モルガン・スタンレーがE*TRADEでビットコイン購入解禁

要約

サービス開始:2026年にもE*TRADEでBTC現物取引を提供
顧客層拡大:富裕層中心から一般個人投資家へアクセス門戸を拡張
市場インパクト:大手銀参入で暗号資産の信頼性・流動性が向上
業界競争:シュワブ・フィデリティなど競合も現物取引を計画
投資家留意点:カストディ体制と手数料水準の詳細発表を要確認

モルガン・スタンレー E*TRADE ビットコイン購入サービス──大手投資銀行が個人向けオンライン証券基盤を使い、2026年にもビットコイン現物取引を解禁する計画だ。本稿では「いつ」「誰が」「どう利用できるのか」を端的に示し、参入の意義と投資家が取るべき対策を明快に解説する。

サービス概要:2026年めどにBTC現物取引が可能

E*TRADE口座保持者は証券口座と同じUIでビットコインを売買できるようになる。

  • 2025年春の社内説明資料で2026年サービスインを提示。
  • 最低取引単位や手数料体系は未公表だが、株式と同水準のワンクリック取引を想定。
  • 提携カストディアン候補にCoinbase CustodyやBitGoが挙がる。

既存の富裕層向け暗号資産サービスを補完

同社は2024年からビットコインETF「IBIT」を富裕層に販売。現物解禁で「ETF→現物」へ投資範囲を拡大し、顧客維持を狙う。

カストディ・AML体制の構築が鍵

カストディとAML/KYC要件を満たすことで、米銀監督当局の承認を得る計画。外部委託を前提に、内部は清算・報告業務に注力。

モルガン・スタンレー×E*TRADE:統合のシナジー

買収で得たリテール基盤が暗号資産サービスの実験場となる。

  • 2020年の130億ドル買収でリテール口座520万件を獲得。
  • E*TRADEは2024年オンライン証券ランキング総合1位。
  • 高評価UIとモバイルアプリを活かし、暗号資産取引画面を最小限のUX変更で実装。

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市場への影響:信頼性向上と競争激化

大手銀の参入は資金流入を促し、取引所・プラットフォーム間競争を加速させる。

  • ビットコインは2025年5月に9.6万ドルで史上最高値を更新
  • 伝統金融の流入でボラティリティ縮小・流動性増加の傾向。
  • Coinbase・Krakenは顧客維持のため、手数料割引と新規上場通貨拡張を発表。

規制環境の追い風

SECは2024年に現物ETFを承認し、銀行監督当局はカストディ業務指針を緩和。これにより米銀大手が暗号資産分野へ本格参入しやすくなった。

他社比較:シュワブ・フィデリティ・JPモルガン

各社とも独自強みを活かしつつ暗号資産対応を拡充、サービスモデルは三者三様。

チャールズ・シュワブ

  • TDアメリトレード買収後、2025年内に現物取引を予定。
  • EDXマーケッツ共同設立で裏方インフラを抑える戦略。

フィデリティ

  • 2022年から無料現物取引「Fidelity Crypto」を提供。
  • 2024年現物ETF「FBTC」をローンチし機関資金を取り込む。

JPモルガン

  • 直接売買は慎重だが、JPMコインと担保ローンで周辺ビジネスを開拓。

▽ FAQ

Q. いつから取引できる?
A. 2026年サービスインを目標に最終テスト中。

Q. 取扱通貨は?
A. 初期はビットコイン、段階的にイーサリアム追加予定。

Q. 手数料は?
A. 株式取引と同水準のスプレッド+固定料が検討中。

Q. 最低入金額は?
A. 社内案では10ドル相当からを想定。

Q. 税務計算サポートは?
A. 年末に取引報告書PDFを自動発行し、確定申告に対応。

■ ニュース解説

モルガン・スタンレーの動きは、暗号資産が「代替資産」から「主流資産」へ昇格したことを示すシグナルだ。銀行インフラを持つ大手が参入すれば流動性は高まり、価格形成は安定する。一方、取引所間の手数料競争は強まるため、投資家はコスト比較を怠らないことが肝要だ。投資家としては

  1. 発表される手数料・スプレッドを他社と比較
  2. カストディ先と保険有無を確認
  3. 税務レポートや損益通算機能の使い勝手を見極め
    以上3点を満たすプラットフォームを選ぶことが合理的だ。

(出典:J.D. Power,CoinDesk,会社発表