▽ 要約
ハードマネー提唱:ダリオ氏が金とBTCの合計15%配分を推奨
マクロ懸念背景:各国債務拡大とインフレ進行を「通貨の心臓発作」と警鐘
市場の賛否:AJ Bellは「火中の栗」と警戒、暗号業界は追い風視
投資戦略示唆:現金・債券偏重回避と多資産分散の重要性を再確認
レイ・ダリオ 15% ビットコイン――世界最大級ヘッジファンド創業者が示した大胆な資産配分提言は、通貨価値の揺らぎに不安を抱く投資家に新たな問いを投げ掛けた。どうして今、15%もの高比率なのか。本記事では発言の真意と市場の反応を整理し、個人投資家が取れる選択肢を示す。
15%配分は“非常事態”を前提とした危機管理策
冒頭でダリオ氏は「通貨のデバリュエーションは歴史の必然」と総括し、金またはビットコインを合計15%保有すべきだと強調した。
発言の場と具体的内容
- 2025年7月28日配信「Master Investor」ポッドキャストで言及。
- 「リスク中立で最適化すれば15%が妥当」と発言。
背景:法定通貨への構造的不信
ダリオ氏は米政府が歳入の40%超を赤字で補い、債務は歳入の6倍に達したと指摘。量的緩和再開や中央銀行支配が引き金となる市場クラッシュを懸念している。
英国にも警告
英国を「デット・ドゥームループ」と呼び、債務比率と金利負担を問題視。15%のハードマネー保有を提案した。
ダリオ氏の資産観の変遷
2017年は「バブル」と批判、2021年は「政府が禁止するかも」と警戒。その後は少額を保有しつつ価値保存手段として評価する立場へ軟化した。
15%は高すぎる? 専門家の賛否
- 慎重派:AJ Bell レイス・カラフ氏は「火から飛び降りて炎へ飛び込む行為」と批判し、金をより堅実と評価(出典:Decrypt)。
- 支持派:暗号業界は「伝統金融がBTCを正式に認めた証左」と歓迎。
インフレヘッジとしての金 vs ビットコイン
金は歴史的信頼、BTCは上限2100万枚の希少性。どちらも万能ではなく、組み合わせ分散が鍵。
実務への落とし込み
個人投資家が取れる3つのアクション
- 比率確認:現金と債券に偏重していないかを棚卸し。
- 段階的購入:一括ではなくドルコスト平均でハードマネーを積み増す。
- ポートフォリオ連動:株・REIT・コモディティと相関を定期点検。
▽ FAQ
Q. マスターインベスターポッドキャストは無料で聴ける?
A. Spotify など主要プラットフォームで無料配信されている。
Q. 15%は金とBTCをどう分ける?
A. ダリオ氏は金を多めに推奨、比率は投資家の裁量に委ねた。
Q. 中央銀行はビットコインを準備資産にする?
A. ダリオ氏は監視性とプライバシー欠如を理由に否定的。
Q. AJ Bellの警告ポイントは?
A. BTCの高ボラティリティで「失ってもよい額」に留めるべきと指摘。
Q. 金にも弱点はある?
A. 1980年代〜2000年初頭のように長期低迷期が存在する。
■ ニュース解説
本件は「インフレヘッジとしてのデジタル資産」が伝統金融に本格浸透しつつある兆候である。一方、推奨比率15%は機関投資家の現行水準(1%未満)を大きく上回るため、実行には高いリスク許容度が必要だ。投資家は①債務と通貨の構造的課題、②資産ごとのリスク特性を把握した上で、多層的な分散を図るべきだ。
なお本記事は情報提供であり、特定の投資行動を勧誘するものではない。
(出典:BitfinanzasFinbold,Decrypt,The Times)