▽ 要約
資金調達:6,730万ドル直接増資でETH買付資金を確保
大規模取得:19,683 ETH追加で保有は約120,306枚に
市場影響:株価29%急伸、β値5.26の高ボラティリティ
戦略転換:BTC売却・ステーキング強化で完全ETHネイティブへ
見通し:今後も増資を活用し世界最大級のETH企業を目指す
「なぜBit Digitalはビットコイン主体のモデルを捨て、巨額の資本をイーサリアムに振り向けたのか」。――結論から言えば、プログラム可能性とステーキング利回りを備えたETHこそが次世代金融インフラになると確信しているためです。本稿では増資スキーム、購入実績、株価反応、そして戦略転換の背景を多言語ソースから整理し、投資家にとっての示唆を提示します。
増資の概要と背景
資金調達スキームの詳細
Bit Digitalは2025年7月14日、B. Riley Securitiesを幹事に普通株2,200万株を1株3.06ドルで発行し、総額6,730万ドルを調達しました。登録済み棚卸し(Form S‑3、4月30日提出/6月20日効力発生)を活用した登録直接増資で、クロージングは7月15日予定です。同社は「純資金を全額イーサリアム購入に充当する」と明言しています。
取引スケジュール
- 2025‑07‑14 増資発表
- 2025‑07‑15 増資クロージング予定
- 2025‑07‑18 ETH購入完了を公表
19,683 ETH購入の意図
ETHトレジャリー拡大の狙い
調達完了後、19,683 ETH(約1.97万枚)を一括購入し、保有残高は120,306 ETHに到達しました。CEOサム・タバー氏は「ETHは次世代デジタル金融インフラの基盤」と強調し、長期的に保有拡大を継続するとコメントしています。
ステーキング戦略
同社は2022年からバリデータ運用を開始し、保有ETHの大半をステーキングしてネットワークに貢献しつつ利回りを得ています。プラットフォームには機関向けカストディ、プロトコルガバナンス、利回り最適化が実装され、株式を通じた規制適合型のETHエクスポージャーを提供します。
市場反応と株価動向
株価の短期推移
戦略転換初期の2025年7月7日には、株価が前日比29%上昇し終値4.0ドル、時価総額10億ドル超へ。その後の追加購入発表でも出来高は平均の4倍以上に膨らみ、週次では68%高を記録しました。
ボラティリティとβ値
Investing.comの企業分析によれば、β値5.26とS&P 500平均の約3倍の価格変動性を示しています。短期的な値動きは大きく、ポジション管理が不可欠です。
ビジネスモデル転換
ビットコインからETHへ
同社は280 BTCを売却してETH取得に充当し、2025年1Q末時点の24,434 ETHから100,603 ETHへ急拡大させました。ビットコインマイニング事業の売却も検討しており、資産ポートフォリオを完全にETHネイティブへ移行する方針です。
今後の調達・買い増し計画
タバーCEOは「世界で最も著名なETH保有企業になる」と公言し、将来の増資や資産組み換えで保有量をさらに積み増す考えを示しています。
まとめと見通し
Bit Digitalはビットコイン偏重の業界潮流とは逆張りで、ETH集中戦略を本格化。ステーキング利回り+企業会計上の規制メリットを両立したモデルはユニークで、ETH現物ETFへの資金流入が続く限り追い風は強そうです。ただし株価の高β特性から、投資家はポートフォリオ全体のリスク許容度を踏まえた慎重なポジション設計が求められます。
▽ FAQ
Q. 追加購入したETHは何枚?
A. 約19,683枚
Q. 調達額と方法は?
A. 普通株2,200万株発行による6,730万ドル直接増資
Q. 現在のETH保有量は?
A. 約120,306枚で公開市場最大級
Q. ビットコインはどう扱った?
A. 280 BTCを売却しETH購入資金に転換
Q. 今後の方針は?
A. 増資や事業再編を通じさらなるETH保有拡大を計画
■ニュース解説
既存の上場企業トレジャリー戦略はビットコイン一色でしたが、Bit Digitalはイーサリアムのスマートコントラクト経済圏に照準を定めた初の本格派として注目されています。ETH現物ETFへの7週連続流入と合わせ、市場では「企業財務におけるETH需要急伸フェーズ入り」との見方も浮上しています。規制面ではSECがETHをコモディティ扱いとする方向性を示唆しており、同社のモデルが追随企業出現の呼び水となる可能性があります。
(出典:PR Newswire,Investing.com,)