Upexi株式トークン化:Solana実装にみる次世代証券の行方

要約

概要:UpexiがNASDAQ株をSolana上でトークン化し24H取引へ
メリット:即時決済と少額保有で海外・個人投資家の裾野拡大
セイフティ:SEC登録株としてSuperstate移転機関が法令適合
SOLANA:高TPS・低手数料でプログラム可能株式を実現
将来:資本市場24時間化へ向けた先駆的ケース

Upexiの株式トークン化は、従来の証券取引を“24時間・リアルタイム”に更新する転換点です。
「Solanaで株が買えるの?」「SECは問題ないの?」という疑問に答えつつ、本稿では計画の全体像と業界インパクトを整理します。読み終えれば、トークン化がもたらす利点と留意点、そして今後の市場シフトが俯瞰できます。

■ Upexiとは何か

Upexiは伝統的な消費財メーカーだが、暗号資産を財務戦略の柱に据える先駆者でもある。
Upexi(NASDAQ: UPXI)はフロリダに拠点を置き、キノコサプリ「Cure Mushrooms」やペットケア用品「Lucky Tail」を自社製造・EC販売する。2025年初頭に1億ドル相当のSOL保有を公表し、消費財×クリプトという独自ポジションを確立した。

■ 株式トークン化計画の概要

NASDAQ上場株をSolana上で兼上場し、Opening Bellで法令適合を担保。
2025年6月26日発表によれば、Superstate社の「Opening Bell」を用い、SEC登録済み株式を1:1対応のトークンに変換。株主はKYC済みウォレットで受領し、ブロックチェーン上の転送・議決権行使が可能となる。

● 目的

  • 流動性の24時間化
  • 即時決済によるT+0化
  • スマートコントラクト活用で配当・議決を自動化

● 手法

  • Transfer Agentがオンチェーン台帳を公式記録として管理
  • 株券番号とウォレットアドレスを対応付け、二重取引を排除

■ Solana採用の技術的利点

高TPSと低手数料が株式市場規模のトランザクションを支える。
Solanaは6.5万TPS、手数料0.01ドル未満とされ、大量注文でも手数料負担が小さい。さらにコンセンサスが400msで確定し、株式決済の即時化に適する。KrakenやBybitが株式トークンをSolana前提で計画する点も性能裏付けと言える。

■ SEC規制と適合性

SEC登録株として既存規制を維持しつつ、記録媒体だけをブロックチェーンへ移行。
移転機関がSEC登録済みであるため、所有権転移の法的効力は従来と同じ。株券は“電子登録証券”の一形態として扱われ、Reg S-Xなど開示義務も不変。KYC/AMLとの両立で違法流通リスクを抑える。

■ 期待効果とリスク

個人投資家参入と市場コスト削減が期待される一方、流動性とサイバーリスクの監視が必須。
24時間市場で取引時間制限が解けるため新興国投資家も参加しやすい。反面、トークン市場は薄商いになりやすく、価格乖離やハッキングの懸念が残る。Upexiは段階的移行と流動性供給を示唆し、監査法人とも協議中。

■ 他社比較と業界動向

SOL StrategiesやKrakenなども同様計画。先行事例の成功可否が規制整備の鍵。
SOL Strategies(TSX:HODL)は2025年4月にSolana株式トークン化を表明。Krakenは“xStocks”を実証中。BlackRockもSolana対応を進め、債券・金トークン化も拡大。規制当局はパイロットを見守りつつ指針策定を急ぐ。

■ 今後の展望

資本市場のインフラ刷新が進み、株・債券・預金がシームレスに繋がる未来へ。
WEFは「2025年以降、トークン化証券が24時間グローバル決済を可能にする」と予測。Upexiの試みはその試金石であり、成功すれば上場企業の“兼上場”が新常態化する可能性が高い。

FAQ

Q. UpexiはなぜSolanaを選んだ?
A. 高TPS・低手数料で大量取引を即時処理できるため。
Q. 既存株主は手続きが必要?
A. KYC済みウォレットを登録し、トークン株受領が必須。
Q. 配当や議決権はどうなる?
A. トークン保有量に応じスマートコントラクトで自動付与。
Q. 税務上の扱いは?
A. 法的には従来株式と同一。キャピタルゲイン課税対象。
Q. いつから取引可能?
A. 2026年初頭を目標に試験運用開始予定とされる。

ニュース解説

Upexiの計画は「消費財企業×Web3」という異色の組み合わせで、株式トークン化のユースケースを実証する好例だ。NASDAQ上場企業がSEC登録株をそのままオンチェーン移行する点は画期的で、今後は「兼上場」型トークン株が企業価値向上策として一般化する可能性がある。金融インフラへの投資ハードルが下がる一方、システム監査やカストディ強化は不可欠であり、法規制と技術革新の協調が鍵となる。

(出典:Upexiプレスリリース,CoinDesk)