▽ 要約
オンチェーン統計|GDPの公式ハッシュを9チェーン掲載
供給網|ChainlinkとPythが公式データ配信を担う
規制整備|CFTCがFBOT指針で海外所の米国提供に道
市場反応|S&P500最高値、BTCは一時12.4万ドル
政府は統計の信頼性を、規制当局は市場アクセスを、企業は資本市場での存在感を強化しているため、米暗号資産エコシステムは「官民連携」の新段階に入った。とりわけ米商務省の米商務省 GDP ブロックチェーン公開は、政策の方向性を象徴する取り組みである。
政府経済データのオンチェーン公開
統計の改ざん耐性と検証可能性を高めるため、商務省はQ2・2025のGDPリリースの公式ハッシュ等を9チェーンへ掲出した。
商務省は2025年8月、四半期GDPリリースPDFのSHA256ハッシュと主要数値を、Bitcoin/Ethereum/Solana/TRON/Stellar/Avalanche/Arbitrum One/Polygon PoS/Optimismの合計9チェーンに直接掲載した。これは連邦政府として初の本格的なオンチェーン公表で、BEAが同日公表した第2四半期の実質成長率は年率3.3%へ上方修正された。ハワード・ルトニック商務長官は、データの透明性とグローバルな検証可能性の向上を狙いと説明した。
技術基盤—ChainlinkとPythの役割
オラクルの信頼性を確保するため、ChainlinkとPythが公式データの配信・検証を担う体制が敷かれた。
ChainlinkはBEAの実質GDPやPCEなどを「データフィード」として10のエコシステム(例:Arbitrum、Avalanche、Base、Ethereum、Linea、Mantle、Optimism、ZKsync等)に提供し、Pythはまず直近5年分の四半期GDPから配信を開始する計画だ。発表直後にPYTHは急騰、LINKも上昇し、オンチェーン統計の商用化期待を映した。これにより、スマートコントラクトの自動執行やマクロ連動型DeFi商品の設計が現実味を帯びる。
American Bitcoinの上場計画と論点
資金調達と知名度を同時に獲得するため、American BitcoinはGryphonとの株式交換でNasdaq上場(ABTC)を目指す。
Hut 8とエリック・トランプ、ドナルド・トランプJrが3月に立ち上げた同社は、9月初旬の取引開始を見込む。Hut 8が約80%を保有し、トランプ兄弟と合わせて新会社の98%を握る見通しで、ウィンクルボス兄弟らの出資も伝えられる。戦略は「採掘+現物取得」のハイブリッドで、米国外企業への出資や買収も模索。一方で「政権家族関与による利益相反」への指摘が上がり、当事者は関与否定とガバナンスを強調している。
関連:ビットコイン準備法は年内成立か—Bo Hines発言と政策の現在地
CFTCのFBOT指針—海外取引所の合法アクセス
規制の不確実性を除くため、CFTCはFBOT登録の再確認アドバイザリを公表し、海外取引所の対米提供手順を明確化した。
2025年8月のアドバイザリは、米国外の取引所がCFTCのFBOT登録を経れば、米居住者に直接アクセスを提供できることを改めて示した。資産クラス横断(デリバティブ/デジタル資産含む)で適用され、Caroline Pham代行委員長は「クリプト・スプリント」の成果として、規制の予見可能性と市場の選択肢拡大を掲げた。これにより、BinanceやBybit等の海外事業者にも遵守可能な道筋が提示される。
市場の反応—株式最高値とBTCの評価
堅調な指標と政策追い風が重なったため、S&P500は8/27–28に連日で最高値を更新し、BTCは8/14に一時12.4万ドル超を記録した。
S&P500は8月27日に最高値で引け、28日も続伸して連日で記録更新。4月8日の年初来安値(5,000pt割れ)からの上昇率は約3割超に達した。一方、BTCは7月に史上高値を更新後、8月14日に12.4万ドル台へ乗せてから高値圏で推移している。
JPモルガンの見立て—「ゴールド比で割安」
ボラティリティが年初約60%から直近30%へ低下したため、JPモルガンはBTCの適正価格を約12.6万ドルと推計した。
同社は「金(民間保有約5兆ドル)とのボラ調整比較で、BTCの時価総額はあと約13%拡大が必要」と試算し、現値はモデル上約1.6万ドルの割安と分析。変動率の収斂は企業財務・機関ポートにとっての受容性を高め、企業トレジャリーとしての保有拡大が進んでいる点にも言及した。
FRB理事の解任と司法審査の行方
大統領の解任権限の範囲が問われるため、リサ・クック理事は提訴に踏み切り、FRB独立性が司法判断の俎上に載った。
トランプ大統領が「不正行為」を理由にクック理事の解任意向を示し、本人は一時差止命令(TRO)を求めてDC連邦地裁へ提訴。アビー・ロウエル弁護士が代理し、連邦準備法の「for cause」条項の解釈と、他機関における解任権判例との整合が焦点だ。市場では独立性毀損リスクが警戒され、為替や金利に一時的な波及も見られた。
▽ FAQ
Q. 商務省のオンチェーン公開は何をどこに載せた?
A. 2025年Q2のGDP公式ハッシュと主要数値を、BTCやETH等9チェーンに掲載した。
Q. ChainlinkとPythは何を担う?
A. ChainlinkはGDPやPCEのフィードを10基盤に配信、Pythは四半期GDPを直近5年分から提供する。
Q. American Bitcoinの資本関係は?
A. Hut 8が約80%を保有し、トランプ兄弟と合わせ新会社の98%を支配する見込みだ(ABTC)。
Q. CFTCのFBOT指針の実務的効果は?
A. 登録済FBOTが米居住者へ直接アクセスを提供可能となり、海外所の米国展開が制度上明確化した。
■ ニュース解説
政府は統計をオンチェーン化し、規制当局は越境アクセスのルールを明確化したため、資本市場は成長期待を織り込み、ただしFRB人事を巡る法廷闘争が制度的リスクとして残る。
投資家の視点:①オンチェーン統計は価格連動商品の裾野拡大に直結しやすい—先物・オプションのヘッジ設計やDeFiの指数連動構築に注目、②FBOT指針はグローバル流動性への適法アクセス増を示唆—KYC/監督当局の整合を要確認、③マクロはGDP3.3%と株高でリスク選好だが、FRB独立性の不確実性と政策見通しには分散とシナリオリスク管理が必要。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:U.S. Bureau of Economic Analysis,U.S. Bureau of Economic Analysis,CFTC)