ウェルズ・ファーゴのビットコイン保有6倍増(2025年Q2)

▽ 要約

保有6倍 IBIT中心に約2,600万→約1.6億ドルへ拡大
時期 4月安値後に上昇、5/22に約11.1万ドル更新
傾向 GSはETFとオプション併用、JPMはIBIT担保へ
市場影響 ETF流入拡大で需給逼迫と制度リスク後退

「なぜ今、ウェルズ・ファーゴがビットコインを増やしたのか」。結論は、富裕層需要・分散ニーズ・価格局面が重なり、ETFを介した自己勘定の拡大が合理的だったためである。ウェルズ・ファーゴ ビットコイン保有 2025年Q2の一次資料を基に、購入時期と市場文脈、他行との比較から投資判断の含意を解説する。

ウェルズ・ファーゴの保有拡大は何を示すか

四半期末の13FでIBIT残高がQ1末約2,600万→Q2末約1.6億ドルへ急増したため、同行は顧客提供に加え自己勘定でもBTCエクスポージャーを拡大したと読み取れる。
ウェルズ・ファーゴは2024年2月に富裕層向けに現物BTC ETFのアクセス提供を開始していたが、2025年Q2には自社ポートフォリオでもIBITを核に持分を厚めた。さらにBTCOやグレースケール関連等の分散取得が確認され、単一プロダクト依存を避ける設計がうかがえる。同行総資産(約1.9兆ドル)比では比率は微小だが、伝統銀の「自己勘定によるクリプト参入」を象徴する事例だ。

背景・理由(需要/ヘッジ/収益期待)

富裕層需要の拡大と分散・インフレヘッジ評価が強まったため、上昇局面の収益期待も重なりETF経由の自己エクスポージャーが正当化された。
2020年代の物価・金利局面で「デジタルゴールド」視点は浸透し、ETFは規制適合の器として運用現場で採用が進んだ。価格上昇期に流動性の厚いIBIT等で段階的にエントリーすれば、執行と保管のオペリスクを最小化しつつ機動的に増額できる。

第2四半期の購入タイミングと価格局面

4月初にBTCは一時7万ドル台へ調整したため、押し目と上昇転換の双方で分散的に買い増す余地が生まれた。
実際、4/6頃に終値7.7万ドル台まで下げた後、4月中旬に9万ドル台へ切り返し、5/22に約11.1万ドルで最高値を更新、6/30は10.8万ドル台で四半期を終えた。期中に段階的に組み入れた場合、平均取得の最適化とポジション拡大を両立できた公算が大きい。

ポートフォリオ配分の意味合い

時価総額の大きい銀行にとっては1.6億ドルは試験配分に近いため、執行・保管・会計周りの運用動線を検証しつつ、リスクリミットの範囲で増額余地を探る段階と位置付けられる。
ETF担保・証拠金の取扱いが整い、規制リスクが後退するほど、配分を広げやすくなる。

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銀行・機関の暗号資産トレンドと比較

主要行・投資銀の参入が制度整備と相まって進んだため、ETF経由の需要が累積し価格と流動性の正循環を生んでいる。
ゴールドマン・サックスはQ4’24時点でIBIT約12.7億ドル、FBTC約2.9億ドル等を保有し、ETFオプションではIBITのプット約5.27億ドル、コール約1.57億ドルなど約7.6億ドル規模のポジションを開示した。デリバティブ併用で上昇・下落双方に対応する高度戦略が特徴だ。
一方、JPモルガンは「自社での大量保有やカストディは行わない」方針を保ちつつ、2025年5月に「顧客によるビットコイン購入」を容認する方向へ転じ、6月にはIBIT株式等をローン担保に受け入れる計画が報じられた。サービス提供と担保受入れにより、伝統的な信用取引の枠内にビットコインETFを組み込む動きが進む。
ブラックロックのIBITは2025年5月末時点で約66万BTC規模に達し、7月には70万BTC超の報も出るなど、ETF起点のコイン吸収が続いた。米現物BTC ETFの累計純流入は2025年7月時点で5兆円超規模(500億ドル超)に到達し、需給面の下支えとなっている。

▽ FAQ

Q. ウェルズ・ファーゴは何をどれだけ増やした?
A. 2025年Q2にIBIT等の保有を約2,600万→約1.6億ドルへ拡大し、BTCOも約2,600万ドル規模に増やしました。

Q. いつ買った可能性が高い?
A. 4月初の7万ドル台調整後から5月22日の約11.1万ドル更新にかけ、分散で積み増した公算が高いといえます。

Q. 他行はどう動いた?
A. GSはQ4’24でIBIT等に約15~16億ドル、オプション約7.6億ドル。JPMはIBIT担保融資と購入容認に動きました。

Q. IBITの規模は?
A. 2025年5月末で約66万BTC、7月には70万BTC超の報道も。AUMは7~8兆円台へ拡大しました。

■ ニュース解説

ウェルズ・ファーゴが13FでIBIT中心の持分を約6倍へ増やしたため、自己勘定での暗号資産エクスポージャー拡大が示唆され、一方で配分比は小さく試験段階の色彩も残る。
事実:2025年Q2、IBIT等の保有が急増。背景:富裕層需要とETF整備、価格上昇。影響:ETFを通じた需給逼迫と制度リスクの後退で市場の成熟が進む。

投資家の視点:自己責任で①一次資料(13F・運用会社資料・価格データ)を照合、②配分比とバリュエーション前提を明示、③執行・保管・税務コストを考慮し段階的に実装するのが一般的です。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:SEC EDGAR,BlackRock,Invesco,Grayscale