▽ 要約
対中:トランプ「貿易戦争」発言、対話は継続
銀行:OCCがErebor Bankに条件付承認
決済:SquareのBTC決済、11/10解禁・DCで初実施
支援:アルゼンチンへ総額400億ドル規模の枠組み
年金:401(k)暗号資産解禁の法案が提出
米中緊張と緩和期待、暗号資産インフラ前進が同時進行した一日であり、米国クリプト・政策まとめとしては「金融当局の緩和バイアス強化」「決済・銀行の制度整備加速」「対外支援の規模感拡大」が焦点となった。利下げパスと政策の方向性、BTC・トークン化の実装時期を見極めるうえで本稿の要点整理を解説する。
米中—緊張と対話の併走
米中の対立はレアアース輸出規制や関税示唆で再燃したため、トランプ「貿易戦争」発言が出る一方で実務対話や首脳会談調整が続いた。
- トランプ大統領は「中国と貿易戦争中」と表明。先物市場ではテック主導でリスク選好が復元する場面も見られた。
- ベッセント財務長官とUSTRグリア(Jamieson Greer)氏は、中国のレアアース規制を「経済的威圧」と批判。
- ただし米側は「デカップリングは望まない」との姿勢も併記し、習主席との会談見通しを示した。
レアアース規制への米対応
規制が供給網の不確実性を高めたため、同盟国と協調した対抗策や関税オプションの検討が進んだ。
米側は「長期適用停止もあり得る」など抑止と接触を併用。USTRは規制の本格施行状況を精査中とした。
市場の反応
緊張が残るなかでも対話継続が伝わったため、主力指数先物は持ち直し、リスクシナリオの織り戻しが観測された。
金融政策—FRBの緩和バイアス
米中不確実性がテールリスクとなったため、FRBは中立金利へ迅速接近が必要とされ、年内2回の利下げ観測が強まった。
- ミランFRB理事は「年内あと2回の利下げは現実的」と発言。
- 既に9月会合で25bpカット、追加の50bp分が年内ドットと整合的とする見方が増加。
- 住宅主導のサービスインフレ鈍化見通しが、加速的な緩和論の根拠とされた。
制度と実装—銀行・決済・都市政策
暗号資産の制度的受け皿が整備されるため、銀行・決済・自治体での実装が段階的に前進した。
Erebor BankにOCCが条件付承認
デジタル資産・AI・防衛など「イノベーション経済」向けに特化する新銀行で、OCCが予備的条件付承認。最終稼働にはFDIC保険等の要件充足が必要だ。
SquareのBTC決済が解禁へ
加盟店のBTC受入は11月10日開始予定で、まず手数料ゼロで展開。10月15日にDCのCompass CoffeeでSquare端末を用いた初の実地決済が確認された。
NYC「デジタル資産・ブロックチェーン室」新設
NY市は市長令57号で全米初の市レベル専任室を設置し、官民連携や人材誘致、責任ある利用促進を掲げた。
年金と法制度—401(k)とBTCの位置付け
大統領令を恒久化する法案が提出されたため、401(k)でのBTC等の選択肢が制度面で前進し得る。
- 共和党のTroy Downing議員が、8月の大統領令を連邦法へ明確化する法案を提出。
- 労働省は5月に「暗号資産の401(k)選択肢を妨げない」中立姿勢へ転換済みで、制度環境は追い風。
対外支援—アルゼンチン支援枠の拡大
米国は市場安定のため、通貨スワップと債務支援を併用するので、総額400億ドル規模の枠組みが視野に入った。
- 200億ドルの通貨スワップに加え、200億ドルの民間連携型債務支援ファシリティを調整。
- 米財務省はペソの公開市場買入を再開。ブエノスアイレス市場は一時的に改善。
政府BTC保有とトークン化動向
押収資産の没収進展が続いたため、戦略的ビットコイン準備の時価は約370億ドル規模との推計が出ている。
- 127,271BTC規模の没収申立が進展、政府保有の積み上がりが指摘。
- トランプ政権下の「戦略的BTC準備」枠組みのもとで管理。
- 民間ではEric Trump氏がWorld Liberty Financial(USD1)と組み不動産トークン化の計画を示唆。
▽ FAQ
Q. OCCのErebor承認は本格営業なのか?
A. 2025-10-15に条件付承認。FDIC保険取得などの要件充足後に正式稼働。
Q. SquareのBTC決済は全加盟店で即日?
A. 全面展開は2025-11-10開始。10/15はDCでの初デモ確認にとどまる。
Q. 401(k)法案は何を変える?
A. 大統領令を連邦法へ明記し、BTC等の選択肢を恒久化する狙い。
Q. アルゼンチン支援の中身は?
A. 200億ドルスワップ+200億ドル債務支援で総額400億ドル規模。
Q. 政府のBTC保有額は?
A. 押収分の没収進展で約370億ドル規模との最新推計が報じられた。
■ ニュース解説
米中対立が再燃したため政策不確実性は高まった一方で、FRBは利下げバイアスを強め、銀行・決済・自治体で暗号資産の実装が進んだため、市場は「リスクと制度前進」を同時に織り込んだ。
投資家の視点:①利下げパス(年内最大50bp)とドル金利の期間構造、②BTC決済の一般提供(11/10)と手数料優遇の需給効果、③OCCの銀行承認・NYCの官民連携、④アルゼンチン支援のEMフロー波及を監視したい。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
(参考:OCC,NYC Mayor’s Office,Square,The White House)