【要約】
・アメリカ大統領トランプ氏が4月30日早朝にミシガン州で就任百日集会を開催
・支持率が歴代大統領の中で過去80年最低水準に落ち込む
・ビットコイン価格は94,000〜99,000ドル帯に強い売り圧力
・SUIトークンの大型解禁など、新興暗号資産にも視線集中
・金融市場は株価下落とドル安、金や暗号資産など非米資産への資金流入顕著
アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏は、就任から数えて最初の100日を迎えるにあたり、2025年4月30日朝(日本時間)にミシガン州ウォーレン市のMacombコミュニティカレッジで「首個100日就任記念集会」を開催すると発表しました。トランプ氏の支持者らは続々と参加を表明し、現地では集会の準備が進められています。
一方で、世論調査によればトランプ氏の支持率は39%にとどまり、過去80年の歴代アメリカ大統領が就任後100日を迎えた時点と比較して最低水準と報じられています。これは強硬な貿易政策や関税施策、さらには連邦準備制度(FRB)の金融政策への干渉姿勢などが市場心理を悪化させ、株価やドルの下落を招いているとの見方が強いのが要因です。S&P500指数はトランプ政権下で就任以来約8%下落し、ドルインデックス(DXY)も9%下落するなど、1974年以来の悪いスタートとなっています。
トランプ政権の保護主義的な経済政策は、企業間サプライチェーンや貿易構造への打撃が懸念され、投資家のリスク回避姿勢が高まっています。FRBはインフレと景気後退リスクの板挟みにあるうえ、大統領からの独立性を揺るがすような発言も相次いでおり、市場では政策の不透明感が拭えません。
こうした背景から、資金はリスクオフの動きを強め、金や新興国資産、そして暗号資産(仮想通貨)市場へも流入が見られています。「アメリカ例外論」から離脱し、グローバルに分散投資を進めるというスタンスが、ウォール街や大手銀行のレポートでも強調されるようになりました。特にビットコイン(BTC)はインフレ耐性や供給上限が注目され、ドルや株式相場が不安定化するほどにオルタナティブ資産としての魅力が高まっています。
ビットコインはここ数週間、9.5万ドル前後の重要なレジスタンスをブレイクし、21週移動平均線の上方へ定着しました。87,045ドル付近の23.6%フィボナッチ・リトレースメントを維持している点もテクニカル的にはポジティブといえます。2024年4月のマイニング報酬半減期後、従来ほどの爆発的上昇は見られなかったものの、世界的な資産多様化の流れや金との相関強化が後押しとなり、中長期投資家にとってビットコインの存在感は依然大きいです。
しかし、94,125〜99,150ドルの価格帯では約176万BTCを保有する大口投資家(いわゆる“鯨”)が控えており、売り圧力も無視できません。市場流動性が薄い時間帯や経済指標の発表直後など、急激な変動リスクが高いタイミングでは注意が必要です。一部のアナリストは、10万ドル台へ突入するには安定した資金流入の継続と、新たなマクロ好材料が鍵と指摘しています。
暗号資産市場では、SUIをはじめとする新興プロジェクトにも注目が集まっています。5月1日に実施されるSUIトークンの解禁(約7,400万枚/全流通量の2.28%)は、2.67億ドル相当とされ、ロックアップ明けの売り圧力・買い需要の両面で市場が大きく動く可能性があります。さらに、SUIエコシステム関連のDeepBookやMemeFi、Walrusといったプロジェクトも短期的な価格上昇が目立ってきました。
他方、Memeコイン市場では、BONKを中心に新たなムーブメントが続いています。Raydiumとの共同開発によるMemeコイン発行プラットフォーム「Letsbonk.Fun」がローンチされたことで、多数のMemeコインが短期間で数百万ドル規模の時価総額へ成長し、投機的な資金が集中しています。しかし、そのボラティリティは極めて高く、短期的な急騰・急落のリスクは常に伴います。
イーサリアム(ETH)は年初来で見れば依然として弱気の値動きが続き、執筆時点では1,700ドル台後半の推移となっています。ただし、レイヤー2ソリューションの普及やNFT市場の継続した関心から、ETHに対する長期的な需要は根強いという見方もあり、引き続き注意深い観察が必要です。またNFTセクター全体では、「PayFI」系プロジェクトの台頭や一部のNFT銘柄が価格を伸ばす動きが見られ、板全体で数%から最大二桁近い上昇が観測されるケースもあります。
また、5月にはアメリカ労働市場指標の発表やインフレ指標(PCEデフレーター、CPIなど)の公表が相次ぎます。FRBの追加利上げ/据え置きの判断や政府の景気政策がビットコインを含む暗号資産市場に影響を与える可能性が高く、注意が必要です。
今回のトランプ大統領就任百日集会は、直接的には政治的パフォーマンスの意味合いが強いものの、支持率低迷を巻き返す契機としても注目されています。過去最低水準の支持率は、株価下落やドル安といった経済指標の悪化も背景にあり、市場は現政権の経済政策への懸念を一段と強めています。一方で、資本が暗号資産や金といった非米ドル資産に流れる傾向は、投資戦略としてのグローバル分散が加速することを示唆しており、ビットコインの9.4万〜9.9万ドル帯での攻防やSUIの大口トークン解禁など、大きなボラティリティを引き起こしうるイベントが目白押しといえます。
最終的に、市場参加者は米国の金融政策や政治リスクを引き続き注視しながら、暗号資産へ慎重かつ分散的な投資を行う必要があるでしょう。今後のインフレ指標や米国政府の対FRBスタンス次第では、ビットコインやイーサリアムだけでなく、新興のMemeコインやSUIエコシステムにも大きな資金シフトが生じる可能性があります。投資家目線では、高ボラティリティに備えつつ長期的な価値の裏付けを見極めることが求められる局面だといえるでしょう。