ZOOZ、1.8億ドルでビットコイン財務戦略

▽ 要約

ファイナンス概要:PIPEで1株1ドル、計1.8億株を発行し1.8億ドル調達
BTC購入割合:ネット資金の95%超を約1,500BTC取得に充当予定
株価反応:増資希薄化で発表当日株価−39%(ナスダック)
市場位置づけ:Nasdaq/TASE重複上場企業で初のBTC準備資産化
今後の焦点:9月8日の株主承認と購入タイミング、価格変動リスク

ZOOZ ビットコイン財務戦略は「再生可能エネルギー×デジタル資産」を掲げる同社が掲示した次世代型財務モデルだ。
読者の関心は「なぜEV充電企業が1.8億ドルをビットコインへ?」という点だろう。本稿は目的・影響・今後のリスクを3分で把握できるよう整理した。

ZOOZの財務戦略は“BTC集中投資”による株主価値最大化

取締役会はビットコインを“デジタル・ゴールド”と定義し、法定通貨より高い希少性でインフレに強いと分析。95%という大胆な資金配分で企業価値向上を図る。

PIPE概要と資金使途

180 million株+プレファンドワラントを1株1 USDで発行する私募増資(PIPE)を実施し、グロス1.8 億USDを調達。手取り資金のうち約1.7 億USDで1,500 BTC前後をOTC経由で分散購入し、残りで既存債務3 百万USDを返済。

CEO交代と投資方針

Hedera共同創業者ジョーダン・フリード氏が7月31日付でCEO就任。暗号資産業界の人脈を活用し、購入やカストディ選定を統括する。

市場インパクトと株価反応

株主希薄化が直撃し株価急落

1ドルというディスカウント価格で既存発行済み株式を大幅に上回る株数を発行するため、7月29日のナスダック終値は2.13 USD(‑39%)。テルアビブ市場でも‑38.6%を記録。

ビットコイン価格への影響は限定

同日のBTC相場は約118,000 USDで横ばい。時価総額2兆USD超に対し1.8億USDは0.009%規模と小さく、短期的な価格波及は観測されなかった。

先行企業との比較と業界動向

MicroStrategy・Teslaとの比較

MicroStrategyは607,770 BTC(推定71 0億USD)を保有し、Teslaは11,509 BTC(約12 億USD)を維持。ZOOZの1,500 BTC規模は小さいが、非米企業としては最大級。

関連:MartiのBTC財務戦略:準備金20%を保有

企業財務でBTC採用が加速

米BakktやトルコMartiなど複数企業が2025年に相次ぎBTC準備を表明。FASBの公正価値会計ルール改定で評価益・損を四半期計上できるようになったことも追い風。

今後の注目ポイント

株主承認と購入スケジュール

9月8日に予定される株主総会でPIPEが承認されれば、同月中旬から段階的にBTCを取得。本記事執筆時点では承認可否が最大のマイルストーンだ。

リスクと機会

BTC価格下落時の評価損、証券規制・カストディリスクが短期の懸念。一方、ビットコイン高騰時の含み益と財務基盤強化、ESG文脈でのイノベーション評価が期待材料。

▽ FAQ

Q. ZOOZはどの程度のビットコインを買う予定?
A. 約1.7億USDを充当し、相場118,000USD換算で1,500BTC前後を想定。

Q. 資金調達方法は?
A. PIPE形式で180 million株を1USDで発行、機関投資家中心に私募。

Q. 株主承認が否決されたら?
A. 調達もBTC購入も実行不可となり、現行事業に専念する見通し。

Q. なぜビットコインのみで他の暗号資産を買わない?
A. 取締役会が「最も実証済みで流動性が高いデジタル資産」と結論づけたため。

■ ニュース解説

事実を整理すると、ZOOZは“キャッシュ=BTC”という極端な財務モデルで先行企業を追随しつつ、イスラエル初のケースとして差別化を狙う。株主には短期的な希薄化ショックがある一方、中長期ではBTC価格と事業成長の二軸リターンを享受し得る。

投資家への示唆:同社株はBTCボラティリティと連動する“準クリプト株”化が進む見込み。短期は承認イベント・BTC相場次第で上下動が大きく、ポジション管理が鍵。長期で見る場合は本業の充電ソリューション拡販とBTC保有益の両面をモニターしたい。

※本記事は情報提供であり、投資助言ではありません。

(出典:AINvest, GlobeNewswire, TheCryptoBasic