DWF Ventures が分析する新時代の NFT トークン戦略:4 大プロジェクトの最前線

  • 2025/1/16

【要約】
NFT 市場は 2021 年の「NFT Summer」で大きな盛り上がりを見せ、2022 年初頭にピークを迎えました。しかしその後は取引量が急落し、一時的に停滞感が広がりました。ところが、最近では Pudgy Penguins や Azuki といった著名コレクションによる新トークンの発行が相次ぎ、再び市場が活気づいています。本記事では、DWF Ventures が着目する 4 つの主要 NFT プロジェクト(Pudgy Penguins、Azuki、Bored Ape Yacht Club、Memeland)の新たな動向やトークン戦略について、事実に基づき詳しく解説します。

NFT 市場の現状:新たなインフラ整備が加速

2021 年の「NFT Summer」をきっかけに急速に拡大した NFT 市場は、2022 年初頭をピークとして一時的にトレード量が減少しました。しかし、開発者やコミュニティは停滞期に入っても積極的に新機能や新トークンを導入し、エコシステムの拡充に取り組んできました。最近では大手コレクションが相次いで独自のレイヤー2(L2)やレイヤー3(L3)ブロックチェーンを構築する動きも見られ、「基盤インフラづくり」 が新たなキーワードになっています。さらに、すでにトークンを発行しているプロジェクトが続々と新チェーンをリリースするなど、市場の進化は留まるところを知りません。

Pudgy Penguins:L2とコミュニティトークンの二軸展開

### コミュニティ主導の $PENGU

Pudgy Penguins は 2024 年 12 月に Solana 上でコミュニティ・ミームトークンである $PENGU をリリースしました。総供給量の半数以上がコミュニティへのエアドロップによって配布され、NFT 保有者を中心に大きな話題を呼びました。エアドロップへの期待感から Pudgy Penguins のフロア価格が一時的に 35 ETH まで上昇したことも象徴的です。
実際に $PENGU は、Dune のデータによるとすでに 60 万人を超えるウォレットが保有しており、コレクション全体の盛り上がりを下支えしています。

### zk-rollup L2「AbstractChain」への期待

Pudgy Penguins はトークン発行だけでなく、@IglooInc が買収した zk-rollup L2「AbstractChain」の構築にも関わっています。これは旧称 Frame をリブランディングしたもので、消費者向けに特化したスケーラブルなネットワークを目指します。2025 年第 1 四半期にメインネットローンチを予定しており、Pudgy コミュニティ全体で大きな期待が寄せられています。

Azuki:AnimeChain と $ANIME のインパクト

### L3「AnimeChain」で実現するユニークな体験

Azuki は先日、$ANIME トークンの導入を発表し、それに伴いアニメ作品やコミュニティを中心に展開する L3 チェーン「AnimeChain」も公表しました。これは Arbitrum Orbit 上で構築された L3 であり、NFT コレクションが独自チェーンを持つ流れの一例として注目を集めています。

### 大規模なコミュニティ分配

$ANIME は発行時にコミュニティに大半を割り当てる計画で、チームやアドバイザー向けを除くすべてのトークンが一括でロック解除される予定です。公式発表によりフロア価格が一時 2 ETH 程度上昇するなど、市場の注目度の高さも示されています。Azuki による積極的な新トークンの導入は、他プロジェクトにも波及し、さらなる NFT トークンの誕生を促す可能性があります。

Memeland:$MEME と独自 L2「Memenet」

### Web3 ゲームスタジオから生まれた $MEME

@Memeland は Web3 に特化したゲーム開発スタジオとして、いくつもの NFT コレクションやゲームを展開してきました。2023 年 4 月にリリースされた $MEME トークンは、MVP、Captainz、Potatoz といった Memeland の主要 NFT ホルダーへ空投され、コミュニティの一体感を高めることに成功しています。

### L2「Memenet」で実現するスケーラビリティ

$MEME トークンが安定した存在感を示す中、Memeland はさらに Memenet をローンチ。これは Ethereum をベースにした L2 ソリューションであり、ゲームや NFT のユースケースに特化したアプリケーションの高速処理を実現する狙いがあります。こうした独自チェーンへの取り組みは、より快適なユーザー体験と新規ユーザー獲得の両方を目指す先進的な試みといえるでしょう。

Bored Ape Yacht Club(BAYC):$APE と ApeChain

### $APE:最初のブルーチップ NFT トークン

@yugalabs が手がける Bored Ape Yacht Club(BAYC)は、ブルーチップ NFT の代表格として知られています。2022 年 5 月に発行された $APE は、ガバナンスとユーティリティを兼ね備えた初の本格的「ブルーチップ NFT トークン」として注目され、市場でも大きな評価を得ました。

### L3「ApeChain」で拡張するエコシステム

2024 年 9 月には、Arbitrum Orbit 上に構築された L3 の ApeChain を発表。Azuki の AnimeChain と同様の仕組みを用いており、$APE の活用を促進する新たなインフラとして設計されています。$APE リリースから数カ月後に新チェーンを立ち上げたことで、BAYC エコシステムはさらなる拡張余地を得ることになりました。プロジェクトごとにエコシステムを統合しつつ、ユーザーにスケーラブルでスムーズな体験を提供しようという意図が伺えます。

NFT トークンの今後の展望

Pudgy Penguins や Azuki、BAYC、Memeland などの主要プロジェクトが相次いで新チェーンや新トークンを打ち出した背景には、「NFT エコシステムを自らの手でコントロールし、活性化する」 という共通の狙いが存在します。ブロックチェーンのレイヤーを自社で構築し、トークンを通じてコミュニティへの還元を行うことで、ブランドの価値とユーザーのロイヤルティをさらに高めているのです。

また、$PENGU や $ANIME の事例からわかるように、新トークンの発行が NFT コレクション自体のフロア価格を押し上げる傾向も見られます。今後 1 年ほどの間に、複数の NFT プロジェクトが同様の動きを加速させる可能性 は十分に考えられるでしょう。すでに発行済みのブルーチップ NFT でも、独自 L2 や L3 を立ち上げることでエコシステムの拡張を狙うケースが増加するかもしれません。

一方で、新たなチェーンやトークンを管理・運用するには、開発力やコミュニティ運営力が不可欠です。ユーザー体験の向上やトランザクションコストの削減、そして実際に使われるアプリケーションの継続的な開発が求められます。「基盤インフラづくり」 は魅力的な施策である一方で、計画倒れになるリスクも否定はできません。

しかし、Pudgy Penguins や Azuki、BAYC、Memeland のような実績を持つプロジェクトは、コミュニティや投資家から高い信頼を得ています。彼らが積極的にインフラ開発へ乗り出すことは、NFT 業界全体にプラスのインパクトをもたらす可能性が高いでしょう。今後の展開次第では、NFT 市場が再び大きな盛り上がりを見せることも十分に考えられます。

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