米国AI×暗号資産:主要9トピック深掘り

▽ 要約

オラクル×メタ:200億ドル協議が進展。
FTX:9/30に16億ドル分配で回収率改善。
FRB:ミラン理事は年末3%前後まで利下げ主張。
規制:GENIUS法でステーブル規則化が始動。

米国AI・暗号資産政策アップデートの要点は、巨大クラウドの再編と金融規制の具体化が同時進行している点であるため、企業調達・投資家保護・金利環境の三位一体で相場ドライバーを読み解ける。

Oracle×Meta、200億ドル規模のAIクラウド交渉

メタがOCIの計算力を確保するため200億ドル規模の契約を協議し、OracleはOpenAIの超大型契約報道とマルチクラウド拡張で受注残を積み上げた。
OracleはAWS・Google Cloud・Microsoftと提携し、Oracle Database/OCIを他社DCに“持ち込む”形で提供、Q1では大型契約4件とRPO4,550億ドル(前年比+359%)を示し「数カ月で5,000億ドル超」観測も示した。

マルチクラウド化が意味する競争軸

価格だけでなく「同一データ/同一モデルを複数クラウドで回す選択肢」が拡大したため、AI推論・学習の地理的分散と供給弾力性が向上する。一方で電力・資本制約と相手先集中のリスクは残る。

FTX、9月30日に約16億ドルを第3回分配

チャプター11計画に沿い、Dotcom顧客6%(累計78%)、米国顧客40%(同95%)、一般無担保等24%(同85%)、少額債権120%を支払う。
分配を受けるには請求ポータルでKYC・税務書類・BitGo/ Kraken/ Payoneerのオンボーディングが必要で、着金は9/30から銀行営業日1–3日が目安とされる。

X社、凍結アカウント復活を巡る贈賄ネットワーク摘発

XのGovernment Affairsは、仲介者が従業員に賄賂を示唆し凍結アカウントの復活を図ったと公表し、法執行機関と連携中だ。
関係者はInstagram・TikTok・YouTubeやMinecraft・Robloxにも広がるとされ、FBIは7月に未成年中心のネット犯罪集団「The Com」への警戒を喚起していた。

WSJ報道—タリバンとバグラム再駐留を予備協議

対テロ作戦の発進拠点として小規模米軍の再駐留を巡り米政権がタリバンと協議、ボーラー特使が主導し捕虜交換や経済協力も俎上に載る。
トランプ大統領は同日会見でバグラム再取得の意向を明かす一方、アフガン側は軍駐留を拒否表明したと報じられた。

ゲンスラー前SEC委員長「ビットコインのみ例外」

退任後のCNBCインタビューで、暗号資産は「モメンタムとハイプ」に依存し、ビットコインは例外と主張、在任時の強硬姿勢に「後悔はない」と述べた。
在任中はCoinbaseやBinance提訴などエンフォースメントを先導、退任後もMITに復帰しつつ厳格な見解を発信している。

FRBミラン理事、年末3%前後までの連続利下げを示唆

9月FOMCは0.25%利下げ(4.00–4.25%)だったが、ミラン理事は0.5%を主張し唯一の反対票を投じ、講演で年末2.75–3.0%を示唆した。
「関税インフレ論」を退け、国境管理強化などによるディスインフレ効果を強調。利下げと同時期にBTCは日中高で11万7,484ドルを付けた。

米財務省、GENIUS法に基づくステーブル規制でANPR開始

施行に伴う手続でANPRを官報掲示、制裁順守・AML・州連邦の監督権限・課税など数十問の論点で10月20日締切の意見募集を開始。
最終規則は来年夏頃の見通しで、決済用ステーブルの連邦認可制や100%超準備資産などの実装ルールが詰められる。

ZOOZ Power、1.8億ドル調達の95%をBTC準備金に

臨時総会でPIPEとBTC準備金戦略を承認し、NASDAQ/TASE二重上場企業として初の本格的BTC財務へ移行する方針が確定した。
SEC提出資料でも、手取の約95%をBTC購入に充当する計画と明記。発表後、株価は急騰したと伝えられた。

Vanguard、Metaplanet株経由の間接BTCエクスポージャー

一部報道でVanguardのMetaplanet株1,244万株保有(約5,000万ドル)が伝えられたが一次確認は限定的で、続報待ちとなる。
Metaplanetは9/8時点で2万0136BTCを保有し、海外公募等で拡大を進めると開示している。

Grayscale「GDLC」がNYSE Arca上場—米初のマルチ資産ETP

OTCQXの公開取引(2019–2025)から移行し、BTC・ETH・XRP・SOL・ADAに一括エクスポージャーを付与するETFとして取引開始。
指数はCoinDesk 5を採用し、分散ニーズの拡大に対応。複数資産ETPの初事例としてETF市場の裾野拡大が見込まれる。

関連:SEC仮想通貨ETF包括基準承認とXRP・DOGE上場

▽ FAQ

Q. Oracle×Metaの200億ドル契約は確定?
A. 9/19時点は協議段階で未確定。ReutersとWSJ報道で推移を確認。

Q. FTX第3回分配の対象と割合は?
A. Class5B40%(累計95%)、5A6%(累計78%)、6A/6B24%(累計85%)、7は120%。

Q. Xの贈賄摘発はどの組織?
A. FBIが警告する「The Com」との関係が指摘。Xは法的措置に着手。

Q. FRBミラン理事の年末見通しは?
A. 政策金利2.75~3.0%案を示唆し、9月会合では0.5%利下げを主張。

Q. GENIUS法ANPRの締切と主論点は?
A. 10/20締切。制裁順守、AML、州・連邦監督、課税、準備資産カストディ等。

■ ニュース解説

AI計算需要の爆発でOracleのマルチクラウドと大型契約が進み、同時にFRBは景気配慮で利下げ局面へ舵を切る一方で、FTX返還とステーブル規制整備が市場の信認を下支えしている。
投資家の視点:クラウド(DC・電力)供給制約と相手先集中、利下げパスの不確実性、規制実装の細目(制裁・AML・税務)をモニターしつつ、金利低下でリスク資産のバリュエーション再拡大と、規制遵守コスト増の選別を意識した配分が無難。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:Reuters,PR Newswire(FTX),The Wall Street Journal