【要約】
・Solana Mobileが第二世代スマートフォン「Seeker」を2025年8月4日より出荷開始
併せて、モバイル経済のネイティブ資産となる「SKRトークン」を導入
・「Saga」から機能を継承しつつ、SeekerIDや新ウォレット、改良されたDappストアなどを搭載
・新たな分散型モバイル基盤として「TEEPIN」を発表
・既存のモバイルOSとは異なる、開かれたエコシステムを目指す
Solana Mobileの第二世代スマートフォン「Seeker」が8月4日から出荷
2025年5月21日、Solana Mobileは公式アナウンスを通じて、第二世代のモバイル端末「Seeker」を2025年8月4日より世界向けに出荷開始すると発表しました。初代デバイスである「Saga」に続き、Seekerではより幅広いユーザーへの対応と、開発者が自由に利用できるモバイル環境を提供することを目的としています。価格帯はより手頃になる見通しで、ハードウェアの安全性や暗号資産ウォレット機能はSagaから継承しつつ、いくつかの新機能が追加される点が大きな特徴です。
SKRトークン：Solana Mobile経済を支える新たな柱
今回の発表とともに注目を集めているのが、SKRトークンの導入です。SKRはSolana Mobileのモバイルエコシステムで利用されるネイティブ資産であり、Solanaブロックチェーン上で運用されます。既存のSOLトークンではなく独自トークンを発行する理由について、Solana MobileのGMであるエメット・ホリヤー氏は「SKRはモバイルプラットフォームの未来を反映する形で、エコシステム内の価値やガバナンスを純粋に集約する役割がある」と説明しています。
現時点では具体的なトークン配布計画は公表されていませんが、公式サイトによると**「エコシステムへの参加に応じて開発者やユーザーに直接提供される」**とされています。Saga端末のユーザーやSeekerの購買者にも、今後の利用状況や貢献度に応じてSKRが付与される可能性があるとみられ、モバイルの普及と分散型プラットフォームの成長を同時に促進する狙いがうかがえます。
SagaからSeekerへ：進化した機能とユーザーエクスペリエンス
「Seeker」には、初代モデル「Saga」から継承された機能だけでなく、新たなサービスや改良が加わっています。
- SeekerID
ユーザー認証の利便性とセキュリティを高めるための仕組み。SeekerIDにより、暗号資産に関する操作やアクセス管理を簡潔かつ安全に行えるようになります。 - SeedVault Wallet
Sagaでも高評価を得たハードウェアレベルのシード管理機能が拡張され、より直感的なUI/UXを実現。端末内で秘密鍵を保護しながら、利用時の手続きもスムーズです。 - 改良版Solana Dappストア
従来のSaga向けDappストアをベースに、アプリ検索や配布のプロセスを最適化。開発者にとってはゲートキーパーの存在が少なく、ユーザーが自由に分散型アプリにアクセスできる環境を整備しています。
TEEPINがもたらす分散型モバイルプラットフォーム
Solana Mobileは既存のモバイルOSとは一線を画すアーキテクチャとして、TEEPINを新たに導入します。TEEPINは大きく三層に分かれた構造を持ち、スマートフォン内部のセキュアハードウェアとブロックチェーン上の検証プロセスを組み合わせることで、中央管理者に依存しないシステムを構築するのが特徴です。ソフトウェアの検証やアクセス権限管理において、ハードウェアレベルと分散型ネットワークの両面から安全性を担保します。
現在の主要なスマートフォンOSでは、プラットフォーム運営企業がアプリ配信の基準や決済手数料を決定し、アップデートのタイミングも一元管理されがちです。しかし、Solana Mobileは「誰もが経済的・技術的に参加できる開かれたモバイルエコシステム」を志向しており、将来的には他のデバイスメーカーにもTEEPINアーキテクチャを採用してもらうことで、より広範なWeb3体験をユーザーに提供できると期待されています。
今後の展望：暗号資産×モバイルの次なるステージ
「Seeker」とSKRトークンを軸としたSolana Mobileの新戦略は、分散型モバイルエコシステムの構築に向けた重要な一歩です。開発者にとっては、アプリ配信のハードルが下がり、ユーザーにダイレクトにリーチできるメリットが生まれます。ユーザーサイドも、データや資産を自身で保有し、既存の制約に縛られない形でアプリ利用や資産管理ができるようになるでしょう。
SKRはSolana Mobileのエコシステム全体において重要な資産となるため、両デバイス（SagaとSeeker）をはじめとする将来の端末との連携やインセンティブ設計も注目すべきポイントです。中央集権的な管理体制に代わる「持続可能な分散型プラットフォーム」の実現こそが、Solana Mobileが掲げる大きな目的といえます。
ニュースの解説
今回の発表は、暗号資産とモバイル技術の統合が本格化しつつあるという市場の潮流を象徴しています。とりわけAndroid領域は、デバイスメーカーやモバイルOSの仕組みを部分的にでもカスタマイズできる強みがありますが、Solana Mobileのように**「ハードウェア～ソフトウェアの連携を分散型で行う」**という試みは、まだ始まったばかりです。SKRトークンをエコシステムの中心に据えた動きは、ユーザーや開発者に対する報酬設計を明確にしつつ、プラットフォーム運営にもコミュニティが主体的に関与できる道を開くものと考えられます。
さらに「TEEPIN」アーキテクチャの導入により、従来のモバイルOSが抱える“ブラックボックス化”への懸念を薄めつつ、安全性とユーザビリティの両立を目指している点は注目に値します。Solana Mobileがどの程度ユーザーと開発者の支持を集め、他のハードウェアメーカーやアプリ開発企業を取り込むことができるのか。その動向は、今後の暗号資産×モバイルの方向性を占う上でも重要なトピックとなるでしょう。
