米下院仮想通貨法案、GENIUSとClarity可決

▽ 要約

ステーブルコイン規制:GENIUS法案が民間デジタルドルに連邦基準
市場構造明確化:CLARITY法案でSECとCFTCの管轄線を規定
短期反応:BTCは11万9,000ドル突破、USDCなど発行体が準備加速
中長期戦略:ドル基軸維持と米国暗号ハブ化を国家レベルで推進

米下院仮想通貨法案――それは「GENIUSステーブルコイン法案」「CLARITY法案」という二本立てで誕生した。両法案は〈ドル建てステーブルコインの安全発行〉と〈暗号資産市場の監督明確化〉を同時に実現し、米国をデジタル通貨競争の先頭へ押し上げる結論を提示する。この記事では、その要点と実務的メリットを端的に解説する。

米国初の包括ステーブルコイン規制

GENIUS法案は銀行並みの厳格さでステーブルコイン発行体を監督しつつ、民間発行を正式に容認する。
発行ライセンスはOCCまたは州当局が付与し、準備資産は1:1現金同等物限定。利回り提供や非金融大企業の発行を原則禁止し、安定性と競争環境を両立する設計だ。

金融安定とイノベーションのバランス

発行体は月次開示と四半期監査を義務づけられ、透明性が担保される一方、連邦枠組み下で迅速なサービス展開が可能になる。

CLARITY法案が描く市場インフラ

SECとCFTCの二重規制を解消し、トークンの証券性を客観基準で判定することで市場の法的不確実性を大幅に低減。
新設される「デジタル商品取引所」登録制度は、米国内取引所の健全化と機関投資家参入の呼び水になる。

トークン発行セーフハーバー

12 か月 7,500 万ドル以下の資金調達は簡易開示で済み、中小プロジェクトの資金調達コストが下がる。

短期と中長期の市場インパクト

可決翌日にBTCが最高値を更新し、USDCなど規制適合型コインが資金流入を獲得。
中長期的には米国への資本回帰とドル基軸のデジタル化が進み、EU MiCAや日本法との協調も焦点になる。

トランプ政権の暗号資産戦略

規制当局の人事刷新と国家備蓄構想で「暗号推進政権」へ転身。
CBDCを否定しつつステーブルコインを国策に据える手法は、監視リスクに懸念を持つ保守層の支持も取り込む。

▽ FAQ

Q. GENIUS法案の核心は?
A. 準備資産1:1義務と利回り禁止で安全な民間デジタルドルを実現。

Q. CLARITY法案の最大効果は?
A. トークンを証券・商品に線引きし、SEC/CFTCの重複規制を排除。

Q. 可決後のビットコイン価格は?
A. 2025 年 7 月 16 日の採決直後に 11 万 9,000 ドルへ急騰。

Q. 今後の国際協調は?
A. FSB 原則と整合し、EU・日本も規制改定へ動く見通し。

■ ニュース解説

両法案は「民間発行ステーブルコインの制度化」と「暗号資産市場構造の明確化」を車の両輪で進める初の米国法制だ。これによりドル基軸をデジタル時代へ接続しつつ、市場の透明性と投資家保護を強化する。EU が MiCA で先行したものの、民間主導の柔軟性では米国モデルが一歩リードするとの評価が高い。

(出典:debevoise,icba,financialservices