ストラテジー、3081BTC追加<総保有632,457BTC>

▽ 要約

購入 8/18–24に3,081BTCを平均$115,829で取得。
保有 総保有632,457BTC、取得原価$46.5B。
資金 普通株ATM$300.9M+STRK/STRF等で補完。
市場 BTC約$111k、MSTRは発表時▲4%前後。

ビットコインが$111k前後へ反落する中、ストラテジー(旧MicroStrategy)が「ストラテジー 3081BTC 追加購入」を実行した。8/18〜24に平均$115,829で3,081BTCを取得し、総保有は632,457BTCへ。資金は主に普通株ATM$300.9Mと優先株(STRK/STRF/STRD)売却で賄い、評価額は同水準でも約$70.2Bに達する。本稿は調達構造、供給比率、投資家反応を解説する。

追加購入と資金調達の内訳

8/18〜24に3,081BTCを$115,829で取得したため、総額$356.9Mの買付はATM調達$357.0Mで裏付けられた。
今回の調達は普通株ATMが中核で、同週の純手取は$300.9M。補完として優先株ATMを併用し、STRKで$20.4M、STRFで$26.6M、STRDで$0.1Mを確保した。8-Kは購入原価に手数料等を含む旨も明示している。
同社はATMの残枠を厚く維持し、普通株・優先株・新規IPOを機動的に使い分ける資本政策を続けている。

普通株ATMと優先株(STRK・STRF・STRD)

普通株ATMで$300.9Mを得たため調達の大半を占め、STRK/$20.4M・STRF/$26.6M・STRD/$0.1Mが補完した。
優先株はクーポンや配当性の異なる複数系列で投資家層を広げる狙いがあり、希薄化を抑えつつBTC取得を継続する設計だ。普通株は価格水準に応じた発行規律(mNAV基準)を掲げる一方、年央以降は市場環境に合わせ柔軟運用の兆しも見られる。

名称変更と開示チャネルの更新

2025年2月に商号をStrategyへ刷新し、8月には法的名称変更を完了した。開示は自社ダッシュボードとSEC提出の組合せで迅速化されている。

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保有総量・評価額・BTC利回り(BTC Yield)

累計632,457BTCに拡大したため取得原価$46.50B・平均$73,527、BTCの急落局面でも時価は約$70.2Bとなった。
今回の買い増し後、同社は2025年YTDの「BTC Yield」を25.4%とし、KPI目標も25%→30%・BTC $ Gainは$15B→$20Bへ引き上げた。YTD利回りはBPSの増加率で定義され、株式・優先株・社債などの調達設計により上振れも起こり得る。

供給量に占める割合

総上限2,100万枚の3.01%を保有するため、流通1,991万枚比では約3.2%と単独で突出した。
公開企業全体では約4.5%が保有され、うちストラテジー単体が約3%を占める。需給面では流通在庫の固定化を通じて価格弾力性を高め、下押し局面の押し目吸収圧力にもなり得る一方、リスク集中の副作用にも留意が要る。

市場・投資家の反応と発言

BTCが週末のフラッシュクラッシュ後に$111k前後へ反落したため、発表当日のMSTRはプレで▲4%前後となり、短期的には連動性が強まった。
セイラー氏は「Bitcoin is on sale」「3081 BTC…BTC Yield 25.4% YTD」と投稿し押し目認識を強調したが、普通株売出しの活用は一部投資家から規律との整合性で疑義が呈された。

mNAV 2.5倍基準と議論

7/31開示で2.5倍未満は普通株ATMを抑制としたため、今回の売却は基準運用の見直しと受け止められ批判も生じた。
同社はmNAVに応じ「<2.5倍:原則発行せず(利払い・優先配当の例外)/2.5–4倍:機動発行/>4倍:積極発行」と明示。もっとも相場急変時は資金調達の安定性と希薄化抑制のトレードオフが露呈する。

他の大口保有者との比較

MARAが50,639BTCなど上場企業全体で約4.5%を保有するため、単独で約3%のストラテジーの影響度は極めて大きい。
上位例として、Coinbaseは約11,776BTC、Teslaは約11,509BTC。いずれもストラテジーとの差は桁違いで、同社の需給・価格形成に対する「テールリスク/テールサポート」の双方の可能性が際立つ。

評価額感応度の留意点

価格$111k時点で時価約$70.2Bとなるため、$10k変動で評価は約$6.32B変位する。ボラティリティ高止まり局面では、KPI(BTC Yield等)と会計上の公正価値差損益の乖離が拡大し得る。

▽ FAQ

Q. 3081BTCの購入時期と平均単価は?
A. 2025年8月18〜24日に3081BTCを取得、平均単価は$115,829で総額$356.9M。

Q. 現在の総保有と取得原価は?
A. 632,457BTCを保有し、累計取得原価は$46.5B、平均取得単価は$73,527。

Q. 資金調達の内訳は?
A. 普通株ATM$300.9Mに加え、STRK/STRF/STRDのATMで約$47Mを確保した。

Q. 供給量に対する比率は?
A. 総上限2,100万枚の3.01%、流通約1,991万枚比で約3.2%を占める規模。

Q. 市場反応はどうだった?
A. 発表日にBTCは約$111k、MSTRはプレで▲4%超、ボラ再拡大が意識された。

■ ニュース解説

3,081BTCの追加取得はATM調達が順調だったため実現し、総保有は632,457BTCへ拡大した一方でBTC反落により株価は短期調整となった。
事実:8-Kで購入・調達の詳細が開示/背景:名称変更後もBTC集中戦略を継続し、KPI目標を30%へ上方修正/影響:上場企業のBTC保有比率上昇と需給固定化が進む。
投資家の視点:希薄化とレバレッジの管理(mNAV基準の運用実績)、会計の公正価値損益とKPIのズレ、価格$10k当たり約$6.3Bの評価感応度を前提に、資本政策・ボラ対策・ヘッジ方針を点検したい。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:SEC,Strategy.com