▽ 要約
発表概要:7月15日決算説明会で参入を正式表明
理由背景:フィンテック競争と規制整備が後押し
姿勢転換:ビットコイン批判から「理解するため参加」へ
業界影響:他行も追随、7500億ドル市場の起爆剤
今後展望:預金トークン拡大し法整備後に一般向け発行へ
「JPモルガン ステーブルコイン参入」は本当に業界のゲームチェンジャーなのか――。世界最大級の銀行が長年の懐疑を捨て、デジタル通貨領域へ踏み込んだ理由と影響を整理することで、読者は今後の金融インフラの行方を予測できる。
JPモルガンの参入発表
発表の概要
2025年7月15日、ジェイミー・ダイモンCEOは第2四半期決算説明会で「JPMorgan Deposit Coinとステーブルコインの両方に関与する」と明言した。
具体的な内容
同社は既に許可型チェーン上でJPM コインを日次約20億ドル処理し、6月にはEthereum L2「Base」で預金トークンJPMDを試験運用したと説明。
参入理由と背景
フィンテックとの競争
ダイモン氏は「フィンテックが決済とリワードを侵食している」と危機感を示し、対抗には自ら関与せざるを得ないと語った。
規制整備の追い風
米議会はGENIUS法案などステーブルコイン法制化を審議中で、銀行発行を認める枠組みが見え始めた。
社内技術の成熟
Kinexys(旧Onyx)でのブロックチェーン決済実績が、外部チェーン展開への技術的土台となっている。
過去の否定的発言との比較
ダイモン氏は2017年にビットコインを「詐欺」と呼び、23年にも「分散型ポンジ」と発言していたが、今回は「リアルだが理由はまだ分からない」と述べ現実路線に転換した。
さらにCNBC出演のジム・クレイマー氏は「ダイモンは近く“全力で暗号資産に乗り出す”」と予測し、姿勢転換のインパクトを強調した。
業界・市場へのインパクト
銀行ドミノ効果
シティやバンカメも独自コイン構想を示唆しており、大手銀行の連鎖参入が現実味を帯びる。
既存発行体との競争
銀行系ステーブルコインは預金保険と厳格なKYCで差別化され、USDTやUSDCに新たな競争圧力を与える見通し。
マクロ影響
スタンダードチャータードは「市場規模が7500億ドルに達すれば米国債需要に波及」と試算しており、JPモルガンの参入はその起爆剤となり得る。
今後の見通し
短期的にはJPMDの社内パイロットを拡大し、規制確立後に正式なドル建てステーブルコインを一般顧客にも提供する段階的展開が予想される。
中長期的には他行やVisa/Mastercardとのコンソーシアム型ネットワーク形成が検討され、オープンチェーンとの相互運用を備えた業界標準が生まれる可能性が高い。
▽ FAQ
Q. JPモルガンはいつステーブルコイン参入を表明した?
A. 2025年7月15日の決算説明会でダイモンCEOが明言。
Q. 参入の主な理由は?
A. フィンテックとの競争圧力と米国で進む規制整備が重なったため。
Q. JPM コインとJPMDトークンの違いは?
A. JPM コインは許可型チェーン上の企業決済用、JPMDはBase上で動く預金トークン。
Q. ダイモンCEOは暗号資産に依然懐疑的?
A. ビットコインには否定的だが「理解するために関与する」と姿勢を軟化。
Q. 他の米銀も参入する?
A. シティやバンカメが検討を公言しており、連鎖参入が見込まれる。
■ ニュース解説
本件は「伝統金融 vs. 暗号資産」の対立構図を溶かし、銀行が暗号基盤インフラを担うハイブリッド時代の到来を示唆する。規制と技術のせめぎ合いの中で、銀行発ステーブルコインが安全性と流動性を提供し、市場全体の成熟を加速させる一方、既存分散型モデルの“自由度”とのバランスが今後の焦点となる。
(出典:Decrypt,CoinPost|仮想通貨ビットコインニュース・投資情報,Benzinga)