▽ 要約
市況:BTCは$90,000割れ、ボラ継続。
規制:米SECとOCCで前向きな動き。
需給:解除スケジュールと資金調達を確認。
NFT:取引額$66.71M、参加者が急減。
ビットコインの$90,000攻防が続くなか、米規制の前向きサインと週内の需給イベントが交錯しているため、主要ニュースを投資家目線で整理する。

BTCが$90,000を割り込む局面が出る一方、米SEC・OCCの動きが規制面の不確実性を一部減らしつつある。12月15日はトークンアンロックの集中週でもあり、短期の需給が価格を揺らしやすい。何が材料で、どこを見ればよいかを解説します。
市況総括
BTCは$90,000割れを挟み、短期の戻り局面でも上値が重い。
OKXではBTCが一時$88,826.8まで下落し、節目の$90,000近辺で攻防が続いた。報道ベースでは、別の時点で$89,982.1(24時間-0.13%)とされるなど、値幅の出やすい地合いだ。
ETHも$3,100を割り込み、OKXでは$3,096.14(24時間-0.44%)が示された。主要アルトも連動しやすく、年末の流動性低下局面では指標発表や解放イベントで振れが拡大しやすい。
今週は米雇用統計・CPIなどの発表が予定され、ドルと金利見通しが暗号資産のリスク選好に波及し得る。Citiは非農業部門雇用者数について、10月-45,000人、11月+80,000人の想定や、失業率が4.4%から4.52%へ上昇する見方を示している。
規制・政策アップデート
米国の当局対応は、保管・決済・トークン化を巡る不確実性を段階的に減らしている。
SEC:DTCのトークン化にno-action
SECはDTCのデジタル証券トークン化構想に対し、限定条件付きでno-actionを示した。
SECは2025-12-11付でDTCにno-actionレターを発出し、ブロックチェーン上での証券移転やコーポレートアクション処理などを扱う設計を一定範囲で整理した。報道では、スマートコントラクトを用いたデータの統合・更新を通じて、市場インフラの効率化を狙う枠組みとされる。
実運用は2026年下期の開始が見込まれ、短期の値動きへの直接影響は限定的になりやすい。もっとも、当局が「どの条件なら認め得るか」を文書で示した点は、RWAや証券トークンの設計を検討する企業にとって論点整理の材料になる。
OCC:書簡1188と1179撤回
OCCは銀行による暗号資産関連業務の位置づけを明確化し、実務判断の余地を広げた。
OCCは2025-12-08の解釈書簡1188で、全米銀行および連邦貯蓄組合が暗号資産カストディや一部ステーブルコイン関連活動、分散型台帳のノード運用に関与し得る旨を整理した。安全性・健全性の前提を置きつつ、2021年の解釈書簡1179を撤回したとされる。
立法・投資家保護
市場構造法案の審議は先送り観測があり、当面はガイダンスの影響が相対的に大きい。
米上院銀行委員会では、暗号資産の市場構造法案の審議が2026年にずれ込む可能性が指摘された。並行してSECは投資家向けに、ウォレットの種類や自己保管と第三者保管の違い、再担保化や資産混在といったリスクを整理した公告を公表している。
企業・資金調達・プロジェクト動向
規制の整理が進む一方、取引・保管・資金調達のニュースは選別色が強い。
香港ではHashKeyがプロ投資家向けOTCを中心に据えた「HashKey Pro」を立ち上げ、DTPライセンスに基づく大口取引の正規化を掲げた。カストディ、コンプライアンス、流動性供給を束ねる設計は、機関投資家の参入障壁を下げる方向性として注目される。
資金調達面では、暗号資産スタートアップ16社が計$176Mを調達し、2025年の業界投資額が$25Bを超えたと報じられた。価格が調整局面でも、インフラ・規制適合型プロダクトへの資金配分が続く構図が示唆される。
上場企業ではビットコイン財務戦略を取るStrategyがナスダック100の年次入替後も指数に残り、2025-12-22に調整が反映される予定だ。保有BTCは660,624枚(評価額$59.55B)とされ、Michael Saylorの「tracker」投稿は次回の購入開示を連想させる。
新興国の動きとして、パキスタン当局がBinanceと、最大$2B相当の資産(国債・国庫短期証券・商品備蓄など)のトークン化検討に向けたMoUを結んだと報じられた。規制当局への登録や現地子会社設立の観測もあり、RWA文脈の広がりが続く。
一方で、セキュリティと配分設計のリスクは依然大きい。0G基金会は2025-12-11に報酬コントラクトが攻撃され、520,010枚の0Gや9.93ETHなどが流出したと説明し、Aevoも旧版金庫の脆弱性で約$2.7Mの損失を公表した。
個別案件ではCysicのTGEを巡り、アドレス集中や会計数字、製品品質に関する指摘が出ている。現時点では当事者の説明やオンチェーン検証の積み上げが必要で、流動性が薄い局面ほどヘッドラインでの価格変動が大きくなり得る。
コミュニティ系ではMoonbirdsが2026年Q1にトークン「BIRB」を計画しているほか、Pudgy Penguinsが米ラスベガスSphereで約$500,000の広告展開を予定するなど、NFTブランドのマスマーケ施策も続く。
NFT・オンチェーン指標
NFT市場は取引額の減少と参加者の急減が同時に進んだ。
直近1週間のNFT総取引額は$66.71M(前週比-10.18%)に減少し、買い手165,759人(-66.91%)、売り手120,912人(-70.44%)と参加者の落ち込みが目立つ。取引件数も-13.88%とされ、短期資金が他市場に移りやすい局面を映す。
チェーン別ではEthereumが$24.93M(-3.02%)と最大だが、BNB Chainは$10.83M(+45.64%)、Solanaは$5.65M(+48.27%)と増加もみられた。大型取引ではCryptoPunksの#4212(81ETH)、#9765(74.9ETH)などが報じられている。
今後1週間の注目イベント
短期では解除スケジュールと主要指標が重なり、需給とマクロの両面を同時に見る局面だ。
今週はSTRK・SEI・ARBなど複数銘柄の解除が続き、流通供給の変化が短期の売買に影響しうる。解除は必ずしも即売りに直結しないが、薄商いの時間帯ほど板を動かす要因になりやすい。
主要な解除予定は以下の通りだ。
・STRK:2025-12-15 09:00 JSTに1.27億枚(流通比5.07%)、約$13.20M相当
・SEI:2025-12-15 21:00 JSTに5,556万枚(流通比1.08%)、約$7.10M相当
・ARB:2025-12-16 22:00 JSTに9,265万枚(流通比1.90%)、約$19.70M相当
・ZRO:2025-12-20 20:00 JSTに2,571万枚(流通比6.79%)、約$38.60M相当
・LISTA:2025-12-20 18:00 JSTに3,344万枚(流通比6.85%)、約$5.50M相当
プロダクト面では、Berachain系の流動性ステーキングInfraredが2025-12-17にTGEを予定し、米SECの暗号資産タスクフォースは2026-01-06にプライバシーをテーマに初会合を計画している。取引所ではCoinbaseが2025-12-15からUSDC報酬条件を調整し、Binance WalletはARC-20の送金・取引停止を予告した。
▽ FAQ
Q. 今週の主要な解除イベントは?
A. STRKは2025-12-15 09:00 JSTに1.27億枚、ARBは2025-12-16 22:00 JSTに9,265万枚が解除予定。
Q. 米SECとOCCの動きは何を示す?
A. SECは2025-12-11にDTCへno-action、OCCは2025-12-08の書簡1188で銀行の保管等を整理した。
Q. BTCとETHの直近水準は?
A. BTCはOKXで一時$88,826.8、ETHは$3,096.14まで下落し、$90,000と$3,100が攻防ラインになった。
Q. NFT市場の足元は?
A. 直近1週間のNFT取引額は$66.71M(-10.18%)、買い手は165,759人(-66.91%)まで減少したとされる。
Q. 資金調達や企業ニュースの注目点は?
A. DL Newsによれば16社が計$176M調達し、Strategyはナスダック100に残留(2025-12-22反映)とされた。
■ ニュース解説
BTCが節目を割り込みやすい時期に、米規制の前向きサインが出たため、材料の取捨選択が重要になっている。一方で、解除や指標が重なる週は需給で振れやすく、ヘッドラインだけで判断しにくい。
投資家の視点:まずは解除・指標・当局発表の「時刻」と流動性を同じ表で管理し、想定外の値幅が出ても意思決定を急がない体制を作りたい。保管・取引インフラの規制は前進しているが、個別プロジェクトの配分設計やセキュリティは別問題のため、監査・開示・オンチェーンの整合性を確認する姿勢が有効だ。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
(参考:PANews)





