PanteraのSolana資金調達とDAT戦略

▽ 要約

スキーム 二段階で最大12.5億ドル、上場企業をSolana特化へ転換
資金用途 全額をSOL購入・ステーキングに充当しNAV成長へ
連鎖 Galaxyらも10億ドル規模のSOL財庫計画を進行
具体例 Sharpsが4億ドル超を調達、財団は5,000万ドルLOI

Pantera Solana 資金調達は、NASDAQ上場企業を買収・転換して「Solana Co」を作り、調達資金をすべてSOLに充てる攻めのDAT戦略だ。二段階の大型資金で流動性とステーキング収益を取り込み、NAV成長を図る。Galaxy連合の10億ドル構想やSharpsの大型PIPEも重なり、SOLの機関投資ドライブが現実味を帯びた。

Panteraの計画:スキームと目的

資金は初回5億ドル+ワラント7.5億ドルの二段階で調達するため、公開企業の財務資産として大量のSOLを長期保有し、ステーキングでNAVの逓増を狙う。
Panteraはナスダック上場企業の買収・転換により「Solana Co」を設立する方針と報じられた。資金使途をSOL購入に限定し、保有・ステークで実質的なトークン保有量の増加(per‑share)とNAVプレミアム獲得を目指す設計だ。DAT特化ファンドを含む既存の布石と整合する。

資金使途と運用の設計

利回りを伴うステーキングを組み込み、流動化イベントを抑制するため、保有SOLは委任分散と自社バリデータ活用で運用効率と可用性を両立させる。
想定利回りは年約7%前後で、トレジャリーにとって価格変動に依存しないNAV成長要素となる。運用は委任先の分散、リクイディティ需要時の換金ウインドウ設計、ガバナンス参加の開示など、公開企業のコーポレート・ガバナンス下で行うのが望ましい。

DAT戦略の延長線—既存投資の実績

Panteraは2024年末までにDAT企業へ累計3億ドル超を投下したため、DATの形成段階から資本市場のルールでトークン保有を伸ばす手法に習熟している。
ポートフォリオにはTwenty One Capital、DeFi Development Corp(DFDV)、SharpLinkなどが含まれ、株式・転換社債・ワラント等の組合せで「トークン/株式の両ループ」を回す設計が確認できる。

相乗的な連鎖—Galaxy連合とSharpsの動き

Galaxy・Multicoin・Jumpの連合は約10億ドルのSOL財庫構想を進めるため、Cantor Fitzgeraldを主幹事に上場企業の買収・転換でDATを立ち上げる計画が進展した。
この構想はソラナ財団の支援表明も伝えられ、9月の成立観測が報じられた。規模感は既存公開トレジャリー合計を上回り得る水準で、機関投資の「社会的証明」を強化する。

Cantor Fitzgeraldの役割

伝統的資本調達の手法をDATに適用するため、Cantorは株式・ワラント等の証券設計と投資家配分を担い、案件の制度適合性と分配力を付与する。
SharpsのPIPEでもCantorがリード・プレースメント・エージェントを務めており、暗号資産×公開企業の大型資金調達におけるハブとして存在感を強めている。

Sharpsの400M超調達と財団LOI

Sharpsは4億ドル超のPIPEを実行するため、調達資金の主使途をSOLの取得と運用に置き、財団は5,000万ドル相当のSOLを15%ディスカウントで売却するLOIを結んだ。
発表当日、Sharps株は一時70%超上昇し、DAT関連銘柄への資本市場の関心の強さを示した。CIOにJambo共同創業者Alice Zhang氏を迎え、エコシステム連携の体制も整備した。

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市場への影響と主要論点

公開企業による組織的なSOL取得が進むため、需給のタイト化とステーキングによるフリーフロートの縮小で短期ボラティリティが高まる一方、流動性と価格発見は中長期で安定化し得る。
現在、公開企業のSOLトレジャリーは約6.95億ドル(供給の約0.69%)規模と推計される。Upexiは約209万SOL、DFDVは約118万SOL、Bit Miningも自社バリデータを伴う取得を開始するなど、先行事例は拡大している。Solanaは高いオンチェーン手数料収益と高活性のネットワーク特性もあり、企業トレジャリーの運用適性が相対的に高い。

リスクとガバナンス

単一主体の大量保有はフリーフロートの減少を通じて価格弾力性を下げるため、開示頻度の向上、売買ルールの明確化、委任分散、リスクバジェット管理が不可欠だ。
調達手段としてのワラント・転換証券は希薄化とボラティリティを増幅し得るため、希薄化上限やバーン・バックの仕組み、ステーク解除のSLA(Service Level Agreement)設計が望ましい。

▽ FAQ

Q. Panteraの資金調達スキームは?
A. 最大12.5億ドル(二段階:5億+7.5億)でNASDAQ上場企業を「Solana Co」へ転換、全額をSOL購入に充当する。

Q. Galaxy・Multicoin・Jumpの計画は?
A. 約10億ドルでSOL専用トレジャリー設立、Cantorが主幹事。ソラナ財団の支持表明が報じられ、9月成立観測もある。

Q. SharpsのLOIの条件は?
A. ソラナ財団が5,000万ドル相当のSOLを30日TWAP比15%割引で売却、8/28頃クロージング予定と発表された。

Q. ステーキング利回りはどれくらい?
A. 2025年時点で年約7%前後で推移。企業トレジャリーのNAV成長要素として期待される。

Q. 既存の上場企業のSOL保有は?
A. Upexi約209万SOL、DFDV約118万SOL、Bit Mining 27,191SOLなど。公開トレジャリー合計は約6.95億ドル規模。

■ ニュース解説

Panteraの12.5億ドル計画とGalaxy連合の10億ドル構想が同時進行のため、公開企業型のSOL取得が加速し、Sharpsの4億ドル超調達と財団のLOIが実装面を補強した。
投資家の視点:大型DATは需給を締め、短期ボラティリティを高め得る一方、継続的な資金流入とステーキング収益で中長期のNAV成長期待を醸成する。分散委任・開示強化・希薄化管理・換金ルールの整備を前提に、段階的配分とシナリオ別のリスク許容度設定が有用だ。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:Sharps Technology,Pantera Capital,Upexi, Inc.