▽ 要約
マクロ GDP第三見通しは年率+3.8%で上方改定。
ETF 9/24に米BTC現物ETFが+2.41億ドル流入。
ポリシー CFTCがトークナイズド担保で意見募集。
L2論争 SEC警鐘にVitalik/COINが「インフラ」と反論。
米2Qの3.8%成長への上方改定で金利は上振れし、暗号資産は短期逆風となった一方、米BTC現物ETFは9/24に+2.41億ドル流入へ反転し押し目を拾う動きも観測された。CFTCはステーブルコインのトークナイズド担保制度化に踏み出し、SEC周辺ではL2セクエンサー=取引所論争が再燃。米GDP3.8%とBTC ETF+2.41億ドル流入という二面性の下、直近のPCE公表が次のトリガーとなる。
市場サマリー(価格・清算・フロー)
米GDPの上方改定で金利が上がったためリスクオフが波及し、BTCは9/25に高値約$113,5K/安値約$108,9Kで下押しとなった。
直近のBTCは日中の上下動が拡大し、短時間のロング清算が増えやすい地合いが続く。複数データによれば24–72時間の清算は累計で$10億超規模に達した局面もあり、Fear & Greedは“Fear”付近へ低下。9/24の米BTC現物ETFは+2.41億ドルに反転し、IBITが主導、一方でETH系は−約7,936万ドルの流出が続いた。
米マクロ要因(GDPと金利)
GDPが+3.8%へ上方改定されたため、「10月据え置き」織り込みの再調整で長期金利が上昇し、暗号資産に逆風がかかった。
BEAの第三見通しは個人消費上振れ等が寄与し、前期(1Q)の−0.6%も改定。9/17のFOMCは0.25%利下げで4.00–4.25%へ引き下げ、スタンスは「データ次第」。翌9/26 8:30am ETのPCE(8月)は総合2.7%YoY/コア2.9%YoYの予想がコンセンサスだ。
デリバティブとセンチメント
清算が嵩んだため先物の資金調達率は振れやすく、Fear & Greedは40台前半に低下した。
加えて月末のオプション満期はBTCで約$22.6B、ETH含め合算で$23B規模の観測が広がり、短期ボラの上振れ要因となる。満期前後はガンマの影響で現物・ETFフローとの綱引きが起こりやすい。
ETFフローの質
+2.41億ドルの反転はIBIT中心の流入で、他銘柄への波及は限定的だった。
流入の「継続性」と銘柄分散が押し目の強さを左右するため、トップ3(IBIT/FBTC/ARKB)偏重か、裾野拡大かの確認が重要。ETH系の流出が止まるかも併せて監視したい。
規制・政策アップデート(米)
当局が担保・取引インフラ・ETF審査の三層で動いたため、制度の方向性は実装フェーズへ移行しつつある。
CFTCはステーブルコイン等のトークナイズド担保の活用に向け意見募集を開始し、オンチェーン担保管理の制度化を検討。SECはCboe BZXのCanary SUI/Staked INJ等の14.11(e)(4)案件で審査期間の延長指定を相次ぎ公表。L2セクエンサーを「取引所」とみなす可能性に対し、VitalikやCoinbase(Grewal)は「インフラ」と反論、分散化ロードマップと開示が焦点となった。
ステーブルコイン立法(GENIUS法)
利息禁止の一方で「報酬(rewards)」の取扱いが論点となったため、銀行業界は抜け穴是正を主張し、実務ガイダンスの整備が進む。
GENIUSは「利息禁止」を明記しつつ、エクスチェンジ側のインセンティブ設計に解釈余地が残るとの指摘がある。今後の施行規則やCLARITY法のフォローアップで裁定余地の縮小が予想される。
企業・RWAトレンド
トークン化の裾野が広がったため、オンチェーン×伝統資産の接点が拡大した。
CentrifugeはS&P 500トークン化指数ファンド「SPXA」をBase上で開始し、S&P DJIライセンスの下、Janus Hendersonが参画。24/7取引×透明性を掲げる。クリプト株ではMicroStrategy(現“Strategy”/MSTR)のmNAVプレミアム縮小が続き、低コストETFの台頭で株式プレミアムの再評価が進んだ。
▽ FAQ
Q. 米2Q GDPの3.8%は何の推計?
A. 2025-09-25のBEA第三見通しで、前回3.3%から上方改定された数値。個人消費の上振れが寄与。
Q. 9/24の米BTC現物ETFの資金動向は?
A. +2.41億ドルの純流入でIBIT主導。ETH系は−7,936万ドルの流出が続いた。
Q. 直近のFOMCと金利は?
A. 2025-09-17に0.25%利下げで4.00–4.25%。次回はPCE(9/26 8:30 ET)次第。
Q. CFTCの“担保トークン化”は何が変わる?
A. デリバ証拠金でのステーブル担保容認へ議論を進め、オンチェーン担保管理の制度化に前進。
■ ニュース解説
GDPが+3.8%へ上方改定されたため金利が上昇し暗号資産は軟調となった一方で、9/24のBTC現物ETFは+2.41億ドル流入に反転し需給は底堅さを見せた。
強い成長指標で追加利下げ観測が一服しボラが上昇、オプション満期とETFフロー偏在が短期変動を強めるため、9/26のPCEが分岐点となり、総合2.7%/コア2.9%維持なら利下げペース鈍化とETFの選別的流入が併存しやすい。
投資家の視点:金利イベント前後のスプレッド拡大と清算増に留意し、ETFフローの継続性と銘柄分散をチェック。制度面では担保・開示・分散化ロードマップが評価軸。
※本稿は投資助言ではありません。