米州政府のステーブルコインパブリックチェーン選定基準

▽ 要約

スコア制度:9指標+加減点で性能とリスクを数値化
首位交代:AptosとSolanaが32点で同率トップ
Ethereum苦戦:高手数料と低TPSが足かせ
発行計画:WYSTは25年8月20日メインネット予定
業界波及:州レベルステーブルコインが多連鎖へ拡大

ステーブルコイン パブリックチェーン 選定――「州政府はどのブロックチェーンを使うのか?」。結論から言えば、パフォーマンスと運用コストを明確に数値化し、AptosとSolanaが最高評価を獲得した。この記事を読めば、公開スコアリング制度の全体像と、あなたのプロジェクトが学ぶべき評価ポイントがわかる。

スコアリング制度の全体像

委員会はまず許可不要性など4項目の「パス/フェイル」で候補を絞り込み、その後9つの主要指標で最大27点を付与する。さらに加点5項目(最大10点)・減点6項目(最大‑12点)で総合32点満点となる仕組みだ。

主要9指標

ネットワーク安定性やTVLなどエコシステム規模を中心に評価し、ブロックタイムや最終性で実質性能を測る(出典:同上)。

加点・減点ロジック

プライバシーや互換性はプラス要因、逆に過去の重大障害や脆弱性放置は減点要因として透明に公開された。

AptosとSolanaが並んだ理由

結論としては均衡した性能と積極的な財団支援が高得点をもたらした。Solanaは高TPSと低手数料で元々高スコアだったが、Aptosは新興トレンド対応と基金支援が加点され逆転同率に達した。

Emerging Market Trends項目の威力

AIやゲーム資産などを積極的に受け入れる姿勢がプラス2点となり、後発のAptos・Seiに追い風となった。

Ethereumが苦戦した背景

冒頭で示した通り、コストと速度が最大の減点要因だ。TVLは圧倒的だが、L2への分流でアクティブユーザー数が伸び悩み、手数料・ブロックタイムで相対的にビハインドが浮き彫りとなった。

L2チェーン評価との関係

ArbitrumやPolygonなど複数L2は26点前後で候補入り。州政府は「多チェーン対応」を掲げており、将来的な並行採用も排除していない。

州政府主導のステーブルコイン拡大インパクト

ワイオミングだけでなく、ネブラスカ州のeUSDや北マリアナ諸島のMUSD構想など**「ポスト自由銀行時代」とも言える連鎖**が始まっている。この動きは流動性の州内循環と国債需要の新規創出に繋がる可能性がある。

今後のタイムラインと注目点

委員会はフランクリン・テンプルトンを準備金管理者に、Chainalysisを分析パートナーに指名。WYSTコントラクトは2025年8月20日までにメインネットへデプロイ予定で、同日開催の州ブロックチェーン・シンポジウムで正式発表される。

▽ FAQ

Q. 評価は何段階で行われましたか?
A. 主要9指標×3点に加減点要素を合算し満点32点です。

Q. Seiが候補入りした経緯は?
A. 25年Q1にベンダー支援とAI等トレンド項目が加わり30点を獲得しました。

Q. フリーズ機能はなぜ必須ですか?
A. 州法に基づき違法送金遮断のオプションを保持する必要があるためです。

Q. 予定より遅延した理由は?
A. 準備金管理ルールのパブコメと外部接続先との調整でQ3へ延期しています。

Q. 他州も同様スコアを採用しますか?
A. ネブラスカ州eUSDなどが参考にすると表明しており、横展開が見込まれます。

■ ニュース解説

本件は「技術中立」を掲げる州政府が性能中心の客観評価でチェーンを選んだ点が新しい。中央銀行デジタル通貨(CBDC)の政治論争を避けつつ、市場実装が先行する米国らしいアプローチだ。採用が決定しても契約は排他的でなく、複数チェーンを段階採用する可能性が高い。民間プロジェクトは同テンプレートを活用することで、公共部門への提案材料を獲得できる。

(出典:支无不言Research)