▽ 要約
概要:Mill Cityは私募で4.5億ドル調達しSUIを財務資産化。
取得策:資金の98%でSUI取得、平均単価3.64ドル。
特徴:Sui財団が同額出資し上場企業初のSUI財庫。
危険:価格下落時の減損と投資会社認定の懸念。
市場:短期下落も流通減で長期強気材料。
SUI財務戦略という耳慣れない言葉が、一夜にして暗号業界のセンターに躍り出ました。Nasdaq上場のMill City Ventures III(MCVT)は、私募で4.5億ドルを調達し、そのほぼ全額をSuiブロックチェーンのネイティブトークンSUIへ投入する大胆な財務モデルを採用。Sui財団が共同リード投資家として参加したことで、同社は“世界初の上場SUIトレジャリー”となりました。この記事では、資金調達の構造から市場インパクト、潜在リスクまでを網羅し、投資家が取るべき視点を提示します。
4.5億ドル私募調達の全貌
PIPE取引で83百万株を発行
Mill CityはPIPE方式で83,025,830株を1株5.42ドルで発行し、総額4.5億ドルを調達しました。
投資家陣とガバナンス刷新
ロンドンのヘッジファンドKaratage Opportunitiesがリードし、同額をSui Foundationが出資。Galaxy Digital、Pantera、Electric Capitalなど著名VCも参加しています。
取締役会長にKaratage共同創業者Marius Barnett氏、CIOに同共同創業者Stephen Mackintosh氏が就任予定。
SUIトークン取得スキーム
市場+機関枠+財団OTCの三本柱
取得は①公開市場、②機関投資家専用枠、③Sui財団とのOTC契約を組み合わせる設計。
7,627万枚取得と平均3.64ドルの意味
7月末までに76,271,187 SUIを平均3.6389 ドルで取得済み。
発表時の現物価格(3ドル半ば)と近似値で大量取得できた点は、財団支援ならではの低インパクト調達と言えます。
SUI財務戦略が目指すもの
Mill Cityは自社株を“日次流動性のあるSUI上場ビークル”に仕立て、暗号アクセスの難しい機関投資家にゲートウェイを提供。背後には「AI・DeFi時代の基盤インフラはSui」という技術確信があり、Mysten LabsのAdeniyi Abiodun氏も「未来はクリプトとAIとステーブルコイン、そのスケールを支えるのがSui」と強調します。
関連:Mill City Ventures、SUI私募4.5億ドルの衝撃
市場インパクトと潜在リスク
- 短期反応は鈍化:発表翌日のSUIは市場全体の調整と歩調を合わせ11%下落。
- 供給逼迫による中長期強材料:7,600万枚が企業財務にロックされることで流通圧力は緩和。
- 減損リスク:帳簿価額を下回れば即減損計上が必要。
- 投資会社認定リスク:主要資産が暗号になることで米投資会社法の追加規制対象となる可能性。
国際的な反応
Cointelegraphは「上場企業初のSUI財庫」とトップ報道し、DeFi TVL急伸との相乗効果を分析。
X上では暗号ジャーナリストWu Blockchainが速報し、「SUI版MicroStrategy」と話題に。
中国・韓国メディアも財団同額出資を強調し、ニュースは数時間で多言語拡散しました。
▽ FAQ
Q. 調達資金は何に使われる?
A. 約98%をSUI購入、残る2%を従来の短期融資ビジネスに充当。
Q. 取得済みSUIの平均価格は?
A. 1枚あたり3.6389ドルで累計7,627万枚を取得。
Q. Sui財団の関与は?
A. 私募に同額出資し、OTCでSUI提供。上場企業支援は業界初。
Q. 企業側の主なリスクは?
A. SUI下落による減損と投資会社法適用リスクが顕在化する。
Q. 個人投資家の参加方法は?
A. Nasdaq上場株MCVTの購入でSUIエクスポージャーを間接取得できる。
■ ニュース解説
本件は「トークン準備金を持つ上場企業」というビットコイン・マイクロストラテジー型モデルのアルト版。成功すればSuiの信用力向上と企業財務の新潮流を示し、失敗すれば“単一資産過集中リスク”の負例として残ります。投資家は(1)SUI価格のボラティリティ、(2)規制動向、(3)会計基準—の三点を注視しつつ、ポートフォリオ全体でリスク許容度を調整することが肝要です。
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。
(出典:Business Wire,Bitget,X (formerly Twitter),Cointelegraph)