8月24日 仮想通貨:ETH最高値とETF資金動向

▽ 要約

マーケット:ETHが4,887ドルで最高値、BTCは11.6万ドル攻防
フロー:BTC現物ETFは6日連続純流出、IBIT−1.99億ドル
マクロ:パウエルの緩和示唆で9月利下げ観測が強まる
プロダクト:Ondo米株・Wormhole買収提案など始動

投資家の関心は「最高値更新の持続性」と「資金の行方」だが、8月24日 仮想通貨市況ではETHが4,887ドルで新高値を付ける一方、BTCは現物ETFの資金流出が続き上値が重い局面にある。短期の過熱と政策期待が交錯するため、資金循環とイベントスケジュールを俯瞰することが有効だ。

市場サマリー——ETHは新高値、BTCは11.6万→11.5万ドルの攻防

過度なリスク選好が戻る一方でETF資金は選別が進んだため、ETH主導の上昇とBTCのレンジ推移が併存した。
ETHは2025年8月23日に4,887ドルで上場来高値を更新し、時価総額は約5,860億ドルに到達した。背景には9月利下げ観測の強まり、現物ETFへの資金流入の定着、企業財務でのETH採用拡大がある。一方、BTCは一時11.6万ドルを回復後、11.5万ドル割れも見られ、短期的には方向感が鈍い。

ETH——「政策・ETF・財庫」の三重追い風

利下げ観測でリスク資産のディスカウント率が緩み、現物ETFと企業財庫の買い需要が重なったため、ETHは4,887ドルまで上昇した。
パウエル議長のハト派寄り発言を受け、9月の25bp利下げ観測が急伸、需給面ではETH現物ETFの資金流入が強含み、さらにSharpLinkやBitmineなど企業によるETH保有・調達の動きが話題化した。ステーキングによる利回りがトレジャリー運用と相性がよい点も評価され、ETHの「基盤インフラ資産」視が浸透している。

BTC——価格は堅調だが、現物ETFは6日連続の純流出

個別銘柄への回帰が進んだため、BTCは11.6万ドル近辺での攻防が続いた一方、ETFは資金流出超過が継続した。
8月22日(米東部)時点でBTC現物ETFは総計2,314.92万ドルの純流出となり、6営業日連続の流出。内訳はARKB+6,574.27万ドル、FBTC+5,088.42万ドル、IBIT−1.99億ドル。現物ETFの総AUMは1,502.29億ドル、BTC時価総額比は6.45%、累計純流入は538.00億ドルが示された。大型銘柄間で資金の押し引きが起きている。

地合い——パウエル示唆で金利低下観測、グリード復帰

利下げ観測が強まったため、株・暗号資産ともにリスク許容度が上がり「貪欲」局面が再来した。
ジャクソンホールでの発言を受け、9月利下げ期待が再燃し、米株指数・暗号資産ともに上昇。ETHはレバレッジの積み増しや空売りの踏み上げも重なり、短期に値幅を拡大した。一方で、利下げのタイミングやペースに不確実性が残る点は留意が必要だ。

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資金フローとイベント——ハッカー動向、クジラ買い、プロダクト始動

大口の売買・移動と上場イベントが重なったため、短期ボラティリティと出来高が高止まりした。
市場の裏側では、不正流出資金の利確、クジラの押し目買い、各種プロジェクトの開始・上場など「マイクロフロー」が相次いだ。これらは流動性を増やす一方で、価格に一時的な歪みを生む。

Radiant Capitalハッカー——段階的な売りとポジション再構築

昨年の盗難資産をETHとDAIで運用していたため、局面ごとに売買を重ね評価額が約1.04億ドルに達した。
ハッカーは2024年の約5,300万ドル流出後に2.19万ETH(平均2,420ドル)を保有。8/14に9,631ETHを4,562ドルで売却、8/20に4,914ETHを4,167ドルで買い付け、8/23に3,931ETHを4,726ドルで売却して1,857万DAI化した。現在は約1.33万ETH(約6,263万ドル)と4,203万DAIを保持する。

クジラ動向——FalconX経由でのBTC累計2.16億ドル買い

現物とカストディのルートを使った継続買いが観測されたため、押し目の需給が厚かった。
アドレス“bc1qgf”は7/18以降に1,841.2BTCを累計取得(約2.16億ドル、平均11万7,310ドル)。8/23にも119.8BTC(約1,387万ドル)を追加し、上値追いというよりは時間分散の現物積み増しが示唆される。

EigenLayer関連——11.1万ETHが取引所へ移動

再ステーク解除資金が現物市場へ回流したため、短期の供給増が意識された。
過去20時間で111,456ETH(約5.38億ドル)がEigenLayerから退出し、過去3時間でMatrixportへ、一部が直近1時間でBinanceとOKXに送金された。規模感から流動性への影響は無視できず、板の薄い時間帯はスパイクに注意。

プロダクト・トークン——Ondo、Wormhole、Binance、NEIROETH

オンチェーン米株やブリッジ買収提案などのイベントが控えるため、テーマ物色が続いた。
Ondo Financeは9/3にイーサリアムで「Ondo Global Markets」を開始予定。WormholeはStargateに少なくとも1.2億USDCの全額現金買収案を提示した。Binanceは8/25にAlphaでMultiple Network(MTP)を上場、8/23 16:30にはWLFIUSDT永続先物のプレマーケット開始。NEIROETHではTrend Researchが6.7億枚(総量の67%)を保有し集中度の高さが目立つ。

▽ FAQ

Q. ETHはいつ・いくらで最高値を付けましたか?
A. 2025年8月23日に4,887ドルで更新、時価総額は約5,860億ドル。

Q. 8/22(米東部)のBTC現物ETF資金動向は?
A. 総純流出2,314.92万ドル、IBIT−1.99億、ARKB+6,574.27万、FBTC+5,088.42万。

Q. Ondo Global Marketsの開始予定は?
A. 2025年9月3日、イーサリアム上でオンチェーン米株取引を提供予定です。

Q. Radiant Capitalハッカーの現在の保有は?
A. 約1.33万ETH(約6,263万ドル)と4,203万DAIで、評価額は約1.04億ドル。

Q. EigenLayerからの資金移動はどの程度?
A. 111,456ETH(約5.38億ドル)がMatrixport経由でBinanceとOKXに送金。

■ ニュース解説

ETHが4,887ドルで新高値となり需要がETHに回帰した一方で、BTC現物ETFは8/22に2,314.92万ドルの純流出が続いたため、BTCは11.6万→11.5万ドルのレンジで上値が重くなった。
背景にはパウエル発言を受けた9月利下げ観測の強まりと、ETH現物ETF・企業財庫需要の台頭がある。一方で、EigenLayer由来の11.1万ETH移動など供給面の不確実性や、ハッカー資金の利確も短期的な乱高下要因となる。
影響として、短期はETH主導のテーマ物色が続きやすいが、米金利の実際の転換点とETFフローの継続性が確認されるまでは、イベント日程と流動性の薄い時間帯に注意が必要だ。

投資家の視点:利下げ観測が強い局面ではボラが上振れしやすいため、①イベント前後の建玉縮小と損切り水準の明確化、②ETH/BTCの相対強弱とETFフローの方向を毎日点検、③EigenLayerや大口アドレスのオンチェーン移動監視、を基本とするのが無難です。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:PANews