▽ 要約
サービス開始:2026年にもE*TRADEでBTC現物取引を提供
顧客層拡大:富裕層中心から一般個人投資家へアクセス門戸を拡張
市場インパクト:大手銀参入で暗号資産の信頼性・流動性が向上
業界競争:シュワブ・フィデリティなど競合も現物取引を計画
投資家留意点:カストディ体制と手数料水準の詳細発表を要確認
モルガン・スタンレー E*TRADE ビットコイン購入サービス──大手投資銀行が個人向けオンライン証券基盤を使い、2026年にもビットコイン現物取引を解禁する計画だ。本稿では「いつ」「誰が」「どう利用できるのか」を端的に示し、参入の意義と投資家が取るべき対策を明快に解説する。
サービス概要:2026年めどにBTC現物取引が可能
E*TRADE口座保持者は証券口座と同じUIでビットコインを売買できるようになる。
- 2025年春の社内説明資料で2026年サービスインを提示。
- 最低取引単位や手数料体系は未公表だが、株式と同水準のワンクリック取引を想定。
- 提携カストディアン候補にCoinbase CustodyやBitGoが挙がる。
既存の富裕層向け暗号資産サービスを補完
同社は2024年からビットコインETF「IBIT」を富裕層に販売。現物解禁で「ETF→現物」へ投資範囲を拡大し、顧客維持を狙う。
カストディ・AML体制の構築が鍵
カストディとAML/KYC要件を満たすことで、米銀監督当局の承認を得る計画。外部委託を前提に、内部は清算・報告業務に注力。
モルガン・スタンレー×E*TRADE:統合のシナジー
買収で得たリテール基盤が暗号資産サービスの実験場となる。
- 2020年の130億ドル買収でリテール口座520万件を獲得。
- E*TRADEは2024年オンライン証券ランキング総合1位。
- 高評価UIとモバイルアプリを活かし、暗号資産取引画面を最小限のUX変更で実装。
市場への影響:信頼性向上と競争激化
大手銀の参入は資金流入を促し、取引所・プラットフォーム間競争を加速させる。
- ビットコインは2025年5月に9.6万ドルで史上最高値を更新
- 伝統金融の流入でボラティリティ縮小・流動性増加の傾向。
- Coinbase・Krakenは顧客維持のため、手数料割引と新規上場通貨拡張を発表。
規制環境の追い風
SECは2024年に現物ETFを承認し、銀行監督当局はカストディ業務指針を緩和。これにより米銀大手が暗号資産分野へ本格参入しやすくなった。
他社比較:シュワブ・フィデリティ・JPモルガン
各社とも独自強みを活かしつつ暗号資産対応を拡充、サービスモデルは三者三様。
チャールズ・シュワブ
- TDアメリトレード買収後、2025年内に現物取引を予定。
- EDXマーケッツ共同設立で裏方インフラを抑える戦略。
フィデリティ
- 2022年から無料現物取引「Fidelity Crypto」を提供。
- 2024年現物ETF「FBTC」をローンチし機関資金を取り込む。
JPモルガン
- 直接売買は慎重だが、JPMコインと担保ローンで周辺ビジネスを開拓。
▽ FAQ
Q. いつから取引できる?
A. 2026年サービスインを目標に最終テスト中。
Q. 取扱通貨は?
A. 初期はビットコイン、段階的にイーサリアム追加予定。
Q. 手数料は?
A. 株式取引と同水準のスプレッド+固定料が検討中。
Q. 最低入金額は?
A. 社内案では10ドル相当からを想定。
Q. 税務計算サポートは?
A. 年末に取引報告書PDFを自動発行し、確定申告に対応。
■ ニュース解説
モルガン・スタンレーの動きは、暗号資産が「代替資産」から「主流資産」へ昇格したことを示すシグナルだ。銀行インフラを持つ大手が参入すれば流動性は高まり、価格形成は安定する。一方、取引所間の手数料競争は強まるため、投資家はコスト比較を怠らないことが肝要だ。投資家としては
- 発表される手数料・スプレッドを他社と比較
- カストディ先と保険有無を確認
- 税務レポートや損益通算機能の使い勝手を見極め
以上3点を満たすプラットフォームを選ぶことが合理的だ。
(出典:J.D. Power,CoinDesk,会社発表)