米政府閉鎖で雇用統計停止、FRBの視界不良

▽ 要約

経済データ停止 10/3雇用統計と10/15CPIが遅延
代替指標  ADP▲3.2万人、失業率推計4.3%
リストラ動向  9月5万4,064人、採用計画は2009年以来低水準
サムスン連携  Coinbaseが米Galaxy約7,500万人に提供

政府閉鎖で一次統計が止まり、FRBも投資家も足元の景況把握に苦しんでいます。9月に0.25%利下げを行ったFRBは、次の一手を「データ次第」とするが、米政府閉鎖で雇用統計やCPIが遅延するため視界は一段と悪化しました。本稿は、米政府閉鎖と代替データの示唆、FRBの利下げ見通し、Samsung×Coinbase提携、Durov氏のBTC観測までを解説します。

政府閉鎖が経済データに与える影響

一次統計の停止で政策判断の拠り所が失われ、10/3雇用統計と10/15CPIの遅延が実体経済と市場の不確実性を増幅した。
米連邦政府は10月1日に一部閉鎖に入り、労働統計局(BLS)は配信・収集を停止。これにより9月の雇用統計(非農業部門就業者数・失業率)や10月15日予定のCPIなどが延期される見通しです。CBO試算では約75万人が一時帰休となり、賃金約4億ドル/日が一時的に滞留します。FRBはデータドリブン運営のため、10月28–29日のFOMCまでに材料が出そろうかが焦点です。

FRBの判断遅延リスクと市場の手探り

データ空白のためFRBは「あるもの」で判断せざるを得ず、利下げ時期観測は10月前倒しが台頭した。
FRBは9月17日に政策金利を4.00–4.25%へ0.25%引き下げました。以降の判断は雇用・物価の新着データに依存しますが、政府閉鎖で主要統計が欠落。民間データや地域連銀の推計への依存が高まり、市場ではBofAが「次回は10月に利下げ」と予想を前倒し。一方、タカ派の警戒も残り、データ集中公表のタイミング次第でボラティリティが高まりやすい局面です。

代替データで読む9月の労働市場

雇用の増勢は鈍化したため、失業率は4.3%で安定しつつも“低採用・低解雇”の停滞色が濃い。
ADPは9月の民間雇用が▲3.2万人と示し、Challengerは9月のリストラ予定が5万4,064人(前月比▲37%)と鈍化も、年初来採用計画は20.49万人と2009年以来の低水準。IntuitのQuickBooks指数では従業員1~9人の小規模企業で▲4万8,400人(▲0.37%)。一方、シカゴ連銀のリアルタイム推計では失業率は8月と同じ4.3%で、総需要・労働供給の両面から「低採用の停滞」が示唆されます。

ADP・Challenger・Chicago Fedの示す姿

雇用者数は減速したため、採用意欲は低迷しつつ失業率は大幅悪化に至らない。
ADPのマイナス転化、Challengerの採用計画低迷、Intuitの微減継続は、労働需要の縮小と小規模事業者の脆弱性を映します。他方、大規模な解雇の連鎖は限定的で、失業率は横ばい推計。総じて「低採用・低解雇」の滞留局面で、政策と金融環境の微妙な舵取りが求められます。

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暗号資産の採用加速:Samsung×Coinbase

既存スマホ体験への統合が普及の障壁を下げたため、米Galaxy約7,500万人の“オンボーディング”が進む。
Samsungは米国のGalaxyユーザー向けに「Samsung Wallet」からCoinbase Oneへ特別アクセスを提供。Coinbase側はSamsung Pay連携を開始し、ウォレット内からの購入・資金追加が容易になります。数カ月内に海外展開も予定とされ、ユーザー接点の主戦場であるスマホ内へ“直接出向く”戦略が本格化しました。

ユーザー体験と規制面の含意

オンボーディング容易化で参加コストが下がったため、KYC・決済実装の品質が普及スピードを左右する。
ウォレット内完結の体験、会員制(Coinbase One)特典、モバイル決済連携は、初心者層の操作負担と心理コストを引き下げます。一方で、各州ライセンスと消費者保護、税務報告のUX統合が普及速度の鍵。カード連携での支払い動線も、リスク管理とチャージバック設計が重要です。

テレグラムCEOのBTC観測と長期視点

法定通貨の増刷が続くため、上限発行のBTCに希少価値プレミアムが乗るという主張が再燃した。
Telegram創業者パベル・ドゥロフ氏は2013年に1BTC≈700ドルで数千BTCを取得し保持と明かし、「政府は紙幣を刷り続けるが、ビットコインは誰も刷れない」と述べ、将来的に100万ドル到達の局面があると強調。個人資産でTelegram運営を下支えしてきたとも語り、BTCの長期ストーリーを改めて可視化しました。

▽ FAQ

Q. なぜ2025年10月の雇用統計が公表されないのですか?
A. 米政府閉鎖でBLSが業務停止となり、10/3雇用統計と10/15CPIが一時停止中のためです(BLS・労働省)。

Q. 9月の失業率はどの程度と見込まれますか?
A. シカゴ連銀のリアルタイム推計は4.3%(8月と同水準)で、短期的な急悪化は示していません。

Q. 代替データは労働市場の弱さを示しましたか?
A. ADPは▲3.2万人、Challengerは5万4,064人(前月比▲37%)で、採用計画は2009年以来の低水準です。

Q. 小規模企業の雇用はどうですか?
A. Intuit指数では1~9人の企業で▲4万8,400人(▲0.37%)。2024年初から減少傾向が続きます。

Q. Samsung×Coinbaseの実利は?
A. Samsung WalletからCoinbase Oneに特別アクセス、Samsung Pay連携で購入・入金が容易になりました。

■ ニュース解説

政府閉鎖でBLS統計が止まり政策判断の足場が痩せたため、FRBは代替データ依存を強め市場も手探りのまま利下げ時期を模索する一方で、暗号資産は既存モバイル体験への組み込みが進んだ。
投資家の視点:①短期は「データ欠配リスク」を前提にポジション管理(イベント集中・再開時の指標一斉公表に備える)、②労働市場は「低採用・低解雇」の停滞シナリオを主ケースに、ボラ拡大時の流動性確保、③暗号資産はUX改善(Samsung×Coinbase)で新規流入の素地ができたが、カード決済・税務・保護の実装品質を注視。

※本稿は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

(参考:Federal Reserve,)