▽ 要約
インカインド承認:ETF発行・償還でBTC/ETH現物が直接受渡し可能
コスト削減効果:創造・償還コスト低下で取引スプレッド縮小
市場影響:機関投資家の資金流入と価格乖離縮小で流動性向上
投資家注意:大量解約時の現物売却リスクと規制変更に留意
SECインカインドETF承認により「現金⇔現物」変換コストが解消され、米国の暗号資産ETFは次の成長段階へ入ります。本記事では制度変更の要点と市場インパクトを整理し、読者が取るべきアクションを提示します。
インカインド承認の概要
2025 年 7 月 29 日、SEC はビットコイン・イーサリアム現物 ETF の発行・償還を現物で行うことを正式許可。従来のドル決済制限が撤廃され、ETFは他のコモディティ ETF と同等の仕組みを獲得しました。
承認に至る経緯
2024 年現物 BTC ETF 承認後も「現金のみ」制約が続きコスト高が問題視。2025 年 1~7 月に BlackRock ほか主要運用会社が修正申請を提出し、親暗号派アトキンス委員長の就任を機に承認ムードが高まりました。
対象となる ETF 一覧
- 上場済み:IBIT, BITB, ARKB, FBTC など 11 本
- 申請中:iShares Ethereum Trust, Solana/XRP/LTC 現物 ETF ほか
全商品が順次現物発行に切替予定。
市場へのインパクト
コスト低減と裁定強化で価格乖離が縮小、流動性向上が見込まれます。
短期反応
発表直後、BTC 12.2 万ドル・ETH 6.9 千ドルへ上昇。裁定取引の活性化で先物‑現物スプレッドは 0.3%まで低下。
中長期展望
機関投資家比率 25%→40%超へ拡大見通し。ETF残高は年内 5,000 億ドル規模との強気予測も。但し ETF 集中は現物流動性リスクを高める点に注意。
投資家メリットとリスク
メリット
- 取引コスト低下:AP が直接現物拠出 ⇒ スプレッド縮小
- 税繰延べ:ETF 内部で課税イベント発生せず長期で有利
- 透明性向上:常に 1:1 で現物裏付け
リスク
- 大量解約ショック:現物売却が連鎖し価格急落の恐れ
- 技術・保管コスト:大規模現物移動でカストディ強化必須
- 規制変更リスク:政権交代でスタンスが再転換する可能性
法規制の意義と今後
SEC は暗号資産を商品 ETF と同格に位置付け、市場整備を本格化。次の焦点はアルトコイン ETF とステーキング付き ETF の可否です。
今後 12 か月で Solana/XRP 現物 ETF が 9 割の確率で承認されるとの分析も。
▽ FAQ
Q. SEC のインカインド承認とは?
A. ETF 発行・償還でドルではなく BTC/ETH 現物を直接受渡しできる正式許可です。
Q. 取引コストはどれくらい下がる?
A. 主要 BTC ETF のスプレッドは平均 0.08%→0.03%まで縮小すると試算されています。
Q. 税メリットは個人にもある?
A. ETF 内部の課税繰延べ効果が経費率の形で還元され、長期保有で差が出ます。
■ ニュース解説
SEC の決定は暗号資産 ETF を「従来資産と同条件」で扱う大転換です。運用効率向上で機関マネー流入が加速する一方、ETF 依存度が高まると市場ストレス時の連鎖リスクが懸念されます。
投資家としてどうするか(助言ではありません)
- ETF の経費率・スプレッド推移を確認し低コスト銘柄を選択
- 大量解約局面に備え、ヘッジ手段(先物・オプション)を検討
- 規制動向を追跡し、アルトコイン ETF 承認・拒否のシナリオに対応
(出典:Bloomberg,Standard Chartered,Binance News)