▽ 要約
テクノロジー革新:株式トークン化で24/5取引・小口投資が実現
規制の壁:Robinhood は MiFID II、Kraken は MiCA に挑む
流動性課題:現物担保型でもスプレッドと滑り止めが顕在
起業家の機会:地域特化・高レバ製品で差別化可能
投資家留意点:換金制約と税務処理を事前確認
株式トークン化の波が欧州で一気に加速している。
「未上場株にもアクセスしたい」という投資家の渇望に対して、Robinhood と Kraken が示した答えはまったく異なる2本のレールだ。本稿では「どちらが自分に有利か」を30秒で判断できる指針を提示する。
読めば──
- 両社の仕組みの違いと法的含意
- 流動性リスクとリターン最大化の具体策
- 起業家・開発者が参入できるニッチ──がクリアになる。
Robinhood:デリバティブ型で主流市場へ
MiFID II の枠内で「価格連動型」トークンを提供し、未上場株にも敷居を下げた。
欧州ユーザーはドル建てで取引し、バックで EUR へ自動両替(為替手数料0.1%)。根本は差金決済(CFD)に近く、株券の引渡しや議決権は得られない
托管とブロックチェーン
- 実株は米認可機関に集中的に保管
- トークンは Arbitrum 上で発行、将来は独自 L2 へ移行予定
- OpenAI・SpaceX など未上場株も SPV 経由でエコノミックエクスポージャーを付与
規制と地理的カバレッジ
- MiFID II でデリバティブ分類
- 米国投資家は排除、欧州限定
- MTF ライセンスでマーケットメイク
Kraken:実株 1:1 型で DeFi に直結
Solana 上の SPL トークン「xStocks」で24/5オンチェーン取引を可能にし、DeFi 抵押にも利用可。
Backed Finance が Alpaca Securities 等を通じ実株を保管、Chainlink PoR で担保証明
DeFi 連携と流動性
- Raydium・Jupiter で自動マーケットメイク
- Kamino でレンディング担保化
- ただしローンチ直後の流動性は NVDAx、TSLAx に集中し多くのプールはスリッページ>1%
規制対応
- MiCA ライセンス取得済み
- 現状 EU・米・豪など主要国は除外し、新興国と暗号先進国を優先
- 償還請求は可能だが、手続は Backed Finance を経由
共通課題:流動性と法的確実性
実株でもデリバティブでも、買いたいときに売れる深さが鍵。法制未整備の国では突然のサービス停止リスクが残る。
- 24/5 取引は実質 OTC/DEX ベースで、週末は価格乖離が起こりやすい
- 税務上は「外国証券」扱いか「暗号資産」扱いかで国ごとに異なるため、確定申告コスト増大
起業家向けホワイトスペース
- 地域特化 UI/KYC:Tiger Brokers が拾えない新興国のロングテール
- 高レバ永続先物:Hypeliquid 型の on‑chain stonk perps
- 未上場株 DAO:SPV+DAO 管理で投資家の議決権をスマートコントラクト化
▽ FAQ
Q. 株式トークンを日本居住者が買える取引所は?
A. 現状、国内居住者の直接取引を明示的に許可するサービスはなく、居住地チェックを行う CEX/DEX も多い。VPN 利用はリスク大。
Q. 株式トークンの税区分は?
A. 日本では暗号資産課税が想定され、雑所得扱いで累進課税。FX・株の分離課税とは異なる点に注意。
Q. 配当や株式分割はどう反映される?
A. Robinhood はキャッシュ分配または数量調整、Kraken はトークン配布で経済価値を付与するが議決権は発生しない。
■ ニュース解説
Robinhood が CFD 的デリバティブでスケールを追う一方、Kraken は実株担保で信頼を可視化。どちらも SEC の域外から攻める「リーガルアービトラージ」戦略だ。背景に
- 欧米で進む退職年金の私募偏重
- DeFi ネイティブの余剰資金
- AI ブームで未上場株需要が過熱
がある。法制整備が追いつくまでの“過渡期の利ざや”を狙う動きといえる
(出典:吴说区块链,MarsBit )