張も想定される。
AP2/A2A・MCPとの連携(プロトコルの役割分担)
AP2が“Mandate”で承認とルールを定義するため、x402で安定コイン決済を実行し、A2AやMCPで通信や接続実装を補完できる。
Google主導のAP2はカード/送金/暗号資産を横断する支払い枠組みで、x402は“安定コインレール”として組み込まれた。CloudflareはAgents SDK/MCPへのx402対応を表明し、エコシステム連携が進む。
標準化と中立的運営—x402 Foundation
大手が共通仕様の中立運営体制を構築するため、CoinbaseとCloudflareはx402 Foundation設立を発表した。
財団化は相互運用とガバナンス整備を狙い、機械経済の“ウェブネイティブ決済”を普及させる基盤づくりとなる見通しだ。
AIエージェント経済の基盤—Kite AIと周辺ミドルウェア
機械同士が身元・ルール・決済を持つため、KiteはAgent PassportやAIRで“トラストレイヤー”を実装しx402型決済と接続する。
Kite AIは“AI決済ブロックチェーン”を掲げ、2025-09に$18M調達(累計$33M)を公表、Avalanche上にテスト環境を展開しPoAI構想や1秒ブロック等の高性能を謳う。Meridian(MRDN)はHTTP 402で既存Webに1行ペイウォールを提供、AurraCloud(AURA)はMCP/エージェント作成とx402収益化を実装、Heurist(HEU)はZKとPayments MCPで協調AIの支払いを自動化する。
Virtuals ProtocolとマルチAI—S.A.N.T.A/GLORIA/AURA
Virtualsは“Society of AI Agents”を標榜し、ACPとx402連携でエージェント同士の商取引を目指す。
Virtuals上では2024年末にS.A.N.T.A(SANTA)がローンチされ、以後GLORIAやAURA等が次々登場した。エコシステムはニュース・自動執行・分析など人間/機械双方に開いた有料サービスの試験場になりつつある。
トークン動向—PINGを起点にBaseで拡大
ミームトークン$PINGがx402ミントUIを通じてBaseで話題化したため、関連トークン群への資金流入と決済トラフィックが増加した。
$PINGは「1 USDC=5,000 PING」等の販売UIをx402で実装し短期に急騰、取引所や集計サイトの報道・掲示でx402決済件数の急増が確認された。これを契機にSANTA/AURA/MRDN/HEU/BNKR等の小型銘柄も相次ぎ物色され、x402カテゴリ全体の時価総額は概ね$0.19B規模との集計もある。データは流動的で推計に幅がある点には留意したい。
Bankr(BNKR)の“x402課金API”
BNKRはリクエストごとに少額支払いを要求する実装を採り、USDC決済を裏でBNKRに変換するモデルで手数料回収と利便性を両立する。
FarcasterやX上のAIトレーダーとして動作するBankrは、x402互換のペイパーリクエスト設計を提案し、社会的UIとマイクロ課金の接続を試行している。
市場・企業の視点—Baseと“数十億ドル”級の可能性
x402やUSDC決済の集積地としてBaseが主戦場化しつつあるため、将来的なトークン導入観測が企業価値の上振れ要因として議論されている。
J.P.モルガンは2025-10にCoinbaseを格上げし、Baseの“ネイティブトークン”が導入されれば$12B〜$34Bの価値創出機会と試算した(上限は外部報道経由)。現時点で公式トークンは存在しないが、エコシステム拡大と標準化の進展が引き続き注目点だ。
エアドロ「Base Guild ERA」完全ガイド|ロール設計<10/22更新>
▽ FAQ
Q. x402の強みは?
A. サブスクやAPI鍵に依存せず、HTTP 402→USDC決済→即時提供の一連を自動化できる点(Baseでゼロ手数料運用)です。
Q. 人間以外(AI/IoT)でも使える?
A. はい。A2A/AP2・MCPと併用すれば、エージェントが自律的に従量課金や再配分を実行できます。
Q. どのチェーンが主流?
A. 直近はBase+USDCが中心です。Solana等もファシリテーター次第で対応が進みます。
Q. リスクは?
A. 実需は初期段階で価格変動が大きいこと、偽サイトやトークンのリスク、規制変更の影響が挙げられます。
Q. 投資家は何を見る?
A. 実運用の継続(DAU/決済件数)、手数料体系、AP2/A2A採用、USDC残高やBase上の滞留資産の推移です。
■ ニュース解説
HTTP 402を復活させたx402がBase+USDCでゼロ手数料運用を掲げるため、APIの従量課金とAIエージェント決済の実装速度が加速している一方で、トークン相場は情報ソースの質にばらつきがありボラティリティが高い。
投資家の視点:当面は(1)決済トラフィックと継続利用、(2)AP2/A2A・MCPとの相互運用、(3)Baseエコシステムの開発者・ユーザー増、(4)ゼロ手数料方針や対応資産の拡張、(5)規制整合性とKYT/コンプライアンスの実装状況を重視。
※本稿は一般的な情報提供であり投資助言ではありません。
(参考:Cloudflare,Coinbase,Coinbase Dev,QuickNode)





