1月18日 Genius Actとステーブルコイン規制

▽ 要約

市況:BTCはETF流出$395M、ETHは$3,300台。
規制:米市場構造法案が再協議、利回り論点が浮上。
実需:送金$900Bで競争、ステーブルコインが主役へ。
X:InfoFi API制限で金融情報の質を優先。

米国の制度議論と送金ビジネスの競争が同時進行し、XはInfoFiを締め出して情報の質を再設計する中、BTC/ETHは資金フローとポジション調整が焦点だ。

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ステーブルコインの制度整備が実需をどこまで押し上げるのか。Genius Actを手がかりに、米国の市場構造法案の再協議、各国規制、XのInfoFi締め付け、BTC/ETHのフローを数字と日付で解説します。

市況総括

オンチェーンの売り圧減退とETF資金フローがBTCの材料となり、ETHは$3,300回復でもポジション管理が優先された。

初期保有者(OG)の売り圧が弱まったという分析が、BTCの「上抜け局面」入りを後押しする材料として整理された。
CryptoQuant分析では、使用済みUTXOの90日平均がピーク約2,300BTCから約1,000BTCへ低下し、短期の目標価格として$107,000が示唆された一方、統計上の相関(対金)が負に転じた局面では約2カ月で平均+56%の上昇が観測されたとされる。

ただし、需給の見立てと逆方向に動くトリガーも同時に出ており、フロー指標は強弱が混在している。
SoSoValueの集計として、2026-01-16(米東時間)のビットコイン現物ETFは総計-$395Mで、IBITのみ+$15.0937M、FBTCは-$205Mとされた。AUMは$124.563B、累計の純流入は$57.822B、IBITの累計純流入は$63.441Bとされる。

アルトの選別は続き、裁量勢の一部は「リスク量の落とし方」を明確にしている。
トレーダーEugeneは、アルトのロングを概ね解消し、BTCのロングは維持しつつ、現金比率を大きく引き上げたと述べた。ETHは2026-01-17に$3,300(例:$3,300.08、24時間+0.3%)を回復したが、上昇局面ほどレバレッジと資金管理が重要になりやすい。

規制・政策アップデート

米国では市場構造法案が再協議に入り、各国は監督枠組みの整備と国際協調を強める方向が見え始めた。

米議会周辺の最大論点は「制度を通すこと」と「利害調整」をどう両立させるかに移っている。
米上院民主党が暗号資産の市場構造法案をめぐり協議を再開した一方、草案への批判が出てCoinbaseが現行案を支持できないとした。加えて、銀行が納得する“利回りに関する合意”が形成されない場合、ホワイトハウスが支援撤回を検討しているとの報道も整理された。

規制の「器」を先に作る国もあり、資産分類の設計が投資家保護と市場育成の両面で注目点となる。
カザフスタンでは、トカエフ大統領が銀行法等の改正によりデジタル金融資産(DFA)を新たな資産区分として規制し、国内流通を認める枠組みが報じられた。DFAは3類型(ステーブルコイン、実物資産裏付けトークン、電子金融ツール)とされ、無担保の暗号資産も規制対象化し、暗号資産取引所は中央銀行の許可制、許容銘柄リストの策定や制限も想定されている。

中国では「禁止・放任」の二項対立ではなく、CBDCと監督高度化を含めた再設計が論点として提示された。
財新(張明氏の署名記事)を引用した要約として、中国はデジタル人民元の発展・応用加速、暗号資産規制のスマート化・精緻化、国際的な統一監督基準(例:反マネロン規則)の整備を進めつつ、管理可能な範囲でステーブルコインと伝統金融の融合を促すべきだ、という方向性が示された。

関連:CLARITY法の上院修正で揺れる米暗号資産規制

ステーブルコインが動かす実需(送金・金融インフラ)

送金という巨大市場に入り込むことで、暗号資産は投機から決済・インフラへ軸足を移しつつある。

制度整備のインパクトが最も早く出やすいのは、国境をまたぐ決済や送金など「既に需要がある領域」だ。
Fortuneの整理として、Genius Act(PANews要約では2025-07発効)が$900B規模の送金市場に影響し始め、暗号資産ネイティブ企業とWestern UnionやMoneyGramなど既存大手の競争が強まる見通しが示された。

勝ち筋は単純な技術優位ではなく、規制対応力と既存ネットワークの掛け算になりやすい。
Deutsche Bankのアナリストは、既存送金企業がグローバルで構築してきた規制対応の仕組みに強みがあるとし、Whartonの教授は暗号資産ネイティブ側はステーブルコインの技術的な柔軟性を活かせると述べた一方、既存企業がステーブルコインを既存法定通貨レールに組み込むと「自社が自社と競争する」構図になり得るとも指摘された。

市場心理の面でも、ステーブルコインが“周辺”から“主役”へ移りつつあるという見方が共有されている。
SOU_BTCの投稿では、米SEC委員長の発言として「ステーブルコインがビットコイン取引量の約25%を占める」といった趣旨に触れ、規制の転換点になり得ると整理した。個別銘柄の材料というより、取引・決済のレールとしての位置づけが投資テーマ化しやすい局面だ。

プラットフォーム動向:XがInfoFiを締め出す理由

Xは投稿報酬型のInfoFiアプリにAPI制限をかけ、金融情報の信頼性を上げる方向へ舵を切った。

“発見と拡散”のインフラであるSNSは、金融ユースケースを乗せるほどコンテンツ品質が収益と直結しやすい。
Xのプロダクト責任者Nikita Bierは2025-06にXへ参画した後、Smart Cashtagsなど金融文脈の機能を前に進める一方、2026-01にAPI方針を見直して、投稿に報酬を与えるInfoFi系アプリを封じたとされる。背景として、AI生成の低品質コンテンツやスパムがタイムラインを汚染する点、金融情報の信頼性を高める必要性が挙げられた。

暗号資産の“発信インセンティブ設計”が逆回転し始めたという指摘は、投資家のセンチメントにも影響する。
Nic Carterは、Kaito等のインセンティブ投稿とAIの組み合わせが低質コンテンツを増やしたとし、業界の成長軸がステーブルコインや金融インフラに寄るほど、機関・VC叙事が強まり、個人が「公平に参加できる」感覚が薄れると述べた。XがInfoFiアプリのAPIアクセスを撤回した判断を支持すると整理している。

“検索・表示できる資産範囲”は、Xの金融機能の実装度を測る試金石になり得る。
BierはSmart Cashtagsをめぐり、Xが利用するAPIはオンチェーンで鋳造された内容をほぼリアルタイムに処理できるとし、未上場の小型トークンでも取り扱い可能性を示唆した。一方で、将来的に自托管ウォレットやCEXのウィジェットでX上取引が可能になるか、という問いには明確な回答を避けた。

企業・資金調達・プロジェクト動向

取引所は新規デリバティブと出金導線を拡充する一方、上場リスクや大型詐欺が投資家の注意点として浮上した。

短期の取引機会はデリバティブ上場とレバレッジ条件で作られやすく、同時に清算・資金調達コストがリスクになる。
Binanceは2026-01-16 22:45 JST(21:45 UTC+8)にSPORTFUNUSDT、2026-01-17 00:30 JST(23:30 UTC+8)にAIAUSDTのUSDT無期限契約を上場し、最大20倍レバレッジ等を示した。また、SWIFT銀行送金でUSDを直接出金できるとし、所要0〜5営業日、BPay提供と整理された。

クリプト関連の“事業ニュース”は、上場・資金調達・トークン上場の3本柱で投資家の関心を集めやすい。
X Creatorsは米国ユーザー向けに$1Mの賞金プログラム(最低1,000語のオリジナル記事など条件)を提示した。上場面ではCanaan(CAN)が株価要件($1未満)でNasdaqから警告を受け、猶予期限は2026-07-13とされた。CoinbaseはSeeker(SKR)とFIGHT(FIGHT)を上場ロードマップに追加し、Anchorage Digitalは潜在IPOに向け$200M〜$400Mの調達を検討、Veeraは$10M、AlphaTON Capitalは$15Mの資金調達が要約された。

最大の非連続リスクは、価格変動ではなく“保管と詐欺”として表面化し続けている。
ZachXBTの監視として、2026-01-11 08:00 JST頃(07:00 UTC+8)にハードウェアウォレットのソーシャルエンジニアリング被害でLTCとBTCあわせて$282M超が流出し、約2,050,000LTCと1,459BTCが被害とされた。盗難資産の一部がMoneroに交換され短期的にXMR価格が急騰した、という点も含め、オンチェーンで追跡可能でも“回収可能”とは限らない現実が示唆される。

▽ FAQ

Q. Genius Actは何を意図した法律?
A. 2025-07発効とされ、送金$900B市場で競争を加速した枠組みと整理される。

Q. 2026-01-16のビットコイン現物ETFフローは?
A. SoSoValueで総計-$395M、IBIT+$15.0937M、FBTC-$205M(米東2026-01-16)。

Q. カザフスタンのDFA法のポイントは?
A. トカエフ大統領がDFAを3類型(ステーブルコイン等)で規制し、CEXは許可制にした。

Q. ハードウェアウォレット詐欺の規模は?
A. ZachXBTは2026-01-11に$282M超、LTC約2,050,000枚とBTC1,459枚の被害とした。

■ ニュース解説

制度整備が進むほど資金は「投機」から「決済・送金・情報」へ移るため、短期価格と中期のテーマがズレやすい。一方でSNSの品質管理や利回りをめぐる政治経済が、業界全体の成長ルートを左右し得る。
投資家の視点:価格だけでなく、(1) 法案の合意点(利回り・銀行・市場構造)、(2) 送金など実需の採用速度、(3) 主要プラットフォームのAPI/配信設計、(4) カストディと詐欺対策の4点を時系列で点検したい。

※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。