▽ 要約
ETFフロー:BTCは+2.41億ドル転入、ETHは流出局面も
レギュレーション:FOMC25bp利下げとSEC/CFTC協調
日本実需:DCJPY発表とIEO見直し、JPYCの進展
トレジャリー:DAT拡大で需給は構造的にタイト化
投資家が知りたいのは「9月の相場を動かした本質」だ。本稿は 2025年9月 暗号資産まとめ として、ETFフローの反転、FOMC利下げ、国内DCJPYやIEO制度見直し、企業トレジャリー拡大を一次情報から横断整理し、10月の戦略作成に直結する指標と論点を最短距離で解説する。
9月の全体像(価格・フロー・ボラ)
ETFフローの強弱が週ごとに入れ替わったため、FOMCと経済指標を挟みつつボラが高止まりした。
9/上旬はETH現物ETFからの連続流出が目立ち、BTC現物ETFは9/24に+2.41億ドルへ反転して需給の底堅さを示した。週末にかけて清算増で値幅は拡大し、フローの銘柄偏在が押し目の寿命を短くした。
週次スナップショット(1週目〜4週目)
イベント前の軽量化でETH/BTCともに資金流出が先行したため、7日には“Fear”寄りのセンチメントとETF同時流出が並立した一方、個別テーマは循環物色が続いた。
CPI前はSEC/CFTCの共同声明で24/7市場・パーペチュアルの監督協調が示され、材料出尽くし待ちのレンジ相場となった。
月末は米GDP+3.8%の上方改定で金利上振れが逆風となる一方、BTC現物ETFは再び資金流入に転じ、短期の清算増とETF流入が綱引きとなった。
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マクロ・政策(FOMC・SEC/CFTC・上院草案)
9/17のFOMCで25bp利下げが決定されたため、政策は転換点を迎えつつも“データ次第”の姿勢が維持され、市場はフローの持続性に注目した。
FRBの利下げ観測は雇用の下方修正と若年失業率上昇を背景に強まり、指数構成銘柄の入替や規制協調のヘッドラインが暗号資産関連株の選別も促した。SECとCFTCは9/29の公開円卓に向け、24時間市場・パーペ・DeFiの整合に言及した。
ステーブルコインとエージェント決済(AP2)
AP2の発表で意図→カート→決済をVCで結び付ける枠組みが整備されたため、x402を通じたステーブルコイン本番実装が現実味を帯びた。大手決済・PSP・Web3が60社超参加し、エージェントコマースの制度化と監査可能性が前進した。
日本の実需・制度(DCJPY/JPYC/IEO)
国内の決済・市場制度が同時に進展したため、実需と投資家保護のバランスが具体化した。
ゆうちょ銀行は2026年度にDCJPY導入を発表し、預金1円=1DCJPYの即時償還・ST/NFTのDVP決済対応を示した。JPYCはカード返済や導入経路拡大が進み、オン・オフランプの選択肢が広がった。9/2の金融審でIEOの金商法一本化と開示強化が俎上に載り、公募価格割れ常態の是正が論点となった。
国内IEOの再設計ポイント
過大バリュエーションと流動性設計の脆弱さが初期の売り圧を招いたため、価格算定・ロック・安定操作・継続開示の標準化が鍵となる。NACの購入分90%ロックなど需給の平準化策はベースライン化が望ましい。
企業トレジャリーとDAT拡大(BTC/ETH/WLD)
企業・ETFの純吸収が日次発行を上回る推計が示されたため、中期の需給は構造的にタイト化した。
9月はメタプラネットの大型調達計画や追加取得報、EightcoのWLD主要準備資産化(私募2.5億ドル)などDATが相次ぎ、ETHではBitMine等の財務積み増し観測が話題化した。WLDは株式ニュースの伝播で40%超上昇する日もあり、トレジャリー×トークン需給の連動が顕著だった。
ETFフローと非流動供給
ETH現物ETFの大型流出と対照的に、BTC現物ETFは下旬に流入へ反転したため、長期保有(非流動)供給72%・難易度ATHと合わせて“売られにくい供給”の積み上がりが確認された。
市場構造・テーマ(Hyperliquid/Perp DEX/TGE)
トークン生成(TGE)集中とHyperliquid/Based Launchpadの加熱が続いたため、短期フローはテーマ回転の色彩を強めた。一方、KOL広告料の大規模流出で未開示プロモの規制リスクが浮上し、オンチェーン監視の重要性が再確認された。
▽ FAQ
Q. 9月の利下げ幅と政策金利は?
A. 9/17に25bp利下げで4.00–4.25%へ。雇用下方修正と若年失業率10.8%が背景。
Q. ETF資金はどこで反転?
A. 9/24に米BTC現物ETFへ+2.41億ドル流入、ETH現物ETFは上旬に5日で約9.52億ドル流出。
Q. 日本の注目は?
A. ゆうちょ銀行のDCJPY(2026年度導入)とIEOの金商法一本化・開示強化の議論、JPYCの利用拡大。
Q. 企業トレジャリーはどの程度進展?
A. 企業・ETFの吸収が発行の約4倍との推計、メタプラネットやEightcoの動向が市場に波及。
■ ニュース解説
ETFフローの反転とFOMC利下げが同週に重なったため短期は清算主導のボラが増した一方で、国内のDCJPY・IEO見直しと米規制協調が制度面の視界を明るくし、企業トレジャリー拡大で中期の需給は引き締まった。
投資家の視点:指数イベント前後はレバレッジ抑制とETFフロー継続性の確認を優先し、DATやステーブルコイン実需は一次開示とロック・価格算定の検証を徹底。国内はDCJPY/JPYCの本番KPI(発行額・決済件数・T+短縮)を追い、IEOは開示・ロック・流動性の三点評価で案件選別を行う。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。