9月24日 暗号資産ニュース 主要5選

▽ 要約

アメリカ規制 上院の市場構造法案は9/30審議が延期観測。
香港対策 詐欺資金の停止支払い枠組みを当局が整備。
DEX競争 HYPE45%削減案とASTER台頭で主導権争い。
マーケット Binance監査・HEMI上場・実需採用を点検。

投資家が気にするのは「今なにが価格に効くか」だ。9月24日 暗号資産ニュースでは、米規制の時程変更と香港の実務強化、DEX間競争の新局面、取引所監査や新規上場など需給と信認に関わる材料を簡潔に解説する。本稿を押さえれば、短期のボラ要因と中期の構造テーマを同時に俯瞰できる。

米国・香港の規制アップデート

米上院金融委の改訂案審議が遅延観測となり、香港は停止支払い枠組みを準備するため、詐欺対策が前進した。
共和党提出の市場構造法案は9/30の改訂締切が「実質不可能」とされ、民主党の手続き優先と政府閉鎖懸念が背景にある。新たな目標は10月20日週とされ、年内提出の余地は残る。投資家にとっては、現物ETF・カストディ・市場監督の設計が遅れる一方で不確実性プレミアムが続く意味を持つ。

香港の「停止支払い」メカニズム

詐欺資金がプラットフォーム上に残存する局面で送金停止を可能にするため、治安局は仮想資産インテリジェンスTFを設置し、事業者と連携を強化した。被害縮小の即応性を高め、銀行のストップ決済に近い運用を目指す。

DEX主導権争い—HyperliquidとASTER

HYPEの大型アンロックが供給懸念を強める一方、ASTERは多鎖展開と報酬設計で短期流入を集めたため、市場は「成長の質」を精査している。
H3:HYPE 45%供給削減案の衝撃
FECR421MとAF31.26Mの焼却、最大供給上限の撤廃でFDVの見栄え是正を狙う提案が浮上し、アンロック(月あたり約4.5億ドル想定)に対する防波堤となるかが焦点だ。利害の相違が顕在化し、機関誘致とコミュニティ報酬のバランスが問われる。

ASTERの台頭とリスク

ASTERは統合流動性と“hidden order”、100〜1001倍レバレッジ、米株パーペチュアルなど差別化を図るが、TVLはピークから67%減へ反落し、短期インセンティブ主導の色彩が濃い。Binance系エコシステムの後押しが強みだが、持続的定着が試金石となる。

エアドロップの持続性

2017年以降2百億ドル超の「無料配布」は拡散力が大きい一方、トークンの88%は3カ月以内に価値がしぼむとの分析が示され、投資回収にはPMFと設計が不可欠となる。

関連:Asterシーズン2終盤:報酬4%の全貌

セキュリティ・インシデントの注意点

ブリッジや配布経路を狙う攻撃が続いたため、正規コントラクト確認とブリッジ利用停止判断が重要となった。
SFUNDのブリッジで資金流出が発生したとの警告が拡散しており、当面の利用回避が推奨される。また、Steam上の無料ゲームに偽装したマルウェアにより約2,200万円相当の被害がライブ配信中に記録された事例も報告された。個人の秘密鍵保護と実行ファイルの検証は必須である。

企業・市場アップデート

AUSTRACはBinance AustraliaにAML/CTFの外部監査を命じ、28日以内の監査人指名を要求したため、ローカル・ガバナンスの実効性が問われている。
Binance発のL2「HEMI」は9/23に上場し、USDT/USDC/BNB/FDUSD/TRYのペアが開いた。初期流通は9.78%、エアドロップは1億枚(総供給の1%)で、エコシステム拡張に照準を合わせる。
実需サイドでは、ベラルーシでロシア最大のEC「Wildberries」がビットコイン等の決済導入を発表し、ブラジルのOranjeBTCは10月に上場予定で4億ドル相当のBTC保有を開示した。さらにDOGEのETF(TDOG)がDTCCで準備進展とされ、オルタナ資産へのアクセス拡大が続く。

▽ FAQ

Q. 米上院の市場構造法案はいつ再審議?
A. 9/30は不可能視で、10/20週が新目標と報道(2025年)。

Q. HYPEの45%削減案は投資家に何を意味する?
A. FECR421MとAF31.26M焼却でFDV低下を狙い、機関流入を意識。

Q. ASTERの特徴と課題は?
A. 多鎖DEX・1001倍など差別化も、TVLは67%減で定着が鍵。

Q. 香港の停止支払い枠組みは何を想定?
A. 取引所残高段階で停止要請、銀行のストップ決済に近い運用。

Q. HEMIの初期配布設計は?
A. 初期流通9.78%、1億枚をBNB保有者へ配布(1%)。

■ ニュース解説

米の審議遅延で制度確度の高いマイルストーンが後ろ倒しとなった一方で、香港は実務対応を強化し、DEXでは供給設計とインセンティブ競争が価格形成の重石と追い風を同時にもたらす。
投資家の視点:短期は(1)規制タイムライン(上院審議日程)、(2)DEXの供給/解除スケジュール(HYPE・ASTER)、(3)監査・上場・決済導入などのフロー材料(Binance監査、HEMI、決済採用)を重点監視し、イベント前後のポジション偏りをデリバティブ指標で確認したい。中期は規制の方向性と実需拡大が評価軸で、インセンティブ主導の出来高には持続性フィルタを当てる。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:PANews