Chainlink Reserve始動:収益でLINK準備金

▽ 要約

リザーブ創設:収益でLINKを蓄積し長期成長を支援。
収益転換:Payment Abstractionで自動的にLINK化。
運用方針:当面の引き出しなし・残高は公開監視。
技術基盤:CCIP×Automation×価格フィード×DEX活用。
市場反応:発表当日、LINKは18ドル台へ上昇。

2025年8月7日の公式発表で、オフチェーン/オンチェーン収益をPayment AbstractionによりLINKへ自動変換し、準備金として積み上げる方針を明示したため、Chainlinkは「Chainlink Reserve」で実収益をLINK需要へ直結させ、ネットワークの持続性価値捕捉を強化する。

▼ 発表の要点

ChainlinkはLINKの戦略的オンチェーン準備金を創設し、既に100万ドル超を蓄積、複数年は引き出さない根拠: 公式ブログとリリースが示す具体記述。ダッシュボード(reserve.chain.link)とコントラクトも公開され、透明性を担保する。

原資は企業からのオフチェーン収益dAppのオンチェーン手数料
Payment Abstractionが支払いをLINKに自動変換し、Reserveに送金する設計。
公式アナウンスでは「Chainlink標準の需要は既に数億ドル規模の収益を生んでいる」と言及。

▼ 戦略の背景・狙い(Economics 2.0の文脈)

これまで「便利な支払い手段の多様化」で収益増は必ずしもLINK需要へ直結しなかった。 Payment AbstractionはLINK以外でも支払える決済抽象化で、採用障壁は下げたがトークン需要との連動は弱かった。Reserveはその“橋渡し”となる。
施策はChainlink Economics 2.0の「ユーザー手数料成長×運用コスト削減」という二本柱を補完。
共同創業者Sergey Nazarov氏は、Reserveを「ピボット的進化」と評価。

▼ 仕組み:Payment AbstractionとReserveの技術

CCIPで複数チェーンの手数料支払いを集約し、Automationが定期変換を自動実行、価格フィードが公的価格を提供、DEX(初期はUniswap v3)でスワップしてReserveに送る。根拠: 公式ブログの技術節。

Reserveコントラクトはイーサリアム上で稼働し、マルチデイ・タイムロックを備える。
SVR(Smart Value Recapture)由来の一部手数料(ステーキングで保護されるSVRの手数料の50%)は、当初計画を変更してReserveの原資に回す。
用語注意:「オフチェーン収益」と「オフマーケット購入」は別概念。公式はDEXを用いたプログラム的変換を説明しており、OTC等の場外買付を明示していない

関連:Mastercard×Chainlinkが開くオンチェーン入金革命

▼ 市場・採用の初期反応

発表当日(8/7)、LINKは18ドル台・前日比約+11%を示現。
24時間出来高は約9億ドル規模、時価総額約125億ドル根拠: CoinGecko/Coinbaseの集計。
採用面ではMastercardJPMorganのKinexysなど大企業ユースケースが文脈として提示。

インタラクティブ価格チャート(参考)

▼ 類似モデルとの比較(位置づけ)

MakerDAOSmart Burn Engineは余剰収益でMKRを買い戻し・焼却。
Reserveは焼却でなく蓄積で支える点が異なる。
BNBは四半期ごとのAuto‑Burn(価格・ブロック数連動)に移行済みで、利益連動ではない
Ethereum(EIP‑1559)は手数料のベース料焼却でネットワーク利用と供給抑制を連動。
Reserve収益→LINK需要化という別アプローチ。根拠: 技術仕様。

▽ FAQ

Q. Reserve残高はどこで見られる?
A. 公式ダッシュボード(reserve.chain.link)でオンチェーン残高が随時可視化される。

Q. いつ引き出される可能性がある?
A. 「複数年は引き出さない」方針を明記。マルチデイ・タイムロックで即時引き出しは不可。

Q. 収益のLINK化は市場にどのような影響?
A. 継続的な買い需要が創出され、流通供給の相対的引き締め要因となる可能性。

Q. どのDEXが使われる?
A. 初期はUniswap v3(Ethereum)。今後はMEV耐性等で追加統合の可能性あり。

Q. 価格は実際に動いた?
A. 発表当日、LINKは18ドル台・約+11%高、出来高も急増している。

■ ニュース解説

中立整理: Reserveは(1) 企業/プロトコル収益をPayment Abstractionで自動的にLINK化、(2) 複数年の蓄積運用で売り圧縮小化、(3) SVR手数料の一部振替で原資を拡充、という三点が肝。これにより採用拡大=トークン需要の連動性が強まり、ネットワーク価値の捕捉が改善する設計だ。

投資家の行動指針(一般論):
短期のボラと見出し効果に流されず、(a) Reserve残高の実ペース、(b) 対応チェーン/DEXの拡張状況、(c) 企業案件のオンチェーン化比率、(d) 規模感の近い他プロトコルの還元設計(例:MKR買戻し、BNB Auto‑Burn、EIP‑1559)を継続トラッキングしたい。
※本稿は投資助言ではありません

(出典:CoinDeskBinance AcademyEthereum Improvement Proposals,Chainlink Blog,PR Newswire