【要約】
・SOLANA ETF──SECがS‑1書類の即時修正を要請、最短7月上場の可能性
・REDEMPTION & STAKING──現物償還方式と質押機能が審査の核心
・INNOVATION EXEMPTION──SEC新方針でDeFi開発者と投資家の責任範囲を明確化
・DEFI TVL──Aaveは過去最高、Lido・Uniswapは伸び悩み
・THREE KEYS──「コード免責・自主管理・政策サンドボックス」が次の資本流入源
Solana現物ETF、7月承認へ加速
米証券取引委員会(SEC)は6月11日、Solana現物ETF発行予定各社に対し、S‑1登録届出の修正版を1週間以内に提出するよう正式通知した。SECは提出後30日以内にフィードバックを示すとされ、7月中の上場承認観測が急浮上している。これはビットコイン・イーサリアムETFに続く現物型ETFとしては3例目となり、Solanaエコシステム全体でトークン価格が月内高値を更新するきっかけとなった。
現物償還とステーキング──SEC審査の二大焦点
修正要求の中心は「現物償還(投資家がETF口数をSOLそのものへ交換可能)」の運用手順と、**ステーキング(Staking)**による利回り付与の取扱いである。
- 現物償還は市場透明性・流動性・裁定効率を左右するため、手続きの法的明瞭さが必須。
- ステーキングについてSECは従来慎重だったが、5月のイーサリアムETF協議で容認姿勢へ転換。この流れがSolanaにも波及し、ステーキング利回り(6月11日時点で年率7.56%)を組み込む余地が生まれた。
DeFi規制転換:「イノベーション特例」の衝撃
6月9日の「DeFiとアメリカ精神」円卓会議で、Atkins新議長は**Innovation Exemption(イノベーション特例)**構想を発表。
- コードの中立性──開発者は第三者の不正利用について原則責任を負わない。
- 私有財産権の尊重──ウォレットによる自主管理を憲法的価値として擁護。
- 迅速な市場投入を支援する政策サンドボックスを整備。
これにより、開発者の試行錯誤と機関投資家の参入障壁が同時に低下し、「DeFi Summer 2.0」到来の期待が高まった。
データで読む主要プロトコルの温度差
PANewsが集計した上半期TVL(総預かり資産)と価格推移は下記のとおり。
プロトコル | 6月11日TVL | 上半期増減 | 価格年初比 |
---|---|---|---|
Aave | 約260億ドル | +60億ドル | ±0% |
EigenLayer | 124億ドル | +77% | +150%以上 |
Lido | 2位維持 | ▼ | +61% |
Uniswap | 約55億ドル | ▼ | +20〜40% |
Spark (Sky系) | +72.97% | TVL上昇 | MKR +170% |
Aaveは深い流動性と新規チェーン拡張で独走。一方、Lidoはイーサ依存度の高さが逆風となり、TVL漸減。EigenLayerは再ステーキングモデルの再評価で急回復した。データは、市場が規制明確化を先取りして流動性を大型・高利回りプロトコルへ集約していることを示唆する。
三つの「富の鍵」が示す市場機会
SEC新政を貫く三要素は、今後の資本流入ルートを端的に示す。
- コード免責:Layer1/L2や開発者向けSDK等、基盤インフラの評価額が上方修正へ。
- 自主管理:流動性ステーキング(LSD)・再ステーキング(Restaking)関連銘柄に制度的追い風。
- 政策サンドボックス:RWAやプライバシー技術など新興領域が公式の「実験場」を獲得。
ニュース解説
Solana現物ETFの「現物償還+ステーキング」を巡る審査は、SECがPoS資産の利回り性質をどこまで証券規制に取り込むかを試す試金石となる。一方、イノベーション特例は「規制による事後制裁」から「透明性ある許可制」へと発想を転換し、開発コミュニティの萎縮リスクを軽減した。両者は表裏一体――ETFの承認が機関マネーの入口を作り、特例枠がプロダクトの出口(実需)を整備する。2025年夏、米国発の制度整備がDeFi流動性と資産運用モデルを同時に更新する可能性が濃厚だ。