▽ 要約
フロー|9/12は+6.42億ドル、5営業日連続の資金流入
主役|FBTC+3.15億/IBIT+2.65億、IBIT週次は10億超
企業|Preneticsが228BTC保有と「1日1BTC」積立
ネット|難易度136T/ハッシュ1ZH、採掘は厳しさ増す
米スポットBTC ETF 5日連続資金流入が続き、9月12日は6.42億ドルの純流入で需給のタイト化が鮮明となった。週次ではIBIT単独で10億ドル超の資金を吸収し、ETF純資産は約1,531億ドルに到達。並行してマイニング難易度とハッシュレートが史上高水準にあるため、ネットワークは強靭化する一方で採掘者の収益性は低下している。加えてNasdaq上場のPreneticsが「1日1BTC積立」を正式化、企業トレジャリー採用の裾野も拡大が続く。これらは中期的に供給制約を強め、価格の下支え要因となりやすい。
フローの現在地(9/12は+6.42億ドル)
9/12はFBTCが3.15億ドル、IBITが2.65億ドルを牽引したため、総流入は6.42億ドルで5日連続の純流入となった。
週次で見るIBIT(9/8–9/12)
9/8〜9/12のIBIT流入合計は約10.37億ドルで、今週「BlackRockが10億ドル超購入」という見出しはデータ上ほぼ妥当となった。
ETHスポットETFの同時回復
同日のETHスポットETFも+4.06億ドルの純流入となり、複数日連続の資金流入でデジタル資産全体への需要回復が示唆された。
企業トレジャリーの拡大(Preneticsほか)
Prenetics(Nasdaq: PRE)がBTCを228枚保有し、1日1BTCの積立を正式化したため、ヘルスケア分野にもBTCトレジャリーが広がった。
野心的な目標設定の事例(Semler Scientific)
Semler Scientificは2025年末1万BTC、2027年末10.5万BTCの保有目標を掲げたため、上場企業による大規模積み増しの前例となりうる。
公開企業の合計保有は100万BTC到達
公開企業の合計保有は9月上旬に100万BTCに到達したため、コーポレート需要はサイクル後半の需給引き締め要因となる。
ネットワーク強度と採掘経済性
難易度は約136.04Tで過去最高を更新し、7日平均ハッシュレートは1 ZH/sに到達したため、セキュリティは史上最強だがハッシュプライスはPH/日あたり約52ドルで採掘者の収益性は圧迫が続く。 次回調整(9/18頃)はさらに上振れ見込みとの推計が出ている。
難易度・ハッシュ・ハッシュプライスの三角関係
価格が横ばいでも難易度上昇と手数料低下が重なると、ハッシュプライスは低下しマージンが圧縮されるため、電力単価と最新ASICの効率差が収益を左右する。
マーケットの現在地
ETF資金流入が継続する一方、難易度・ハッシュレートは史上高で需給のタイト化が意識され、BTCは$115.9k近辺で推移した。
直近の板動向は以下のチャート参照。
イベントとナラティブ(El Salvador/Chamath)
エルサルバドルの政府系カンファレンス「Bitcoin Histórico」(11/12–13)にRicardo Salinasが登壇予定で国家×BTCナラティブが強化される一方、Chamathの“114万ドル”は一次ソース不明瞭で慎重評価が必要となる。
Chamath“114万ドル”の扱い方
同数値はSNS由来のクリップを複数メディアが引用する段階のため、検証可能性は要注意だが、「金を置き換える」趣旨は過去発言で裏付けがある。 2024年時点のインタビュー・解説では114万の“含意”にも触れられている。
▽ FAQ
Q. 9月12日の米スポットBTC ETFの純流入とAUMは?
A. 総流入は6.42億ドル、AUMは約1,531億ドル(時価の約6.6%)です。FBTCが3.15億、IBITが2.65億でした。
Q. IBITの週次フロー(9/8–9/12)は?
A. 合計約10.37億ドルです。25.5、169.3、211.2、366.2、264.7百万ドルの合算です。
Q. Prenetics(PRE)のBTC方針は?
A. 総保有228BTC、2025年末まで「1日1BTC」積立をIRとPRで正式発表しています。
Q. ネットワーク難易度とハッシュレートの現状は?
A. 難易度136.04TでATH、7日平均ハッシュは1 ZH/s到達。ハッシュプライスは約$52/PH/日です。
Q. El Salvadorの会議とSalinas登壇は確定?
A. 主催ONBTCの告知と複数メディアの報道で11/12–13開催と登壇者が確認されています。
■ ニュース解説
ETF資金の連続流入で需給は引き締まり、難易度・ハッシュの史上高でネットワークは強靭化した一方で、採掘者の収益性は低下傾向である。 9/12の+6.42億ドルは概算5,542BTCに相当し($115.9k/BTC前提)、新規発行(約450BTC/日)を大幅に上回る吸収力を示した。企業トレジャリーもPreneticsやSemlerなど非テック領域へ拡大、公開企業保有は100万BTC到達で需給の非対称性を強める。政策・ナラティブ面では、El Salvadorの「Bitcoin Histórico」でラテン圏アドプションの再加速も視界に入る。他方、超強気予想は一次出所の検証が要るため、データ裏付けの強弱を切り分けたい。
投資家の視点:短期はフローデータ(IBIT/FBTC)と先物・現物のベーシス、手数料水準のモメンタムを重視。中期はETFの純資産比率推移、企業トレジャリーの発表頻度、難易度・ハッシュ・ハッシュプライスの三点監視が有効。想定外の下振れに備え、フロー反転日(連続流入の中断)とマクロイベントの同時発生に注意。
※本稿は投資助言ではありません。