RobinhoodがArbitrumで独自Layer2構築へ

▽ 要約

エコシステム拡張:RobinhoodはArbitrum Nitro上にRWA特化Layer2を開発
美株トークン化:200銘柄超の米株・ETFを24時間取引へ
技術優位:Stylus多言語VMとBoLDで金融計算と安全性を両立
規制戦略:EU先行ローンチ、SECへ政策提案も提出
TradFi刷新:債券・先物など万億ドル市場のデジタル化に道筋

冒頭導入

Robinhood Arbitrum Layer2は単なる技術実験ではない」。――米オンライン証券大手Robinhoodは2025年7月1日、Arbitrum Nitro基盤を採用した自社Layer2「Robinhood Chain」を発表した。読者が抱く「株式は本当にブロックチェーンで即時決済できるのか」という疑問に対し、本記事は結論として「技術・規制の両面で実装可能性が高まった」と示す。詳細を追えば、伝統金融(TradFi)と暗号資産(Crypto)の隔たりを埋める実利と投資機会が見えてくるはずだ。

Robinhood Chainの全体像

目的:RWA取引を主戦場に

Robinhoodは株式・ETFという実在資産(RWA)のトークン化を軸に、暗号市場での差別化を狙う。
詳細:欧州ユーザー向けに200銘柄超のトークンを24時間×5日で提供し、年内に数千銘柄へ拡大する計画。Bitstamp買収や立陶宛ライセンス取得も布石だ。

技術選定:Arbitrum Nitroを採用

高性能WASM実装と多言語スマートコントラクトが決め手。
NitroはWASM実行環境でEVM互換を維持しつつ最大10倍の処理効率を実現。StylusによりC/C++やRustで金融ロジックを記述でき、BoLDアルゴリズムが悪質挑戦者の遅延を防ぐ。

他社比較:Coinbase Baseとの相違

Robinhoodは「汎用」ではなく「専門」Layer2を追求。
BaseはOP StackでMEMEやGameFiなど広域ユースケースを受け入れる。一方、Robinhood ChainはT+0清算、リアルタイム風控、ミリ秒レスポンスを要求する証券向けにVMとデータ構造をカスタマイズする。

市場インパクト:ARB価格とL2価値捕捉

短期のトークン価格は織り込み済みだが、中長期でLayer2経済圏の実需を創出。
発表翌日のARBは利益確定で小幅下落。一方でRWAトラフィックが定着すれば手数料還元やステーキング需要が増し、L1+L2双方に手数料フローを生む。

規制とビジネスモデル

EU先行戦略

MiCA等の明確なSTO規制が追い風。
Robinhoodは欧州委員会のDLTパイロット制度に対応し、0.1%のFX手数料で米株投資コストを大幅削減する。

米国への提言

「合格投資家」規制撤廃と証券代替登録の新枠組みを主張。
2025年5月にSECへ42ページの提案書を提出し、
①資産要件の廃止
②セキュリティトークン登録制度
③DEX/中央集権所双方へのクリアなルールを要望。

将来展望と課題

伝統市場のデジタル化加速

株式トークン化が成功すれば債券・先物・不動産へ波及。
データ共有・相互運用が進み、1兆ドル規模のTradFi取引コストが圧縮される。

残る技術ハードル

スケーラビリティとカストディのユーザビリティが鍵。
レイヤー2でもピーク時のガス高騰を抑えるため、次段Layer3やデータ可用性レイヤーの活用が必須とされる。

▽ FAQ

Q. Robinhood Chainの手数料体系は?
A. ガスはARB建てを予定し、株式取引に最適化した定額モデルも検討中。

Q. どの資産からトークン化される?
A. 初期はApple、Tesla、OpenAI、SpaceXなど代表銘柄200超が対象。

Q. トークンはウォレットに自己保管できる?
A. Robinhood Wallet利用者は自カストディ、初心者向けにカストディ代行も選択可。

■ ニュース解説

Arbitrum陣営はOptimismとの「ロールアップOS競争」で金融特化路線の実証例を獲得した。一方、Robinhoodは手数料無料モデルの次なる収益源としてブロックチェーン決済インフラを内製化。規制整備の遅い米国を回避しEUから展開する戦略は、CoinbaseのBase公開時と対照的だ。

(出典:X.PANews)